第17話 ミュージカル お寿司食べ放題
図書室から本を借りることになった。
あの図書室は面白い本が多い。
僕は人気作のライトノベルを。
直臣は「男の娘のなり方」
由紀乃は「猫100連発」を借りてきた。
すると、ドアを開けて人が入ってきた。
「ここが便利屋部でいいのかな?」
「そうですが」と僕は読んでいたライトノベルにしおりを挟み、相手を見る。
「実は君たちに頼みがあって」
「断ります」と直臣。
「まだなにも言っていないじゃないか」
「どうせまた、無理難題を言ってくるんでしょ」
「今までどんな依頼を受けてきたの? 俺が頼むのは普通の依頼だよ」
「ほんとかよ」
「ミュージカルに出てくれ」
「やっぱり!」
「実はこの前3人辞めちゃって。やるって告知をしちゃってるから、公演を中止にする訳にもいかず」
「いやいや中止でいいでしょ。別にお金をもらってるわけでもないし」と僕も言う。
「プロとしてはダメだ。君ら映画にも出てたし、漫才もやってたらしいじゃないか。ならミュージカルも大丈夫」
「ミュージカルって歌って踊るんでしょ? 正一郎や直臣には無理ね」と由紀乃。
「あなたも出てもらうけどね」
「私も?」
「これ台本ね。ではよろしくね~♪」とスキップしながら去っていった。
「なになに「お寿司食べ放題に行ってきた」だって? ミュージカルらしくない。ミュージカルって普通喜劇とかじゃないのかよ」と僕が言う。
「あ~やっぱめんどくさい依頼だ」と直臣。
「なんで私も出るのよ」と由紀乃。
こうして渋々ながら練習が始まった。
「いい、あなたたち。ミュージカルの基本は、1.声を張る 2.ゆっくりしゃべる 3.間を入れる 4.キザに、恥ずかしがらずに言う」
これは難しいと思った。
「まず、声を張る!」
「こんにちは!」
「もっと!」
「こんにちは!」
「もっと!」
「こんにちはぁぁぁぁ!」
「そんな感じね。次はゆっくりしゃべる」
「寿司を……食べに……来ました」
「ちょっと遅いかな。でもまあいいわ。次は間を入れる」
「俺は……」
間
「中トロが……好きだ」
「いいねえ。それをキザに、恥ずかしがらずに言う」
こうして基本を教わった。
なお流石に踊りながらは無理だろうとのことで、出来たらスキップを入れて欲しいと言われた。
こうして公演当日になった。
舞台には僕ら3人にミュージカル部の男性が1人で4人で立つ。
部長とかは裏方だ。
音響・照明・ナレーションなどである。
時間が来ると幕が開きミュージカルが始まった。
「寿司といったら……」
間。
「やっぱり……」
さらに間。
「マグロ~~~~~♪」
「私は……」
間。
「変わり種~~~~~♪」
「こういうところの……」
間。
「お肉の寿司は……」
間。
「美味しい~~~~~♪」
そして4人で
♪マグロ~♪
♪シメサバ~♪
♪ハンバーグ~♪
と歌いながらスキップをする。
「そして各々思い思いの品を注文していく。頼んでは食べ、頼んでは食べ。そしていつしかお腹いっぱいに」とナレーションが入る。
「寿司といったら……」
長い間。
「マグロ~~~♪」
「段々とペースが落ちてくる」とナレーション。
「次は……」
「もういいから早く食べようぜ」
「これ残したら別会計だからな」
「もういいから早く食べようぜ」
「そして」とナレーション。
「お前頼んだんだから食え~~~♪」
「お前が食え~~~♪」
「…………お前が食え」
「お前が……食え……!」
「完全に箸が止まった4人。しかし最後に残ったのは、うに軍艦である」とナレーション。
「お前……1番食べてないだろ~♪」
「注文……したのお前だろ~♪」
「そしてなすり合いが始まった。最後は無理やり4等分にしてなんとか食べたのであった」とナレーション。
「お寿司~お寿司~美味しいな~げぷ」
「みんな大好き……それはお寿司……げぷ」
「次回もまた来よう~♪げぷ」
「胃薬を……お茶で……飲む。げぷ」
「以上ミュージカル部のお寿司食べ放題でした~~~♪」とナレーションが言い、幕が閉じたのだ。
「ちなみに三日後、半額券が届いた」幕が閉じたが再びナレーション。
「また行こう~♪」
「お前が食え~♪」
これ、台本通りだけど……成功なの?




