表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
10/20

10話

第十話 補給地点へ


補給地点まで残り十分。


俺達はできるだけ人目につかない道を選びながら進んでいた。


街の中心へ近付くにつれて、人影も増えてくる。


もちろん一般人じゃない。


全員参加者だ。


向こうもこちらを警戒している。


俺達も向こうを警戒している。


ただそれだけだった。


誰も近付こうとはしない。


下手に戦えば死ぬからだ。


「思ったより平和ですね」


美咲が言った。


「平和ではないだろ」


スーツの男が即座に突っ込む。


「人が死んでるんだぞ」


「それはそうなんですけど」


「感覚麻痺してないか?」


「少しだけ」


「俺もだ」


男はため息を吐いた。


俺も否定できなかった。


ゲーム開始直後なら、人が死んだだけで震えていたと思う。


今は違う。


もちろん怖い。


でも昨日ほどではない。


慣れ始めている。


それが少し嫌だった。


「そういえば」


俺は前から気になっていたことを聞く。


「分析って結局どこまで分かるんですか?」


男は少し考える。


「能力名だけだな」


「本当に?」


「本当に」


「弱くないですか?」


「お前にだけは言われたくない」


即答だった。


「生存だぞ」


「知ってます」


「本当に何なんだよその能力」


「俺が聞きたい」


美咲が吹き出した。


「確かに」


「笑うな」


「だって生存って」


「だから俺も困ってるんだよ」


しばらく三人で笑う。


今思うと変な光景だった。


殺し合いゲームの最中なのに。


能力談義で盛り上がっている。


その時だった。


スーツの男が急に真面目な顔になる。


「でもな」


「ん?」


「俺達の能力」


男は指を折る。


「分析」


次に美咲を見る。


「観測」


最後に俺。


「生存」


沈黙。


「弱くないですか?」


美咲が言う。


「弱いな」


男が答える。


「弱いですね」


俺も頷く。


「誰も攻撃できない」


「誰も戦えない」


「終わってる」


三人とも黙る。


そして。


なぜか全員笑った。


「よく生きてるな俺達」


男が言う。


「本当に」


美咲も頷く。


俺も同意だった。


炎もない。


雷もない。


剣もない。


超人的な身体能力もない。


それなのに。


三人とも生き残っている。


不思議な話だった。


「まあ」


男が肩をすくめる。


「だからこそかもしれんけどな」


「何がですか?」


「戦わないから」


その言葉に少し納得してしまった。


能力者同士の戦いを見た。


あんなものに関わったら死ぬ。


だったら逃げる。


隠れる。


生き残る。


それが正しいのかもしれない。


その時だった。


「見えた」


美咲が立ち止まる。


全員が前を見る。


遠く。


街の中心部。


青い光が見えていた。


補給地点だ。


周囲には既に何人もの参加者が集まっている。


誰も動かない。


誰も先に入ろうとしない。


まるで地雷原を前にしているみたいだった。


「嫌な予感しかしないな」


男が呟く。


俺も同じだった。


補給地点そのものじゃない。


その周囲。


どこかがおかしい。


理由は分からない。


根拠もない。


ただ。


行きたくない。


本能がそう言っていた。


それでも。


俺達は歩き出す。


補給地点へ向かって。


まだ誰も知らない。


この補給地点が。


ゲーム開始以来、最大の転機になることを。


「面白かったらブックマーク、下の評価よろしくお願いします!」

ブックマークや高評価、ランキングでこれからの投稿に力が入ります

___

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ