第16話 天敵
「くだらない小細工ですね。こんなの一度引っ込めてまた出せば…、出ない。」
ドラキュラは能力『ブラッドアーティスト』でレイピアを出そうとしても出ずに焦った顔をした。
「出ないですよね。あなたの武器は血で出来ていてその量は限られてる。だからわざわざステッキを使ってた。さっきタマちゃんがバラバラにしたステッキを!」
キャサリンの頭には、先ほどドボ名人に耳打ちされた言葉が浮かんでいた。
「これってもしかしたらって事でしかないんだけど、ドラキュラの能力で出てきた武器って赤いでしょ。あれたぶん血で出来てると思う。それにレイピアを出せるのにわざわざステッキを使ってたでしょ。たぶん使える血の量が決まってると思う。」
キャサリンはドボ名人のアドバイスを聞いてから感覚で『フロスト・セレナーデ』を歌っていたという事だ。
「いまいましい!ならば噛みついて血をもらうまでです!」
ドラキュラはキャサリンに飛びかかろうとした。
『ルミナス・カンタービレ』
呪われし者よ 土へと戻れ
清らかな心で 生まれ変われよ
キャサリンはアンデッド系モンスターを消滅させる『ルミナス・カンタービレ』を繰り返し歌い続けた。
「何ですか!この歌は!頭が痛い!やめなさい!うわー苦しい!や…め…て…ギブ…アップ。」
ドラキュラはたまらず、ギブアップを宣言した。
「キャサリンさんストップです。ドラキュラさんギブアップの為に決着です。」
審判のチョキ君が割って入った。
「はい。」
キャサリンは歌うのをやめた。
「ふー、危なかった。もうちょっとで消滅する所でした。」
ドラキュラは冷や汗を流していた。
ルミナス・カンタービレでドラキュラギブアップして決着
モンスターバトル 第4試合
勝者 GON FOX キャサリン
OP『お子様ランドのテーマ』(2番のみ)
剣やゲームやマイクを渡されて
能力目覚めたと言われたけれど
使い方とか何も教えてくれない
説明書何で無いんだよ
急に宿命背負わされ
戦いの中に巻き込まれる
お子様ランド
お子様ランド
お子様ランドが愛しくて
お子様ランド
お子様ランド
お子様ランドを抱きしめる
「本気で消滅させるつもりだったんですか?」
ドラキュラは冷や汗をハンカチで拭きながらキャサリンに聞いた。
「つい夢中で…。」
キャサリンは気まずそうに答えた。
「フェニックスの洞窟では消滅しても大丈夫ですよね?」
ドラキュラはチョキ君に確認した。
「さすがに消滅したらどうしようもないと思います。」
チョキ君は淡々と答えた。
「!…。恐ろしい。お嬢さんはワタクシの天敵です。」
ドラキュラの額から再び冷や汗が出てきた。
「はあ…、すみません。」
キャサリンは謝るしかなかった。
「あー、タマが目覚ました!」
ごんすけの声が洞窟内に響くとキャサリンは急いでタマに駆け寄った。
その時タマは横になりながらも目を開けていた。
「タマちゃん…良かった。」
キャサリンはタマの姿を見て涙を流した。
「にゃ?何で泣いてるにゃ?」
タマは状況が分からず、ポカンとした。
「キャサリンがタマ助けてくれたんだよ。」
ごんすけなりに状況を説明した。
「にゃ?ありがとう。何の事かわかんないけど…。」
タマは自分がなんで寝てたのかも分からなかったが、とりあえず起き上がった。
「ドラキュラにやられた事は覚えてないの?」
ドボ名人はそんなタマの様子が気になって確認した。
「ドラキュラ?…。あっ、思い出した!でかい怪物だ。」
タマは何故か嬉しそうに答えた。
「それはたぶんフランケンだよ。」
ドボ名人はこれは全部忘れてるなと確信した。
「何にしても目覚まして良かった。」
いつも楽観的なごんすけだが、さすがにタマの事は心配していた。
「本当に良かった…。」
キャサリンはタマの手を握って泣いていた。
「キャサリンは泣いてばかりだね。まあ僕も人の事言えないけど。」
ドボ名人はそう言って笑った。
◇
ごんすけ達は洞窟の奥へと歩いていた。
「キャサリンさん、ステータスを上げる事が出来ますけどどうしますか?」
チョキ君は歩きながらキャサリンに確認をした。
「そうですね。じゃ、防御力でも上げようかな。」
キャサリンがイメージするとマイクがポンッとという音とともに現れたが、すぐにスーッと消えた。
「あれっ?消えちゃった。どうしてだろう。」
キャサリンはまた失敗したかと思って考えこんだ。
「もしかしたらSPが無くなったのかもしれません。あれだけ大技を連発しましたから無理ないと思います。」
「つまり能力はしばらく使えないって事ですよね?それで戦うのはちょっと…。」
「棄権する事も出来ますがどうしますか?」
「そうですね…。すみません、棄権します。」
「そうですか。では第5試合はキャサリンさんの不戦敗になります。」
チョキ君がコールしてキャサリンの不戦敗が決まった。
「では、狼男さんの不戦勝という事ですね。」
チョキ君はつぶやきながら持ち歩いていたメモ帳に書いた。
「それは普通に対戦相手言っちゃうんだ。」
ドボ名人は思わず声に出して言った。
それまで意図的に対戦相手を隠していると思っていたからだ。
キャサリン棄権の為、狼男の不戦勝
モンスターバトル 第5試合
勝者 モンスターズ 狼男
しばらく歩くと狼男が腕を組んで立っていた。
「狼男だ!!」
ごんすけは本で見た狼男が立っているので興奮して叫んだ。
「いや、さっき言ってたよ。」
ドボ名人はすぐに指摘した。
「そうなの?まあいいや、キャサリン頑張れ!」
「えっ、さっきの話聞いてなかったの?」
「さっきの話?何が?」
ごんすけはタマと話していたので何も聞いてなかった。
「ごんすけ、私しばらく能力使えなくて戦えないから棄権したの。それに能力使えないからごんすけのステータスも上げられない。本当にごめんね。」
キャサリンはごんすけの目をしっかりと見て申し訳なさそうな表情をした。
「そうなんだ。大丈夫。キャサリンはタマを助けてくれた。それだけで十分だよ。」
ごんすけは笑顔で返事をした。
「あれは当たり前の事しただけだよ。そんな事言われるとまた涙出てくる。」
キャサリンは少し涙目になった。
「にゃ?何で?」
タマはポカンとしながらキャサリンの顔を見た。
「何でもないよタマちゃん。」
キャサリンは笑顔になり、タマに抱きついた。
「よっしゃ!やるか。」
ごんすけは気合いを入れてから狼男の前に立った。
「おしゃべりは終わったかボウズ。」
狼男は腕組みをしながらごんすけに聞いた。
「えっ、オイラ坊主じゃないよ。スポーツ刈りだよ。」
ごんすけはとぼけたような顔をした。
「うっせえんだよガキが!準備は出来たかって聞いてんだ。」
狼男は待たされた上にごんすけのズレた返答でイラッとした。
「うん、出来たよ。」
「じゃ、始めるか。」
狼男は腕組みしてた腕をほどいた。
ED『暗闇のバラード』
真っ暗な暗闇の中で
子供達は何を思う
明日も見えない不安だとか
怖くてどうしようもない気持ち
だけど日常ではない状況に
なんだかワクワクもして
よく分からないけど冒険心で
この胸が この胸が ドキドキと
高まっていくんだ
涙を流したこの想いも
成長してる証なんだ
明日にはきっと光が見えて
眩しいはずなんだ
次回予告
ワーリチョン!アタイ九ちゃん。
ワーリチョンの他にお気に入りの言葉っていえばオドレヨって言葉なんだけどそれ言うとごんすけが踊ったらいいのって聞いてくるんだよ。アタイは別に踊れなんて言ってなくてオドレヨって言ってるだけなんだよ。
そんな訳で次回の話は剣の素人。
お楽しみに。




