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ゴーストライター ~幽霊専門代筆屋~  作者: 都宮 アキ


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エピソード2 幽霊は殺人事件の犯人を知っている 第15話

第15話です。




第一容疑者の大久保久が久留和吾郎に殺された――その事実を本人の幽霊から聞かされて佐渡は動揺した。


しかしその間にも幽霊同士は言い争いを再開していた。



「それもこれもあんたのせいだ、長澤!! あんたのせいで俺は犯人に疑われたんだぞ!?」

「逆ギレもいいところだっ! どうせ疑われた理由は解雇の件だろう? そもそも、お前が会社の金を横領しなかったらこんなことにならなかったんだろ!!」

「うるさい! 俺は当然の権利を回収しただけだっ!」

「何を言う!! 久留和から報告があったぞ? お前のせいで取引がいくつかダメになった、と」

「それは、あんたが契約間近で無茶な変更を指示してきたからだろ?? そんな性格だから久留和にも恨みを買ってたんだろう!!」

「お前、喧嘩を売ってるのか!?」

「それはあんただろ??」

「何をぉ?!」

「何だっ!?」



お互いがシャツの襟首を掴み上げる。

それを見て慌てて佐渡は二人を止めた。



「二人とも、喧嘩してる場合ですか!? まずは犯人を捕まえないと。――一旦車に戻りましょう。大久保さんも、一緒に来てください。話を聞きたいので」

「ん……」

「……分かった」



長澤と大久保はお互いのシャツから手を放した。


そうして佐渡たちは少し離れたところに停められた車に戻った。

車に乗り込むと藤原が不思議そうな声で「誰? その人は」と大久保を指摘した。



「そこで会った幽霊。今回の事件の第一容疑者の大久保久さん」

「大久保だって!?」



小紫はバッと後ろを振り返る。

だが、当然ながら小紫には三列目のシートに大久保が座っている姿は見えない。



「大久保久の霊?? その霊は本当に大久保久なのかい??」

「はい。長澤社長が言ってるので間違いないと思います」

「それなら、大久保は死んだということか……でもなんで……」

「それが、大久保さんも久留和吾郎に殺されたそうなんです……」

「なんだって!?」



小紫の驚きは佐渡以上だった。

目を白黒させている。


そしてその話を聞いたシオンは目を眇め、佐渡に尋ねた。



「いつ殺されたの?」

「まだ聞いてないんだ。――大久保さん、教えてもらってもいいですか?」

「もちろん、いいとも。殺されたのは今日だ。今日の朝九時に、久留和に呼び出されたんだ。事件について話したいことがある、と。そこで刺されて、私の死体は今、ヤツの車のトランクの中だ」



苦々しい様子の大久保。

まさか今日殺されたとは。


それ以上に車のトランクに死体が現在進行形であるという事実が佐渡を驚愕させた。



「えっ、まだあるんですかっ!?」

「何の話?」

「今日の朝九時に大久保さんは殺されたって! それで、死体は久留和吾郎の車のトランクの中だ、って言ってて!!」

「なんだって……? そんな……」



佐渡の解説に小紫は顔色を変えた。

それから考え込むようにして小紫はぶつぶつと独り言を言い始めた。



「この場合、どうすれば……今から久留和に事情を聴くにしてもすんなりトランクを見せるか……? ひとまず警部に報告して指示を仰ぐか……」

「大久保さんのこと、どうして殺したんだろう? なんか恨んでたんかな?」



竹内が何気なく自分の疑問を口にした。

そうすればシオンがすぐに口を開いた。



「違うと思うよ。大久保さんが第一容疑者だったから、犯人に仕立てるために大久保さんを消したんだと思うよ」

「あっ、なるほどなー!」

「……どうしますか? 警察に行きますか?」



藤原が小紫に尋ねる。

小紫は少し考えてから首を振った。



「……いや、久留和に今逃げられたらマズい。悪いが、俺は上に電話をしてくるから、その間、久留和が逃げないように見張っててくれないか?」

「見張るんですか? 俺たちが?」



小紫の提案に佐渡はぎょっとする。

人を二人も殺めた殺人犯に接触する可能性があるのだ。

怖くないと言えば嘘になる。


その恐怖心を察してか小紫は安心させるように笑顔を見せた。



「まさか部屋の前で見張っててくれとは言わないよ。マンションの出入口で見張っててほしいんだ」

「それなら、まぁ……」

「ああ、良かった! ご協力感謝する! それじゃあ、あとを頼むよ!!」



そう言うと小紫はスマホを取り出しながらさっさと車から出ていってしまった。


あとに残されたメンバーの中に重たい空気が流れる。



「――よっしゃっ! 気合入れっぞっ! 本当に罪を犯したなら久留和吾郎を絶対逃がさないぞっ!!」



竹内の明るいその声で車内の空気が変わり始めたのを佐渡は感じた。



「……じゃあ、作戦会議だね! 手分けして、久留和吾郎を見張ろう!」



シオンの言葉に一瞬緩んだ空気が引き締まる。

そうしてシオンを中心にこれからの作戦を立てるのだった。






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