表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴーストライター ~幽霊専門代筆屋~  作者: 都宮 アキ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
28/34

エピソード2 幽霊は殺人事件の犯人を知っている 第18話

第18話です。




「俺が頼んだのは見張りだよ?? なんで容疑者に接触して確保までしてるのっ!!」



小紫の叱責が高層マンションの壁に反響した。


佐渡たち四人はそんな小紫の前に横一列で整列し、それぞれ神妙な顔つきをしていた。



「相手は二人を殺したかもしれない殺人犯なんだからねっ!? 危ないでしょっ!!」

「はい……」

「すみません」

「ごめんなさい」

「調子に乗ってすんませんでした」

「たく、もうっ…………でも、犯人確保にご協力いただきありがとうございました!」



小紫は反省する四人の前で敬礼する。

それから苦笑気味に「次からは無茶をしないようにね」と言う。


――藤原が久留和を床に押し付けたあのあと、小紫の通報によりパトカーがやってきた。

警察が久留和の車のトランクを調べると幽霊の証言通り大久保久の死体が発見され、凶器も残っていた。

佐渡に投げつけられたボストンバッグの中には折り畳み式のシャベルが入っていた。警察はどこかに埋めるつもりだったのだろうと推測している。


久留和が警察に護送されると現場検証がはじまった。

そのタイミングで佐渡たちはその場から離れ、藤原の車を停めてある近くのコンビニの駐車場へと移動していた。


小紫はその場で四人に別れを告げ、捜査に混ざるため現場のマンションへと戻っていった。


その姿が見えなくなってから興奮気味にシオンは声を上げた。



「すごい! ボクたちだけで事件を解決した! これで一件落着だねっ!!」

「だなっ!」

「……そんなことないんじゃない? これからアリバイ崩すのが大変でしょう」



シオンと竹内が盛り上がっているところへ藤原が水を差す。

藤原は淡々と事実を告げる。



「死亡時刻時のアリバイ。それを崩さないことには話がはじまらないだろ」

「そうだな……」

「うん……そのことすっかり頭から抜けてた……」

「ま、死体も凶器も見つかったからね。解決した気になるのもわかるけどね」

「……でも、長澤社長が久留和が犯人で間違いないって言うんだ。アリバイは必ず崩せるだろ?」

「たぶんね。ただ、もし簡単に崩せるなら最初から疑われてるはずだから、少し時間は掛かるかもしれないね」



佐渡の疑問に藤原が訳知り顔で頷く。


そんなやり取りをしている横で大久保が突然高笑いをし始めた。



「あーはっはっはっはっはっ!」



その声が聞こえる佐渡は驚いてそちらを見る。

すると大久保が勝ち誇ったような顔で長澤を見ていた。


長澤は不機嫌そうに「何がおかしい!」と怒鳴る。

大久保は口角を上げ、長澤を見下ろした。



「おかしいに決まってるだろう! あんたが腹心の部下に殺されたのがな! 飼い犬に手を噛まれたってのはこういうことをいうんだなぁ、なぁ、長澤よっ!」

「お前も殺されておいて何を言うっ!!」

「確かにな。だが、俺はあんたが殺されと聞いて胸がスカッとしたんだ! 俺は刺し違えてもお前を殺したいくらい恨んでたからなぁ、これもまた運命よ!」



大久保は清々しい顔をしていた。

それから体の一部が金の粒子となって徐々に空気に溶けるようになくなっていく。



「いい気味だ。そうだ! 冥途の土産に最後にこれも教えてやろう!!」

「は?」

「あんたの妻の瑠梨はな、久留和とできているぞ!」

「なっ!? そ、そんなわけあるか!!」

「否定するのはいいが、俺はこの目で確かに見たんだよ。あんたが殺された日、玄関のドアが閉まる瞬間、抱きしめ合う二人をなぁ」



大久保はチャシャ猫のように口元だけを残して声高らかに言い放った。



「腹ん中にいる子も、こうなっちゃ誰の子か分からんなぁ!! はーっはっはっはっ!!」



大久保の体は完全に消え去った。

残るのは大久保の告白の響きだけ。


長澤はわなわなと震えた。



「おいっ、戻ってこいっ!! 私の許可なく成仏するなっ!! 愚か者!! もっと詳しく説明しろっ!!」



消えた大久保に長澤は文句を言うも大久保からの返答はなかった。


それを聞いていた佐渡は胸が痛む。

大久保の言ったことが本当なら、長澤は身近な人間二人から裏切られていたことになる。

さらに、久留和の動機が幼少期の傷のせいだけではない可能性が出てきた。


本当のところ久留和の心はどこにあるのだろう。


それはこれからの事情聴取で分かるはずだと、佐渡は痛む胸を押さえながら思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ