表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/7

3話

第三話 誰かがいた


建物の奥に、人がいた。


女の子だった。


俺と同じくらいの年齢に見える。


向こうもこちらに気付いたらしく、少し驚いた顔をしている。



数秒。


お互い何も言わない。



先に口を開いたのは彼女だった。



「……よかった」



思わず聞き返す。



「え?」



「誰もいないと思ってたから」



そう言って彼女は少しだけ笑った。


無理に作ったような笑顔だった。



俺も少しだけ肩の力が抜ける。


正直な話。


安心した。



知らない場所に連れて来られて。


意味の分からないゲームが始まって。


さっきまで人が死ぬところを見ていた。



そんな状況だ。



一人はきつかった。



「ここにいたんだ」



「隠れてただけ」



「私も」



それだけの会話だった。



だけど、それだけで十分だった。



窓の外を見る。


遠くで黒い煙が上がっている。



爆発音も聞こえる。



さっきまでは映画の中の話みたいだった。


でも違う。


あれは本当に起きている。



「帰れるのかな」



彼女がぽつりと呟いた。



俺は答えられなかった。



帰れる。


そう言い切る自信がなかった。



「家族、心配してるかな」



その言葉で胸が少し痛くなる。



俺も親の顔を思い出した。



朝までは普通だった。


学校へ行って。


授業を受けて。


帰ったらゲームでもしようと思っていた。



それが今は。



命を懸けた殺し合いの中にいる。



現実感がなかった。



その時。



ドォン!!



爆発音。



建物が大きく揺れる。



思わず身を縮める。



「な、なに!?」



彼女の声が震える。



俺はゆっくり窓へ近付いた。



そして。



言葉を失った。



遠くのビルの一部が吹き飛んでいた。



崩れたのではない。


破壊された。



誰かが戦っている。



普通の人間じゃない。



能力者だ。



離れているのに分かる。



車が宙に浮いている。


信号機が折れている。


コンクリートが砕けている。



俺達がいる場所まで振動が伝わってくる。



「嘘だろ……」



思わず声が漏れる。



あんなのに巻き込まれたら終わりだ。



すると。



ピシッ。



小さな音がした。



天井だった。



ヒビが入っている。



「まずい」



次の瞬間。



ガラガラッ!!



コンクリートが崩れ落ちる。



反射的に後ろへ飛ぶ。



轟音。



さっきまで立っていた場所に瓦礫が落ちていた。



一歩遅ければ潰されていた。



しばらく誰も喋れなかった。



彼女も青い顔をしている。



俺は崩れた天井を見上げる。



心臓がうるさい。



本当に死ぬところだった。



「ここも危ないかも」



彼女が言う。



俺も頷いた。



正直、もうここにいたくない。



だけど外はもっと危険だ。



どこへ行けばいいのか分からない。



何が安全なのかも分からない。



ただ一つだけ分かる。



このゲームは始まったばかりだ。



そして。



俺達はまだ何も知らない。



空に浮かぶ数字は。



【997】



さっきよりさらに減っていた。


「面白かったらブックマーク、下の評価よろしくお願いします!」

ブックマークや高評価、ランキングでこれからの投稿に力が入ります

___

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ