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【完結済】女の子大好き、ヴァンパイアくん☆  作者: 眠れぬ夜の小鳥


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4/10

雄蝙蝠4.血が飲める事に気付いたヴァンパイア

俺っちは家を飛び出した後、いつもとは違う酒場へと向かった。


(あの酒場に来る常連客は一通り持ち帰ったから、新規を開拓したいな…)


そんな事を考えつつ走っていると、人とぶつかる。


「きゃあっ!」

「ごめん!怪我はない?」

「肩にぶつかっただけで大丈夫です…」


そう言うと彼女は肩をさすりながら去ろうとする。


「ちょっと待って!足、怪我してるよね?」

「え?」

「かかとに血がにじんでる…」


俺っちは、彼女の手を引いて座れそうな場所を探した。ちょうど近くに宿屋があった為、受付で部屋をとった。


「そこに座って」

「は、はい」


俺っちは彼女にベッドに座るよう促した。


「右足を見せて」


恥ずかしそうにしながらも、彼女は靴を脱いで血のにじむ右のかかとを差し出した。


「結構ひどいね」

「新しい靴を降ろしたばかりだからだと思います」

「手当てしてあげる」

「…っ!」


俺っちは傷口を舐めた。そして吸った。


「昔、俺っちの親父が母さんに『傷の消毒』って言ってやってたんだ」

「えっ、今私の血を吸ってましたよね?」

「ごめん、やりすぎちゃった。なんか、キミの血を舐めたら美味しくってさ☆」

「もしかして、あなたはヴァンパイアですか!?」

「そうだけど、こう見えて血を吸ったのは初めてなんだ。生まれてから今日まで、ヒトと同じ食事をして育ってきた」

「う、噂で聞いたヴァンパイアと全然違う…」

「他のヴァンパイア達は普通だよ。俺っちの家族が変わっているだけで。それより、また血が出ないように布を巻いてあげる」


俺っちは自分の服を割いてちぎる。その切れ端を怪我したかかとに結びつけた。


「早く良くなるといいね!」

「ありがとうございます。でも、服がボロボロになってしまいましたね」

「これくらい構わないよ。気にしてくれるなんてヤサシーね☆」

「私、そろそろ帰らなきゃいけないんです。家族が待ってるの」

「家族ってダンナとか?」

「いいえ、両親と住んでいます。彼氏すらいません」

「なら、いいじゃん。朝には帰すから一緒に泊まろうよ☆」

「そんなつもりじゃ…」

「あ、もしかして怖い?大丈夫。俺っち結構ヤサシーから。それに、またキミの血を吸いたくなってきた」

「私、あなたの番になるんですか?」

「んーん。それはないかな。番としてのセンサーはないけど、血を吸わないと元気が出ないカンジがして。今夜だけだから。ね、お願い!」

「…お礼になるのなら、引き受けます」

「ありがとう!早速いただくね☆」


首を差し出した彼女に牙を刺して軽く吸った。

彼女の負担を考慮して少量に留めた。


「…思ったよりは痛くなかったけど、このくらいで足りましたか?」

「うん。普通の食事より断然力が沸くし、美味しい!ありがとう☆」


首の吸血痕を隠す為に、また俺っちの服を引き割いて巻き付けた。


「痕が残るだろうから、隠れる服を着た方がいいよ。他の番達も痕を隠す服をいつも着てるんだ」

「そうなんですね」

「血を吸う前は、いつものように朝まで寝かさないつもりだった。でも、今は満足しててそんな気が起きないし、キミの体調が心配だから添い寝にしよっか☆」

「やっぱり不安だったので、正直助かりました」

「いつか好きな人が見つかるといいね!俺っち応援してる☆」

「ありがとうございます。ヴァンパイアさんも番と出会える事を祈っています」

「うん、俺っち頑張る。今日はもう寝ようか。おやすみ☆」

「おやすみなさい」


今日は色々あったけど、ヴァンパイアの本来の姿である血を飲んだからか、空っぽだった心が少し満たされた気がした…。


初めてヒトの血を飲んだ日から、普通の食事ができなくなった。


あの後も目覚めると血が欲しくなり、少しだけ血を吸ってから彼女とは別れた。宿屋を出て仕事に向かっている間も、女性とすれ違う度に血が飲みたくなる衝動に駆られる。初めは我慢できていたが、次第に歩けなくなってきた。ふらついて道端にしゃがむと、ある女性が声をかけてきた。


「顔色が悪いですよ。大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫。ほっといてくれ」

「ここは人通りがあるので、せめて端に寄りましょうか」

「ああ、そうするよ」


女性に肩を借りて、路地裏まで移動した。


「突然のお願いで申し訳ないが、俺っちにキミの血を吸わせて欲しい」

「え?」

「俺っちはヴァンパイアなんだ。少しでいいから頼む」

「む、無理です」

「じゃあ、せめて血を吸わせてくれそうな女性を連れてきてくれる?」

「それの方が厳しいですよね…分かりました。本当に少しだけですよ」

「助かる。首を俺っちに向けてくれ」

「はい…」


渋々ではあるが、協力してくれたので牙を優しく刺して少し吸った。


「ありがとう。キミのおかげで命拾いしたよ。傷痕が残るからこれで隠してくれ」

「はぁ…」


服を割いた切れ端を渡した。今の俺っちにできるのはこれくらいしかない。


助けてくれた女性に礼を言って別れた。今日は仕事には行かずに住処へ帰ろうと考えを改めて歩き出す。

その後も何度か血が欲しくなり、道行く女性に助けを求めた。血を吸う度に服の切れ端を渡すから、住処へ辿り着く頃には、シャツを脱ぎ上半身裸でボトムスが短パンの長さになっていた。


「ただいま…」

「カルーア、何があった!?」

「え、追い剥ぎされたの?大丈夫?」


家に帰ると、ただならぬ様子の俺っちに驚いて2人が駆け寄ってきた…。


雄蝙蝠5へ続く…

読んでいただきありがとうございます!


小話④ヴァンパイアの本能には抗えなかったのです。気付いたらもう戻れない…。

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