三十三章 帰還
―――……て、目を覚まし……!「う……ん………?」
誰かが俺達を呼んでいる。この甲高い声は、姉ちゃん?
「しっかりしてユアン!ネイシェも起きて!!」
「ん……」
「五月蝿い、女狐……こっちは頭痛がするんだ。騒ぐな……」
瞼を開けると、丁度相棒が後頭部を押さえつつ上体を起こしている所だった。
「もう、二人共いなくなったと思ったら、何時の間に入口まで戻ってきてたの!?しかもちゃっかり宝まで持って!!」
「何、宝……何だ、これは?」
下ろしたデイバッグから溢れて零れ落ちていたのは、綺麗にブリリアントカットされた無数のダイヤモンドだった。その数、少なくとも三十個以上。俺達、こんなの何処で拾ったっけ?と言うか、遺跡に三人で入ってからの記憶が無い……ん?代わりに何か隅っこに入っていたようながするけど、気のせいかな?
「あれ?ユアン、いつも首から提げているロケットはどうしたの?」
「?っ!!?」
バタバタバタッ!血相を変えてコート中のポケットを叩きまくり、二分後。鎖の切れたアクセサリーを取り出して安堵した。
「何時の間に切れたんだ?仕方ない、後で修理に出しておくか」
「へー、そんなに大事な物なんだ。ふーん……」
頬を膨らませて、教えなきゃ良かった、目線で語る。勿論それに朴念仁が気付く筈も無く、丁寧に元のポケットへ仕舞った。
「ところで女狐。最下層には何も無かったのか?」
「全然、もぬけの殻だったわ。二人こそ一体何処からそれ見つけてきたのよ?って言うかそんなにあったら軽く億単位は」
「さあな。宝石の価値は良く分からん。天宝の連中は専門外だろうから、今回はお前に任せる。適当に処分して経費及び生活費に充てておけ」
そっけなくそう頼んで立ち上がり、スタスタと街の方へ歩き出す。
「ちょっと、一体何十年分になると思って―――あ、こら!仲間を置いて行くとは何事よ!?」
俺の首根っことデイバッグを両手に掴んだ姉は、怒り心頭にそう叫んで師の後を追った。




