EPISODE 3 - 72
そう思っての質問だったが、
まさか、こんなカウンターを
受けるとは、思っても見なかった。
『ブラック・オニキス』には、
俺の家族である
『ルリ』と『ヒスイ』が所属していたはずだ。
「(まさか、こんな所で
2人の手掛かりを得られるとは………)」
2人の事を問いただそうとして、
寸での所で、思い止まることにした。
不要と判断すれば、味方でも平気で、
切り捨てるような奴が居る場所だ。
「(組織内での2人の
立ち位置が分からないうちは、
下手な事はしない方が良いな………)」
そう判断した俺は、
色々な想いを胸の中にしまい、
今は『カイト』の話に集中することにする。
「それと俺達の『目的』だったか?
俺達の所属している組織は、
ある一つの『理念』を掲げている」
「その『理念』と言う奴は、
さぞ大層な物なんだろうな」
「そうだ………。
だが、その『理念』を『実現』する為には、
より多くの『優秀な人材』が必要だ………。
俺は、お前ならそれも『実現可能』だと思っている」
「(『理念』………。ねぇ………)」
どれ程の物かは、分からないが
仲間を切り捨ててでも、
実現しようとするものに
碌な物は無いだろ。
こうなって来ると、
2人にはまだ、俺の生存を
知らせない方が良いかもしれないな。
「もう一度聞く………。
俺達の仲間にならないか?」
先程の戦闘内容が、
余程、気に入ったのか、
『カイト』から再度、勧誘をされた。
「だが、断る!」
『カイト』からの
2度目になる勧誘も即座に断る。
「ここで死ぬ事になってもか?」
「それでもだ!!」
その瞬間、『カイト』から
凄まじいまでのプレッシャーを感じたが、
それに負けないように俺は、
意志を強く持つと、『カイト』の
一挙手一投足に全神経を傾ける。
「まぁ良い………。
お前にも考える時間が、
あった方が今は良いだろう」
数秒間程、睨み合いを続ける
俺達だったが、不意に『カイト』から
感じていたプレッシャーが鳴りを潜めた。
「今はこれで撤退するが、
次に会う時は、返答によっては
お前を『排除』する………。
そうならない為にも、良い返事を期待しているぞ」
そう言うと『カイト』は、
メインブースターを点火させて、
飛翔を開始した。
『カイト』の撤退に合わせるように、
ベフィモスの上に居た、『銀色の外骨格』も
撤退準備を開始していた。
「(本当にこの場は、撤退するのか?)」
『カイト』の言った事に、
半信半疑だった俺だが、
撤退を開始する2人を見て
奴の言ったことが本当だったと理解する。
「(ふぅ~………。
このまま『継戦』にならなくて良かったぜ)」
時間的にも余裕が無かった俺としては、
無用な戦闘を回避出来たことに安堵する。
「俺とした事が、肝心な事を聞き忘れていた」
完全に気を抜いていた訳では無いが、
上昇を続けていた『カイト』が
その場で、ホバリングをすると
俺に質問をして来た。
「何だ?『朱音』の事なら話すつもりは無いぞ??」
「それは、もう良い………。
お前の『名前』を教えてくれないか?」
やはり気が変わったのかと
身構える俺に対して、
『カイト』は気安い調子で、
そんな事を聞いて来た。
隠す意味も特になかったので、
素直に教えようとした瞬間、
疑問が過った。
「(こいつ『名前』を教えても良いのか?)」
こいつの所属している組織は、
今は『ブラック・オニキス』と言っていた………。
話からして本来所属しているのとは
別の組織なんだろうが、
何かの拍子で『ブラック・オニキス』に
所属しているであろう
『ルリ』と『ヒスイ』に
万が一の事が起こったら面倒だ………。
「(どうしたものか………)」
「そう言えば、俺の方もまだ
名乗っていなかったな………。
まずは、俺から名乗ろう………。
『カイト・サーペン』だ」
俺が自分の名前を告げるかどうか、
数瞬迷っていると、何を勘違いしたのか
奴が最初に名乗りを上げた。
こうなって来ると、
俺が名乗りを上げないのは、
不自然な事になる。
「(クソ………)」
それに希望的観測ではあるが、
『カイト』のように
『ルリ』や『ヒスイ』も
『ブラック・オニキス』に
仮で所属しているだけかもしれない。
それにこれは、
ある意味『チャンス』なのかもしれない。
ここ最近、調べてみても
2人の行方は全然、掴めなかったが、
俺が『カイト』に名前を告げる事によって、
2人の方から何らかのアクションがあるかもしれない。
そう思い直した瞬間俺は、
『カイト』に向かって名乗り上げる事にした。
「俺は『アキト・ハーヴェル』だ」
「『アキト』か………。
その名前、確かに覚えたぞ」
そう言うとカイトは、
更に上昇を始める。
一定の高度に達した所で、
まず最初に『銀色の外骨格』が
『オーバー・ブースト』を使い
高速でこの場より離脱を開始していった。
その後を追うように、
カイトも『銀色の外骨格』が
向かった方角に向かって
『オーバー・ブースト』の
チャージを開始する。
「そうそう言い忘れていたが、
『クレース』の処分はあくまで序だったが、
本来は『ベフィモス』が破壊された場合、
『実験体』の『確保』と、
ベフィモス自体の『破棄』が俺達の任務だ」
「ん?」
何で突然そんな事を言ってきたんだ?
俺の疑問を余所に、カイトが
今回の『作戦概要』を説明していく。
「『実験体』の『確保』は出来なかったが、
予定通りベフィモスは、ここで『破棄』する」
「まさか!?」
それを聞いた瞬間俺は、
朱音との戦闘で、今は動かなくなった
ベフィモスを見る。
「そういう訳で、『死』ななかったら
またいずれ会おう!!」
その瞬間、
『オーバー・ブースト』の
チャージが終えたカイトも
『銀色の外骨格』に続いて、
この場より、高速で離脱を開始した。
「クソたれが!!」
俺も急いで、
ベフィモスから離れようと
『オーバー・ブースト』の
チャージを開始する。
そして………。
『オーバー・ブースト』の
チャージが終わり点火した瞬間………。
今までとは比べることが出来ない程の
『大爆発』がベフィモスの内部から巻き起こった………。
この度は、最果ての世界を
ご覧頂きまして、誠にありがとうございます。
これからも、3分間から5分間の
ささやかな楽しみを
皆様に提供出来ますように
のんびりマイぺースながらも
精進してまいりますので
何卒最後までお付き合いの程
宜しくおい願いいたしますm( _ _ )m




