↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
3/21

3話

第三話 誰かがいた


建物の奥に、人がいた。


女の子だった。


俺と同じくらいの年齢に見える。


向こうもこちらに気付いたらしく、少し驚いた顔をしている。


⸻


数秒。


お互い何も言わない。


⸻


先に口を開いたのは彼女だった。


⸻


「……よかった」


⸻


思わず聞き返す。


⸻


「え?」


⸻


「誰もいないと思ってたから」


⸻


そう言って彼女は少しだけ笑った。


無理に作ったような笑顔だった。


⸻


俺も少しだけ肩の力が抜ける。


正直な話。


安心した。


⸻


知らない場所に連れて来られて。


意味の分からないゲームが始まって。


さっきまで人が死ぬところを見ていた。


⸻


そんな状況だ。


⸻


一人はきつかった。


⸻


「ここにいたんだ」


⸻


「隠れてただけ」


⸻


「私も」


⸻


それだけの会話だった。


⸻


だけど、それだけで十分だった。


⸻


窓の外を見る。


遠くで黒い煙が上がっている。


⸻


爆発音も聞こえる。


⸻


さっきまでは映画の中の話みたいだった。


でも違う。


あれは本当に起きている。


⸻


「帰れるのかな」


⸻


彼女がぽつりと呟いた。


⸻


俺は答えられなかった。


⸻


帰れる。


そう言い切る自信がなかった。


⸻


「家族、心配してるかな」


⸻


その言葉で胸が少し痛くなる。


⸻


俺も親の顔を思い出した。


⸻


朝までは普通だった。


学校へ行って。


授業を受けて。


帰ったらゲームでもしようと思っていた。


⸻


それが今は。


⸻


命を懸けた殺し合いの中にいる。


⸻


現実感がなかった。


⸻


その時。


⸻


ドォン!!


⸻


爆発音。


⸻


建物が大きく揺れる。


⸻


思わず身を縮める。


⸻


「な、なに!?」


⸻


彼女の声が震える。


⸻


俺はゆっくり窓へ近付いた。


⸻


そして。


⸻


言葉を失った。


⸻


遠くのビルの一部が吹き飛んでいた。


⸻


崩れたのではない。


破壊された。


⸻


誰かが戦っている。


⸻


普通の人間じゃない。


⸻


能力者だ。


⸻


離れているのに分かる。


⸻


車が宙に浮いている。


信号機が折れている。


コンクリートが砕けている。


⸻


俺達がいる場所まで振動が伝わってくる。


⸻


「嘘だろ……」


⸻


思わず声が漏れる。


⸻


あんなのに巻き込まれたら終わりだ。


⸻


すると。


⸻


ピシッ。


⸻


小さな音がした。


⸻


天井だった。


⸻


ヒビが入っている。


⸻


「まずい」


⸻


次の瞬間。


⸻


ガラガラッ!!


⸻


コンクリートが崩れ落ちる。


⸻


反射的に後ろへ飛ぶ。


⸻


轟音。


⸻


さっきまで立っていた場所に瓦礫が落ちていた。


⸻


一歩遅ければ潰されていた。


⸻


しばらく誰も喋れなかった。


⸻


彼女も青い顔をしている。


⸻


俺は崩れた天井を見上げる。


⸻


心臓がうるさい。


⸻


本当に死ぬところだった。


⸻


「ここも危ないかも」


⸻


彼女が言う。


⸻


俺も頷いた。


⸻


正直、もうここにいたくない。


⸻


だけど外はもっと危険だ。


⸻


どこへ行けばいいのか分からない。


⸻


何が安全なのかも分からない。


⸻


ただ一つだけ分かる。


⸻


このゲームは始まったばかりだ。


⸻


そして。


⸻


俺達はまだ何も知らない。


⸻


空に浮かぶ数字は。


⸻


【997】


⸻


さっきよりさらに減っていた。


「面白かったらブックマーク、下の評価よろしくお願いします!」

ブックマークや高評価、ランキングでこれからの投稿に力が入ります

___

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。