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【完結済】女の子大好き、ヴァンパイアくん☆  作者: 眠れぬ夜の小鳥


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7/10

雄蝙蝠7.女性に出待ちされるヴァンパイア

診療所の裏口から外に出ると、女性グループがいた。


「あなたが噂のヴァンパイアですか?」

「そうだけど、俺っちに何か用?」

「やばっ、イケメンじゃん♡」

「あの、本当に血を吸っているんですか?」

「うん、この牙で刺してね。女性の血は俺っちの栄養源だから☆」

「発言がチャラいw でも、吸われたい♡」

「吸っていいの?でもね、上司に怒られたばかりだから場所を変えようか」

「はい」


俺っち一行は路地裏に移動した。


「で、本当にいいの?少しずつしか吸わないけど、痛みはあるよ」

「こんなの貴重な経験だから、ぜひお願いします♡」

「今日は1人も吸ってないから、正直限界だった…」


気持ちが焦って深めに牙を刺してしまった。


「痛っ!」

「ごめん、すぐ済むから我慢してくれる?」

「はい…」


吸血が終わると、痕を隠す為の布を巻いてあげた。


「大丈夫?いつもはこんな事ないんだけど…」

「だい…じょ…ぶ」

「出血はすぐ止まると思うけど、念の為診療所に連れてってあげて。俺っちはもう行けないから」

「はい!」


彼女達と別れると、すぐに街を離れた。


(あの子大丈夫かな?万が一死なせてしまったら、責任が取れない…)


あくまでも俺っちは女性が大好きだ。生きる為とはいえ、吸血行為で殺すなんて俺っちのポリシーに反する。もう、街に出るのはやめよう。ヴァンパイアの住処で動物の血を吸うしかないんだ。


住処へ辿り着くと、父がいた。


「カルーア、お前が戻ってくると思っていた。家にきなさい」

「親父はここでずっと待ってたのか?」

「エリカと交代でな。申し訳ないと思うなら、親の気持ちを少しも考えてくれ」


家に帰ると、母も怒ったような泣きそうな顔をしていた。


「やっと帰ってきたのね…ずっと待ってたのよ」

「母さん…」

「そんなにウチらと暮らすのが嫌なの?いつも行ったっきりで、帰ってこないじゃない!」

「別に死ぬほど嫌なワケじゃないけど、俺っちはもう普通のヴァンパイアだ。食事も血しか飲めないし、番さえ見つかれば離れるのは当然だろう?」

「ミモザは番探しをしてても、家には帰ってきてたわ。他のヴァンパイアだって、親を完全に放置なんかしてないのよ」

「人間だって、縁を切られたら同じように傷つく。オレも親から捨てられているから、心がすごく痛い」

「2人とも、ごめん。これからはここで穏やかに暮らすよ…」

「分かってくれればいいのよ。食事が別になるのは仕方ないから、もう無茶はしないで」


久しぶりに親子3人で川の字で眠る事にした。だけど、父のいびきがすごくて一睡もできなかった。


「親父、診療所でいびきを診てもらえよ!こっちはたまったもんじゃない」

「そうだな…明日行ってくるよ」


◇


オレは息子に宣言した通り、街の診療所に向かった。

その道中で、息子が何をしていたかを知った。


街には首元を服や布で隠した女性で溢れ、息子と思われる噂話が聞こえてくる。父としては耳の痛い話だった。


診療所に着くと、首に血がかなりにじんだ女性とすれ違った。思わず声をかけた。


「突然すみません、お聞きしてもよろしいでしょうか?」

「この傷の事ですか?色んな人に聞かれますけど、大したものではないんです」

「信じてもらえないと思いますが、その傷はオレの息子が付けたと思います。ヴァンパイアとはいえ、不特定多数の女性ばかり狙うなんて、オレの監督不足です。どう責任を取ればよいものか…」

「私の方こそ信じてもらえませんが、自ら望んで彼に頼みました。私は幸せです。愛情のない吸血行為だとしても、彼は私を気遣って私の仲間に診療所に連れて行くよう言ってくれました。彼は『痛みがある』と事前に伝えてくれていましたし、傷を隠す布も巻いてくれたし、優しいヴァンパイアですよ!」

「そうなのか…。自分の欲を満たすだけのバカ息子だと勘違いしていた。ありがとう。改めて息子と話そうと思う」

「きっかけになれてよかったです。ところで、お父さんはどうしてここにきたのですか?」

「実は昨日、家族揃って眠ったら、息子に『いびきがうるさい!』と怒られてしまってね…」

「いいお父さんですね!私の父もいびきがひどいですが、治療する気がなくて困ってますw」


看護師さんがオレを呼んだ。


「では行ってきます。お嬢さんもお大事にしてください」

「こちらこそ、ありがとうございます。いびきが改善されるといいですね!」


◇


親父が帰ってくると、彼女の話をしてくれた。


「あの子、生きててくれてよかった…」

「普通、ケガをさせられたら恨むものだと思うが、むしろ『幸せ』だと言ってたぞ」

「俺っちは『イケメン』らしいから、めっちゃ惚れられてた☆」

「これだからバカ息子は。調子に乗るんじゃない!」

「すんません…」

「しかし、ただただ血を吸うだけではなく、ちゃんと痛みやその後のケアについて説明していたのは偉いぞ。その意味では薬師を辞めたのはもったいなかった。薬代を安くなんて普通はできないし、ましてやどんな理由であれ、ケガ人や病人を増やすのは褒められた事ではないが」

「賃金もよかったんだけどね☆」

「そう言う所だぞ」

「ところで、いびきはどうだったの?」

「痩せる事と、横を向いて寝ろとしか言われてない…」

「お金の無駄遣いだねww」

「お前が『うるさい』と言うから行ってきたんだ。対処しないよりましだろう。取りあえず、エリカに健康志向の料理を頼むか…」


心配していた女性については大丈夫でも、動物の血を吸う生活はやはり辛く、どうしたものかと考えていた…。


雄蝙蝠8へ続く…

読んでいただきありがとうございます!


小話⑦1度は出待ちされたい人生でした…。

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