↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天下一★文化祭  作者: 浅野エミイ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
20/22

男子、メイクアップ!5-3

 どうやら文化祭のステージで、男女対抗で勝負をしようとしていたらしい。まぁ勝手に勝負していても僕としては関係ないのだが、そのせいで人がたくさん来て、防犯上危険になったら困る。ここはやはり事前にチケットを配って、人数を制御したほうがいいな。

 僕はそのことをみんなに伝えた。


「仕方ない……か。でもたくさんオーディエンスが来て、モッシュとかしたら盛り上がっただろうなぁ……」


 和宮が残念そうにつぶやくと、中山がいさめた。


「モッシュは今、ライブ会場でも禁止されていることが多いからな。さすがに怪我されて責任を負わせられたら困る」

「ジャズのステージはあんまりそういうのないんですけどね」


 領土がうーんとあごに手を当てつぶやく。その話を聞いていた女子たちは、FDを笑った。


「バンドって、やっぱり危ないのね。あたしたちのファンと大違いじゃん」


 河合が勝ち誇ったように笑うと、極がヅカ愛好会らしく「まぁまぁ」とオーバーアクションした。

 大里はむすっとして、僕に聞いた。


「俺たち大トリだし、学校から帰る人たちがちらっと見ていくかもしれないんだけど」

「……ふむ。わかった。ステージ周りの動線も考えてみることにしよう」


 そう言ってフラペチーノを口に入れる。他のみんなも堂島と寺山の奢りのスイーツドリンクを飲む。季節は夏を過ぎたばかり。まだまだ暑い。


 僕がノートを見ながらドリンクを楽しんでいたところ、青田がたずねてきた。


「上崎くんは、どのステージを見たいとかないの?」

「そうだよ! 当のお前は見たいステージはあるのか?」


 和宮も同じ質問をする。それを聞いていた堂島と寺山も、視線を僕に向ける。


「ボクたちは無理やりダンスを見てもらおうとしたけど、上崎自身はどう思ってるんだ?」

「確かに知りたいっていうか……上崎本人は福の神パワーを使いたくないのはわかってるけど」


 みんなから視線を向けられた僕は、パンフレットを見た。

 頼まれたから見る、というのを抜きにして、純粋に見たいステージか。僕はぽそりとつぶやいた。


「……マジックショーかな」

「マジック!?」


 みんなが驚く。他にも出し物は色々あるけど、マジックショーなんてあんまり見る機会ないからな。昔だったらデパートの屋上とか、遊園地のステージとかでやっていたんだろうけど、すっかりそんなイベントもなくなってきた。

 僕の話を聞いていた星川が納得したようにうなづく。


「なんかわかるわ。マジックならゆっくり座って見られるしな」

「それなら私たちだってのんびり観劇できると思うけど?」


 にっこりと花柳が僕を見つめる。僕は手を顔の前で振ると、再びステージに出演するグループたちのタイムテーブルを確認する。

「……待てよ。クレイジー・グラスが出演中止となると……くじで落選したチームが敗者復活するのか?」

「えっ、本当!?」


 アイドル研の3人が、ぱあっと顔をきらめかせる。僕は落選したグループをちらりと見る。


「またくじかじゃんけんで決めるか」

「……上崎ぃ、そんなこと言わないで、ずばりあたしたちに決めてよぉ~!」


 河合が色仕掛けを使ってくる。だけど、くじもじゃんけんも平等でなくてはならない。僕は厳しい視線で首を振った。


「当然ひいきはなしだ。明日、落選したグループに集まってもらう」


 僕はそう言って、SNSで落選したチームにメッセージを送った。……うん、これでよし。


「文化祭は正々堂々と。ひいきはなしだ」

「ひゅーっ! かっこいい!」


 星川と月本が指笛を吹いて茶化す。ダンス男子のふたりは、女装したまま魂が抜けているようにぽかんとしてテーブルに頬杖をついている。

 アイドル研は嬉しそうに手を取り合って喜んでいた。


 「――では、また明日文化祭実行委員会を開くけど、みんな出席してくれ。よろしく」


 僕はそう言うと、ノートをカバンにしまい、立ち上がった。


「星川、月本、会計」

「……え? ワンドリンクサービスだよ?」


 首を傾げるふたりに、僕は真面目に言った。


「文化祭はひいきなし。もちろん君たちもだよ。メイド喫茶で売上MVPを狙っているんだろ? だったら賄賂を疑われたら困るのは君たちだ」

「あぁ、そういうことか」

「堅物だなぁ、上崎は」


 星川と月本がやれやれと言った具合に笑う。僕はみんなに手を振ると、アルテミスを出た。


 ――そして翌日。ステージ落選組のくじ引きをするため、また放課後文化祭実行委員会を開催した。落選グループだけではなく、ステージに出演が決まっているグループも同席する。

 僕は箱にくじを入れると、落選チームに渡す。全員がくじを引くと、紙を開く。当選したのは――


「やったぁ! 密! リン! 当たりだよ!」


 喜んでいる河合を見て、アイドル研が当たったのがわかる。ぱらぱらと拍手が鳴り響く。


「……マジかよ」

「FDのみんな、ライバル登場! だね」


 和宮が顔を引きつらせる中、極が面白そうに笑う。河合たちはFDをびしっと指さした。


「ふっふっふ……負けないわよ、あたしたち」

「言ってろよ。俺たちは完璧なステージをこなすだけだ」

「……」


 不祥事で、謝罪のために委員会に来ていたダンス男子は、黙ってうつむいたままだ。少し罰を与えすぎただろうか。僕はちらっと堂島と寺山を見た。

 

「あーあ、ここまで一生懸命練習してきたのにな」

「仕方ねえよ。やりすぎたんだから」

「……堂島、寺山。これでも僕に踊りを見て欲しいなら、文化祭が終わったあとなら、見てもいいが?」


 僕が提案すると、ふたりは顔を上げた。


「いいのか? 上崎」

「ああ」

「……ありがとな」


 こうして色々あった文化祭準備。いよいよ来週だ――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。