第20話 女子マネージャーが欲しい
雑誌があったので見てみると漫才特集が組まれていた。
この前やった漫才はやや受けだったので、次回やる時はどっかんどっかんと大受けさせたいと思ったのである。
でも冷静に考えたら、またネタを一から考えてやるのは大変なので諦めた。
そんなことを考えていると4人の男子生徒がやって来た。
「便利屋部にお願いがあって来た」
「どうしたんですか?」
「俺たちセパタクロー部なんだけど、知名度もない弱小クラブなんだ。だから女子マネージャーとか当然いないんだよ。でも、1度でいいから女子マネージャーのいる気分を味わってみたい」そう言うと、奥にいる由紀乃を見る。
「私?」
「3日間だけでいい。マネージャーをやってくれないか」
これには僕と直臣は喜んだ。
普段は僕ら2人がやらされることが多いからだ。
「由紀乃やってあげたら」
「やるしかないね」
突然呼ばれた由紀乃は「無理よ」と言う。
しかし4人と僕ら2人からのお願いに渋々了承。
こうして翌日から3日間だけ由紀乃がマネージャーをすることになったのである。
翌日僕と直臣が体育館の2階から見ていると、由紀乃がジャージ姿でやってきた。
セパタクロー部の4人が喜んでいる。
4人は早速練習を開始。
右足のインサイドでボールをリフティングしている。
次は頭でリフティング。
そして左右交互にインサイドでリフティングだ。
セパタクロー部の4人がちらちらと由紀乃を見る。
由紀乃はやる気がなさそうに4人を見ている。
個人練が終わると、4人は汗だくになった。
僕は思った。
ここはマネージャーらしく、タオルを渡す場面ではないだろうか。
しかし由紀乃はタオルを持ってこなかった。
「4人とも足が真っすぐ上がってない。あと、リフティングの位置が高すぎる」4人が「えっ?」という顔をする。
すると近くにあったネットの支柱に足の裏を付けて上下に動かし「はい、4人ともポールを使って足を上下させる。これは足を真っすぐ上げるための練習」と指導する。
戸惑いながら4人がポールを使って足裏を上下させている。
しばらくすると「ではリフティング」
「あれ?今までよりリフティングが続く」
「なんか上手くボールが上がる」
そんな意見が出て先ほどよりリフティングが上手くなっている。
「これを練習前にやって、それからリフティング100回ね」
「「はい」」
「次は打点の位置。上で当てるとそれ以上足が上がらない。だから低い位置でリフティングを意識する。わかった?」
「「はい」」
こうして1日目が終わった。
2日目も個人練から始まって、壁に投げて跳ね返ったボールを蹴り返す練習。
走りながらトスをする練習。
サーブの練習をした。
4人がヘロヘロになったが、由紀乃は椅子に座ってゆったりしている。
「あのタオルは……」
「そこにあるでしょ」
僕は見ていて思った。
マネージャーとはなんだろうと。
3日目は他校との試合だ。
ちなみに試合はコートで3対3で試合をする。
もちろん手や腕を使ってはいけない。
3回以内にボールを返すこととネットに触れてはいけない。
こちらのサーブで試合が始まった。
試合は一進一退。
互角に見えた。
由紀乃は試合中、ほとんど喋らず相手選手を見ていた。
「相手の8番がバテている。あと10番は左だと返せない」と由紀乃が指示。
そこからはこちらが勢いをつけ試合に勝利した。
試合が終わると、
「やったあ! 初勝利だ!」
「俺たち勝ったんだ」
「やったぜ」
「うおー!」
と盛り上がる4人。
「「監督ありがとうございました」」
マネージャーから監督になっちゃったよ。
直臣もやれやれといった表情だ。
こうして惜しまれながらも由紀乃の3日間は終わった。
これ依頼達成なの?と僕は思った。




