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9話

第九話 考える


朝だった。


俺は目を覚ます。


まだ生きていた。


昨日と同じ天井。


昨日と同じ部屋。


違うのは。


また少し生存者が減っていることだけだった。


「おはよう」


美咲が言う。


「おはよう」


「生きてるね」


「お前もな」


昨日と同じ会話。


でも悪くなかった。


少なくとも。


まだ誰も死んでいない。


それだけで十分だった。


スーツの男も起きてくる。


「補給地点どうする?」


昨日の話の続きだ。


行く。


そこまでは決まっている。


問題は。


どうやって行くかだった。


俺は床に座る。


そして初めて考える。


ちゃんと。


このゲームのことを。


「能力ってさ」


俺が言う。


二人がこちらを見る。


「多分パターンあるよな」


スーツの男が頷く。


「あるだろうな」


「炎とか雷とかは戦闘系」


「そうだな」


「じゃあ俺の生存は?」


沈黙。


二人とも困った顔をした。


「分からん」


男が即答する。


少し傷付いた。


「でも」


美咲が言う。


「本当にハズレかな」


「ハズレだろ」


「でも悠人、生きてるよ」


俺は黙る。


確かに生きている。


でもそれだけだ。


能力のおかげかどうかも分からない。


「二人は何なんだよ」


聞いてみる。


昨日は答えなかった質問だ。


少しだけ空気が変わる。


だが。


スーツの男がため息を吐いた。


「隠しても仕方ないか」


男は頭を掻く。


「俺は分析」


「分析?」


「見た相手の情報が少し分かる」


俺は思わず顔を上げる。


それ結構強くないか。


「でも能力名だけだ」


男は苦笑した。


「ステータスまでは見えない」


なるほど。


だから昨日。


能力者を見た時も詳しく分からなかったのか。


「美咲は?」


今度は美咲を見る。


少し迷っていた。


だがやがて口を開く。


「観測」


「観測?」


「危険な方向とか、人がいる場所とか」


俺は固まる。


それ。


めちゃくちゃ便利じゃないか。


「だから昨日」


俺は思い出す。


窓の外を見ていたこと。


何度か周囲を確認していたこと。


美咲は少しだけ視線を逸らした。


「まあ、そんな感じ」


それだけ言った。


俺は三人の能力を考える。


分析。


観測。


生存。


どれも戦闘向きじゃない。


でも。


だからこそ生き残っている気もした。


その時。


放送が流れる。


『補給地点開放まで残り一時間』


時間だ。


俺達は立ち上がる。


補給地点へ向かうために。


だがその時の俺達はまだ知らなかった。


補給地点に集まるのは。


俺達みたいな逃げる側だけではないことを。


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