第8話 歌姫
パーの試練、マカランルームに入っていたマーシャが、キーッという扉の音とともに外に出てきた。
「何も起きなかったわ…。」
マーシャは淡々と呟いた。
「そうどすか。マーシャ・ミコワはんお疲れ様どした。きいつけてお帰りなはってくだはれな。」
パーちゃんは神妙な顔でマーシャに声をかけた。
マーシャは顔色も変えず、何も言わず、そのまま立ち去った。
パーの試練
マカランセレクション
マーシャ・ミコワ 不合格
「えっ、うそ?」
リンはマーシャだけは確実に合格すると思ってたので唖然とした。
「あんな凄い人が落ちるんだ。だったら私じゃ無理だ。」
キャサリンは自信を失っていた。
「それでは次は、キャサリン・スミスはん、マカランルームへ、どうぞお入りやす。」
パーちゃんはほとんど間を空けずにキャサリンの名前を呼んだ。
パーの試練はチョキの試練で合格した順番で行われるという事だ。
「えっ、私?」
キャサリンは嫌なタイミングで名前を呼ばれて躊躇した。
「そうどす。どうぞお入りやす。」
パーちゃんはキャサリンの顔を見て答えた。
「はい…。」
キャサリンは渋々立ち上がって、静かに扉を開けて中に入った。
部屋の中央には椅子が一つポツンと置いてあった。
「座っていいのかな。」
キャサリンはキョロキョロして他に何もない事を確認してゆっくりと椅子に座った。
「キャサリン・スミス…。」
キャサリンは大人の女性のような声が聞こえた。
「えっ…、はい?」
キャサリンは突然声が聞こえて驚き、周りを見渡した。
しかし、人影どころか本当に何も見当たらなかった。
「私は女神マカラン。あなたの頭の中に直接話しています。キャサリン、あなたの人生はまさに歌と歩んできたものなのですね。」
再びキャサリンの頭の中に声が響いた。
「はい、私は幼い頃からずっと歌ってきました。」
キャサリンは状況に頭が追いつかないが、とりあえず返事をしてみた。
「それではあなたの人生を振り返ってみましょう。
キャサリン、あなたは幼い頃から聖歌隊に入り歌ってきました。
そして、その中でも飛び抜けた歌唱力を持っていて、スカウトの目にとまり、
7歳でプロの歌手の道に進みました。
間違いないですね?」
マカランの声がキャサリンの脳内に響いた。
落ち着いたトーンで語りかける話し方で女神だという事を実感した。
「はい、間違いありません。」
キャサリンも落ち着いたトーンで返事をした。
「あなたの歌声は、不思議な魅力があるようですね。人の心を動かす力がある。」
マカランは優しく語りかけた。
「それはどうか分からないですが、ただ歌うのが大好きで、楽しく歌ってたら、みんなからそう言われました。」
キャサリンは答えながら、幼少期を思い出し、懐かしさを感じていた。
「今はどうですか?」
マカランは更に踏み込んだ質問をした。
「歌うのは好きですけど、心から楽しいかと言われたら違います。」
キャサリンはマカランには嘘はつけないと感じていた。
「何故ですか?」
「歌姫とか言われるようになって、期待に応えないといけないとか思うと、心が潰されそうで…。」
「ライブの時はどうですか?」
「ライブ前の夜は不安で寝れなくてどうしようもないです。ちゃんと歌えなかったらどうしようとか色々考えたりします。」
キャサリンは思い出して胸が苦しくなった。
「幼い頃は純粋に楽しかった歌が、今は重荷になって楽しめないって事ですね?」
「はい、正直逃げたい気持ちもあってこの世界に来てホッとしてる気持ちはあります。」
「では、もう歌いたくないという事ですか?」
「いやいや歌は好きです。でも歌に対しての気持ちの向き合い方が分からなくなってます。」
キャサリンはマカランと話す事で、自分でもこんな事思ってたのかと感じる言葉が言葉として湧き出てきた。
「そうですか。ではあなたは更に歌に向き合って答えを見つけましょう。」
マカランはまた優しい口調になった。
「更に歌に向き合う?」
キャサリンはどういう事かと思った。
「そうです。だからあなたには、マイクを使った歌の能力を与えましょう。マカランランランピロロロリン。」
マカランが呪文のような言葉を唱えるとキャサリンは少し温かさを感じた。
「えっ…。」
キャサリンは何が起きたか分からなかったが、今までなかった感覚があるのはなんとなく感じていた。
「これであなたに歌の能力が与えられました。能力名はホーリーディーバ。歌で仲間を回復や補助ができたり、対戦相手を攻撃、更に心を浄化出来たりします。」
「えっ、仲間とか対戦相手ってどういう事ですか?」
「すぐに分かります。それではマイクをイメージしてみて下さい。」
「マイクをイメージ?想像すればいいんですか?」
「そうです。」
「想像ってどうしようかな。よく分からないけど…。」
マカランに言われた通りに、キャサリンはマイクを思い浮かべた。
すると、ポンッと音が響き、キャサリンの手にはマイクが現れた。
「出来ましたね。そのマイクはあなたのイメージで、いつでも出し入れが出来ます。それではあなたの答えが見つかる事を願います。では。」
マカランは言い終わると、キャサリンが感じていたマカランの気配のようなものが消えた。
「えっ、ちょっと待って下さい!…もう声聞こえない。どうしよう…。」
キャサリンはどうしていいか分からず、困惑した。
もう中にいても仕方ないと思い扉を引くとキーッという音が響いた。そして、キャサリンは外に出た。
「キャサリン!何で泣いてるの?」
リンはキャサリンの顔を見て思わず叫んだ。
「えっ…。」
キャサリンは自分の内側にあった気持ちを吐き出して、気がつかないうちに涙が溢れていたのだった。
ED『タマちゃん』
タマちゃん
タマちゃん
タマちゃんみたいだね
かわいい
かわいい
タマちゃんみたいだね
タマちゃんみたいだねパカパン
次回予告
にゃー!タマだよ
猫の手も借りたいって言葉あるけど
タマは拳法使えるからかなりの戦力になると思うよ。
でも気が乗らないと動きたくないから魚の1匹くらいくれないとね
そんな訳で次回の話はトラウマ
お楽しみに




