↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生おっさんのミリしら乙女ゲームRTA〜悪役令嬢を影から助けようと思ったらとんでもないことになった〜  作者: 二葉 葵


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
30/40

間話〜アメジス邸コンサバトリーにて◇前編 ソフィア視点〜 




 サロンにライオネル様をお迎えして、2人で廊下を歩く。


「今日はお招きありがとうございました」


「いえ、父が貴方をお招きしたので、″私が″という訳ではありませんわ」


「あ、それもそうですね」


 そう言いへらっと笑うライオネル様。


(しまったわ…!!私としたことが、どうして……こんなんじゃ冷たい女だと思われてしまうわ…この日の為に色々用意していたのに…!!)


 自分の半歩後ろを歩く相手に感情を悟られないよう唇を噛んだ。


(でも想定外なのよ…、なんで、…なんで普段と違ってこんなにカッコ良くなってるのよ!!)


 今日のライオネルは普段のボサボサ頭とツィードのスーツという出立ちとは違い、髪は緩くオールバックにセットされ、スーツも明るい白のスーツにグレーのベスト、そして清潔感のある水色がかったネクタイをしており、このまま社交の場に出ても遜色ないドレスコートをしていた。

 でも極め付けは目元にある。寝不足や疲労から目元の涙袋がぷっくりと赤らんでおり、少し潤んだ瞳(実際は眼精疲労)が妙に色気を醸し出しているのだ。


(私の為に動いてくれているという話をお父様から聞いて喜んでたけど……これは迂闊だったわ。まさかこんな状態で夜会へ行っているんじゃないでしょうね)


 後に調べて、やはり若い令嬢から同世代の婦人の中で話題になっていて火消しが大変になるのだが、知らない現時点のソフィアは、夜会での状況を調査してなんとかしなくては、と静かに闘志を燃やしていた。


 チラと相手を見ると、そんな自分の様子に気づかず邸の中をキョロキョロと眺めていた。アメジス家はアダマス王国の貴族の中でも古くから肩を並べている家だ。この王都の公爵邸も何度も手を加えつつ、昔の骨董品や絵画、建築技法を使った所も残しているから他の人から見ればちょっとした博物館なのだろう。


(そういえば今日の服、なんかライオネル様と合わせたみたいだわ)


 ふとそんな発想が湧き立ち、ぶわっと顔に血が昇るのを感じた。すると、そんな自分の様子に気づいたのか、


「…あの、ソフィア嬢。もしかして具合でも悪いのかな?」


「へ?」


「いや、言葉も少ないし、なんだか首から耳も赤くなってるからどこか調子が悪いのかなって」


 そう言いながら私を横から上目で覗き込んできた。うぅ、なんだか大人の男性のコロンの香りもするわ…!


「な、なんでもありませんわ…!覗き込まないでくださらないこと?」


「わわ、これは失礼。…でも体調が悪い訳じゃなくてよかったよ」


 そう言われライオネル様の顔を見るとふんわりと優しく微笑まれた。あまりの破壊力に反射的に目を逸らし、またトゲのある言い方をしてしまった。ふいに逸らした方角に目を凝らすと、私の想いを知っているメイド達が何やらお盆で口を隠しながらこちらを見てコソコソキャッキャと話しているのがわかった。……もう、減給するわよ、貴女達!


「…コホン、この先に我が家のコンサバトリー(温室)があるので案内いたしますわ」


「へぇ!……ではお願いしましょうか」


 咳払いをし、案内をするには速い歩調で歩いていると、後ろでクスッと笑いながら再び私の歩調に合わせてついてきてくれている気配を感じ、また胸がときめいてしまった。…こんな調子で大丈夫なのかしら。



「ここが我が家のコンサバトリー(温室)ですわ」


「わぁ、すごいな。この植物って暖かい地域にしかない植物ですよね、…あっ、これも南国のあの地域にある植物!」


 本邸にそのまま繋がっているこの温室は、見渡す限りの植物が管理されている。常に暖かいこの温室に入るや否や、ライオネル様が瞳を少年のようにキラキラさせながら植物を見て回り出した。少し呆気に取られて見つめていると、それに気づいたのかハッとしたようにこちらを見て悪いことをした子供のようにしょんぼりとした。


「あっ……、申し訳ない、大人気なかったね」


「…クスッ、別にいいですわよ。綺麗ですものね」


 申し訳なさそうなその顔が何故かとても可愛らしく見えて、思わず口元を指で少し隠しながら笑い、近くにあった南国の白い花に手を添えながら自分も眺めた。


(この花は″ハイビスカス″といったかしら。去年植えたけど見事に咲いているわね)


 そんなことを考えていると、相手からの返答が来ないので不思議に思いライオネル様を見ると、何も言わず驚いた表情でこちらをぽーっとしたように見ていた。

 なんだろうと首を傾げていると、入り口からメイドがお茶とお菓子を台に乗せてゴロゴロと運んでくる音が聞こえた。


「さぁ、もう少し奥の方に良い場所がありますので、そちらでお茶をもてなさせて下さいな」


「……!え、えぇ」


 少し言葉を濁しながら返事をした後、何かを考えるような表情しながら口数少なく私についてきた。


(何か粗相をしてしまったかしら…)


 心配になりながらも、私は今日の為に用意していた茶席まで案内するのだった。




最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

評価やブックマークをいただけますと励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。