14話
第十四話 誰が殺した
補給地点は静まり返っていた。
さっきまで少しずつ動き始めていた参加者達も、完全に足を止めている。
目の前で人が死んだのだ。
しかも。
誰が殺したのか分からない。
能力か。
罠か。
それとも別の何かか。
何も分からない。
だから余計に怖い。
「離れよう」
スーツの男が言った。
「賛成」
俺も頷く。
美咲も反対しない。
この場は危険すぎる。
補給地点に近付くより。
まずは生き残ることだ。
俺達は少しずつ後ろへ下がる。
すると。
周囲でも同じ行動を取る参加者がいた。
考えることは同じらしい。
「なあ」
歩きながら俺は聞いた。
「分析で何かわからないのか?」
男は首を横に振る。
「無理だな」
「能力名は見えるんだろ?」
「見える」
「じゃあ怪しい奴とか」
「多すぎる」
男はため息を吐く。
「毒」
「呪い」
「罠」
「狙撃」
「操作」
「それっぽい能力だけでも何人もいる」
確かに。
能力名だけじゃ判断できない。
その時だった。
「待って」
美咲が立ち止まる。
全員が止まる。
「どうした?」
「人がいる」
観測。
美咲の能力だ。
俺達は近くの建物へ身を隠す。
数秒後。
道路の向こうを数人の参加者が走っていった。
補給地点の方向だ。
「まだ行くのか」
スーツの男が呟く。
「あれだけ見たのに」
その時だった。
遠くから悲鳴が聞こえた。
全員が顔を上げる。
補給地点の方向。
まただ。
「行くぞ」
スーツの男が言う。
「え?」
「近付くわけじゃない」
男は補給地点を見た。
「でも何が起きてるかくらいは知りたい」
俺達は慎重に移動する。
そして。
見えた。
補給地点。
その近く。
地面に倒れている人影。
一人じゃない。
二人。
三人。
さらに増えていた。
「おい……」
俺は言葉を失う。
戦った形跡はない。
傷も見えない。
なのに死んでいる。
まるで。
何かに選ばれたみたいに。
その時だった。
スーツの男が顔をしかめる。
「どうした?」
「いや……」
男は補給地点を見つめている。
「おかしい」
「何が?」
「死んだ奴ら」
男は少し考える。
そして。
小さく呟いた。
「全員、同じ能力系統だ」
俺達は固まった。
「は?」
「どういうことだ?」
男は視線を倒れている参加者達へ向ける。
「罠」
「毒」
「呪い」
「設置系」
「能力名は違う」
「でも似てる」
俺は意味が分からなかった。
だが。
スーツの男は本気だった。
「偶然じゃない」
その時。
美咲が青い顔で補給地点を見ていた。
「美咲?」
呼びかけても返事がない。
そして。
ゆっくりと。
補給地点の奥を指差した。
「……いた」
その一言で背筋が冷える。
「誰が?」
俺が聞く。
美咲は答える。
震える声で。
「黒パーカー」
補給地点の一番奥。
誰もいないはずの場所。
そこに。
黒パーカーの男が立っていた。
まるで最初からずっと。
そこにいたみたいに。
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