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転生おっさんのミリしら乙女ゲームRTA〜悪役令嬢を影から助けようと思ったらとんでもないことになった〜  作者: 二葉 葵


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第21話 抑えられない その気持ち




「第4皇子はこの国に『世継ぎ争いから逃げるため』の体で来ているが、私達の調べではその争いが一層激しくなる″火種″を蒔いてからこちらに来ているんだよ」


「…は?」


 予想外なことに思わず声を漏らしてしまい、慌てて謝ろうとしたら苦笑しながら手で制された。


「ジークがあそこの第一皇子と交流があってね、それで知っていた情報だったのだよ。その話では同じ皇妃の息子だった第一皇子と第三皇子は仲が良く、側妃の第二皇子ともある程度は交流もあり、話も擦り合わせながら順当に第一皇子が皇太子になる準備をしていたそうだ。

 そこをつついたのが第四皇子のアレキサンダー皇子だ。彼は第三皇子に、『第一皇子が実は不義の子で、それを知った上で、次期皇帝の座を狙っている』というようなことを言ったらしい。第三皇子の様子がおかしいことに気づいた第一皇子が対応をしているところを、第二皇子が攻めてきたらしい。第二皇子は第四皇子と同母腹だ。第一皇子は第四皇子が何か吹き込んだと考えているらしい。それで、後継者争いに参加しないという体でこの国に来ていることを把握しており、こちらに保護観察依頼が来ている」


「観察…?」


「…要は″監視″ダヨ。第一皇子はこの第四皇子が、自分達が争いで疲弊しているところを狙って帰国し、全てをかっさらおうとしていると予想しているんダ。そして、皇帝もそれを上手く対応できるかも含めて静観しているそうだネ。あっちの争いに巻き込まれない上に貸しが作れたのなら、と請け負ったはいいが…飛んだ藪蛇だったよネェ。もし第四王子の持っている情報が国外に漏洩しているとなった場合は、こちらも隣国への態度を改めないといけなくなるネ。

 …まぁ、あくまで現段階での″最有力者″というだけだし、こちら(アダマス王国)としても、我が国の機密情報を持ち出している輩が隣国の皇帝になるより、ある程度は馴染み深く、|この件《第4皇子が機密情報を持ち出したこと》を武器として扱いやすい第一皇子に皇帝になってもらいたいんだけどネ⭐︎」


 一息でそう説明した後、ため息をついている。王弟も厄介事を請け負うこともあるんだなぁと感心していると、タダじゃ済まない内容を聞かされ、本当にこの人の敵じゃなくて良かったと、底冷えした胸を撫で下ろした。


「あと、これは関係ない話かもしれないが、この第四皇子が学園でソフィア嬢に密かに接触しようとしているという情報が影から入っている。どう思う?」


「本当ですか?…しかし、もし皇子が自分の功績を持って帰国し、後継者争いのレースに参加すると考えると、次期皇妃とし非常に優秀で自国の情報を良く知っている令嬢を連れて行くとなると、普通に帰国するより断然箔が着くでしょうね。ソフィア嬢も悪女とされているこの国より、隣国の方が過ごしやすいと考えるのでしょうか…」


 そう不安を漏らすと王弟が続けた。


「イ〜ヤ⭐︎それがソフィア嬢は皇子の誘いをすげなく断っているらしいヨ。慰めるという体で違う角度からアプローチしてもなしのつぶてらしいシ。それに想い人もいるみたいだしネェ♪」


「あぁ!初恋のお相手ですか?」


「そう、とても鈍感さんのネ⭐︎」


「?」


「…はっ!おいジーク、ちょっと詳しく…」


 俺が王弟の言葉に首を傾げていると、陛下が王弟にゴニョゴニョと話し出した。なんだかんだ兄弟で仲いいんだろうな〜と思いながらも、先程の王弟の言っていたことを反芻して考えた。


 王太子の考える功績、秘薬の材料、第四皇子との取引、第四皇子が考える次期皇太子になる為の功績…。


 一つ一つのピースとなる事柄を頭の中に浮かべていると、ふと机の上にある書類に目が入った。王弟達の様子をいるとなんか俺をそっちのけですごい話に盛り上がっている。

 コソコソ話しているので内容は聞こえないが、なんか陛下がさっきと違ってホクホクした表情をしている。


 まだ時間がかかりそうなことがわかり、机の上の書類に目を戻した。その中に、さっき側近と話していた被害があった領について書かれていた資料が置かれていた。…なるほど、あそこの領は夏にかけての雨量がすごい上に平地だから災害になりやすいんだよなぁ。お、住民が復興するまで移住している領って俺の実家(オブシディアン領)の隣なのか。

 他にも色々な年末までの予算資料がうんざりする程あり、嫌になり視線を外すと、そこには次回予算で組む企画書がどっさりと置かれていた。色々な分野、職種から企画書が来ている。それを側近が仕分けてから陛下に奏上するんだな。その中に一箇所だけ分けられた数束の書類が目に入った。


「…ん?これは」


 その書類上面に記された企画書表題に思わず手にとる。そしてまだ話している2人を横目に、こっそり企画書の中身を見てみる。


「『ガードルラインの拡張とその運用方法』…か。その範囲は、国内は宮廷職員用の城壁内部から……はぁ?!」


 ガタッと思わず立ち上がり大きな声を上げてしまった。流石の2人も驚いた様子でこちらを見た。


「どうしたんだネ、オブシディアン君。そんな大きな声を出しちゃっテ」


「何かあったかい?」


「あ、いえ。その…」


「君が″気になる″ことは大体大事になるんだから言ってみたまえヨ」


「あぁ、サイラスの企画書を見ていたのかい?」


 呆れるように言う王弟の横で、俺の持つ企画書に陛下が気づいた。


「え、この企画書は王太子殿下が作られたものなんですか?」


「あぁ、定期的に国政について話し合うのと同時に、何か良い企画が思いついたらこうやって企画書にして提出するように言っておいていたんだよ」


「そうですか。この企画書の魔導列車ガードルラインの企画書なのですが、範囲が隣国…つまり第四皇子の国のローゼリア帝国になってますよね」


「あぁ、そうなんだよ。私としては無理だと思っているんだが、本人が隣国と上手く繋がる良いきっかけになることを進めてると言っていてな。まぁ、今は進めるわけにもいかなくなったがな」


 ソファに背を預け重く息をついた。


「えぇ、…後一つ私が気になっている点が、城壁内を運行する路線のことです」


「それなぁ。これに関しては、宮廷で働いているもの達に負担をかけていたから前から考えていたことではあったんだ。それに加え、荷列車も運行することが提案されていて、ある通勤と輸送の両面から改善されそうだからそれは一度練ってみてもいいかと思っていたんだ」


「ちなみにこの路線ではどこを運行予定だったのですか?」


「確か北側かな。ちょうどジークのいる執務室がある位置が最寄駅になるような企画書になっていたね」


「えぇ〜、不用意ですヨ兄上。防犯面の対策がなされていなければ、やりたい放題ですヨ」


「やりたい放題……隣国との繋がり、功績…まさか」


 その時、俺の中でそれぞれのピースが一つになり始めた。そして思い至ったことに顔色を悪くした。


「……何か思い当たることがあったのカイ?」


 俺の様子から察してか、陛下と話していた時と違い、緩んだ顔を引き締め、瞳を怪しく光らせた。


「…えぇ。陛下、最近隣国で開発されて注目されている発明をご存知ですか?」


「え?それは……確か、火の魔法と何かの材料を複合し、周囲を爆発させるものだったかな。相当な威力だが、試用を重ねて、採掘などに使おうとなっているやつかな?」


「はい、それです。その『爆弾』がもし″できていて″、すでに″使える状態″だったらどうします?」


「……まさか」


 俺が振った話に陛下が応え、それに対し再びうかがうと王弟が、おもわずという風に俺達の会話を切った。


「そうです、殿下。おそらくですが…」


「どういうことね?」


 長年の付き合いの俺と王弟のやり取りについていけず尋ねてきた陛下に、乾いた喉にまとわりつく唾を飲み込み応えた。


「つまりですね、この企画書は第四王子との取引の一貫で、おそらく第四王子はこれ(列車)に爆弾を乗せて守りの要の北側を爆破した後に王宮内へ攻め込み、″スフィア″を奪おうとしているんです」




最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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