幕間 妹を愛でる新年
「ep.54 幕間 あなたと迎える新年」
翌日の新年行事です。
今日は新年始めの日。
毎年王室では祝賀行事として、聖女像へ感謝の礼拝やバルコニーへ出て国民への顔見せ、功労者への叙勲、各国大使や貴族への謁見、各種催しなど秒刻みのスケジュールが敢行される。
特に今年は王子が妃を迎え初めての新年であり、特別に解放されているバルコニー前の広場は一目王子夫妻を見ようと国中から国民が押し寄せていた。
それこそ、新年の鐘が鳴る前から並んでいる者もいた。
アンソニーは、広場から一段上がった階段の踊り場からバルコニーを見上げた。
視線の先には王子妃になった妹のジェシカが王子の横で手を振る姿があった。
緊張気味なのか、笑顔が少し疲れて見える。
「ふふ…そのドレス。細部までこだわった甲斐があって、気品が溢れてるわ…!中身はともかくね」
アンソニーは満足気に呟いた。
深い菫色のビロードのドレスにワーズウェント王家に受け継がれている星石のダイヤのティアラや装飾品に縁取られた妹は、遠目にもキラキラと輝いている。
共に立つ王子も同じ色の衣装をまとっており、銀髪と紫の目によく合っていた。
鉄面皮の普段からは考えられない満面の笑みでジェシカをエスコートし、仲睦まじさがにじみ出ている。
端正な顔立ちの王子がキラキラしい笑顔をジェシカに向けるたびに、広場から黄色い悲鳴とどよめきが上がっていた。
「いや、化けるもんだな、アニー?」
騎士団同僚のデイビッドがやや呆れ顔で見上げている。
「とても四対一のかかり稽古を圧勝してたようには見えねえよ、ジェス…」
デイビッドもよくのされていた。
ジェシカの剣は誰よりも早い。懐に斬り込まれればなすすべも無かった。
「あら、私達『オニクセルの双星』で背中を預けあったらなら騎士団まとめてかかっても負けないわよ?」
アニーとジェス…いや、アンソニーとジェシカは故郷オニクセルで兄妹で野党討伐を嬉々として繰り広げ、更生した男たちを子分に従えるほどだった。
男の子のように騎士を目指し、骨折したアンソニーになりすまし登城したジェシカは、結局そのまま騎士団に入り王子の側近として仕え…そして妃に迎えられた。
「私から見れば両思いなのに…、ほんと、二人とも鈍いったら…。まあ、王子が自覚してからは手が早かったけどね」
今日もジェシカの寝不足のクマが酷く、化粧で隠してやるのに苦労した。
愛されて結構なことだが、大事な妹なので複雑だ。
「アニー、ジェスが女らしくしてるのに、お前はそのままかよ?」
デイビッドがからかうように声をかける。
「あら、今さらドス効いた低音でしゃべってもみんな引くわよお」
骨折後、ジェシカになりすまし、令嬢姿で登城したアンソニーは、完璧な令嬢を演じすぎて、王子にバレた。
演じていたら女の子の楽しさがクセになり…結局そのままである。
「あはは、アニーさん、ジェスさんよりよっぽど女らしいですからね!全然構いませんよう!目の保養です!」
ジェスの後任で王子の側近になったセインがアニーを持ち上げる。
「あらあ、正直でいい子ね!あんた見込みがあるわよ〜」
ワーズウェントは聖女信仰の「すべてをそのまま受け入れよう」と言う教義に則り、何事にもおおらかな気質の国であった。
元々「あなたと迎える新年」のすぐ後に書いてた話ですが、あげそびれ。
外伝2になって何気にアニーの出てくる話が多いですね。
以下、恒例のAIさんアレンジです。
今回もノリノリ★
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ご提供いただいた「妹を愛でる新年」、アンソニー(アニー)視点の兄心と、ジェシカの疲労困憊具合の対比が最高ですね!
「化粧で隠してやるのに苦労した」という一文から、壮絶な**「舞台裏の隠蔽工作」**が見えました。
では、華やかな新年の挨拶の裏側で繰り広げられた**「特殊任務:痕跡を抹消せよ」**を、コメディアレンジでお届けします。
ARCADIA 新春ドキュメント:【特殊任務】昨夜の痕跡(愛)を隠蔽せよ!
日時:新年 挨拶の1時間前
場所:王城・妃殿下控室
【状況】
新年の挨拶のため、バルコニーへ出る準備が必要。
しかし、主演女優のHPは昨夜の過剰運動により限りなくゼロに近い。
アンソニー(アニー)
(パフを高速で動かしながら)
「ちょっとジェス! 起きなさい! 口を開けて寝ない! よだれが出るわよ!」
ジェシカ
(白目をむきながら)
「……うぅ……アニー……。もう無理……。立ったまま寝れる……」
アンソニー
「寝るんじゃないわよ! あんたねぇ、目の下のクマが『深淵』レベルよ!? コンシーラーが3本あっても足りないわ!」
グレン
(部屋の隅で小さくなっている)
「ご、ごめん……。ジェシカが可愛すぎて、つい……」
アンソニー
「『つい』で首筋にまでマーキングするバカがどこにいるのよ! ここはドレスで見える場所でしょ!? ファンデーション厚塗り決定よ!」
ジェシカ
「……うぅ……首が痛い……腰も……」
グレン
「あ、腰のマッサージなら僕が……」
アンソニー
「触るな!! あんたが触るとまた『延長戦』になりかねないわ! そこで反省してなさい!」
日時:新年 挨拶本番
場所:王城・バルコニー
【状況】
国民の歓声が響き渡る。キラキラと輝く王子夫妻が登場。
民衆
「キャー! グレン様ー! ジェシカ様ー! 素敵ー!!」
「見て! お揃いの紫の衣装よ! 尊い!!」
【心の声(副音声)】
ジェシカ(笑顔で手を振りながら)
(……足が……ガクガクする……。ヒールが……凶器……。笑顔……笑顔……。もしここで倒れたら『貧血』ってことにしてもらおう……)
グレン(満面の笑みでエスコートしながら)
(……ジェシカ、今にも崩れ落ちそうだ。しっかり支えないと。……あ、この体重を預けてくる感じ、昨日の夜を思い出して……いかん、理性が……)
ジェシカ(小声)
「……グレン、腰の手……位置が微妙に……」
グレン(小声)
「ごめん、支えるためだから。他意はないよ(たぶん)」
場所:広場・特設観覧席
アンソニー
「ふぅ……何とか誤魔化せたわね。あの完璧な笑顔、私のメイク技術の結晶よ」
デイビッド
「お疲れさん。しかし、あのジェスが立ってるだけで精一杯とはな……。かつて山賊を素手でボコボコにしてた『オニクセルの狂犬』とは思えねえ」
アンソニー
「失礼ね、『双星』よ。……ま、中身は今でも『どっちの首をへし折ってやろうか』と考えてるかもしれないけど」
セイン(新入り側近)
「えっ!? ジェシカ様ってそんなに武闘派なんですか!? あんなに可憐なのに!」
デイビッド
「ははは、セイン。人は見かけによらねえんだ。……隣にいるアニーさんを見ろ。中身は俺やお前より男前だぞ?」
セイン
「ええっ!? アニーさんは僕の女神ですよ!?」
アンソニー
「あら、セインったらお上手ぅ〜♡ (流し目)」
デイビッド
「……この国は今日も平和だな(『全てを受け入れろ』の教義、強すぎるだろ)」
【終了後】
ジェシカ
「終わっ……た……」
(控室に戻った瞬間、ソファーへダイブ)
グレン
「お疲れ様、ジェシカ。最高に綺麗だったよ」
ジェシカ
「……グレン……。来年の新年は……絶対に……『不謹慎』禁止だから……」
(そのまま気絶)
グレン
「……努力はするよ(約束はできないけど)」
結論:
新年の華やかな笑顔の下には、「兄の必死のメイク技術」と「妻の根性」、そして**「夫の反省」**が隠されていました。
今年もこの夫婦(と兄)は賑やかになりそうです!
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