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ゴーストライター ~幽霊専門代筆屋~  作者: 都宮 アキ


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エピソード2 幽霊は殺人事件の犯人を知っている 第7話

第7話です。




電話を切ったシオンは佐渡と藤原にピースをして見せた。



「これで資料はオッケー! 今夜、パパが事件の詳細を教えてくれると思うからボクが事件のことをまとめておくね!」

「いいのか、それ?」

「大丈夫大丈夫。みんな口は堅いでしょ?」



スマホをソファに投げながらあっけらかんと言うシオン。

信用してくれるのは嬉しかったが、佐渡は少し不安に感じた。


それを読み取ったのか藤原は佐渡の背中を軽くポンと叩いた。



「ま、話が進まないし、ここはシオンに任せよう」

「……そうだな。細かいことを考えるのはやめとくわ」



佐渡は藤原の気配りに苦笑する。

そこへシオンが明るい声で相槌を打つ。



「そうそう! 明後日からはテストがあるし、サクッと調査しよ!」

「って、そうだよ! 明後日からテストじゃん! やべっ!! 今日、竹内とレポートの作成一緒にやろうって約束してたんだ! 帰らないとっ」



佐渡は時計を見て慌てて帰り支度をはじめる。

それにシオンが首を傾げた。



「レポートって?」

「神道の授業のやつ」

「ああ、アレね」



大学が神道系なせいか必修教科となっている神道学の講義は一年生全員が取っていた。

だから、シオンはすぐになんのことを言っているのかが分かった。



「それならここにそのタケウチくんを呼んでササっと終わらせちゃう?」

「え?」

「そうすれば気兼ねなく調査できるでしょ?」

「そうだけど……」

「それにここには神社の息子、カエデがいるんだもん! 専門家に聞いた方が早いって!」



シオンの提案に戸惑う佐渡は恐る恐る藤原を見た。



「いいのか? 藤原」

「別にいいよ。俺が知ってる知識を教えるだけだし」

「じゃあ、早くそのタケウチくんって人に連絡してみなよ! ここの部屋使っていいからさ!」

「え、とじゃあ、連絡取ってみるわ」



シオンの言葉に甘える形で佐渡は竹内に連絡をして事情を話した。

しばらくして竹内が白石宅にやってきた。


到着した竹内を家主の代わりに佐渡が迎え、そのまま応接間に案内すると、藤原とシオンが出迎えた。



「いらっしゃい、はじめまして!」

「お邪魔します~すみません、突然お邪魔して」

「いやいや、こっちから誘ったから気にしないでっ。ボクは白石汐恩って言います! シオンって気軽に呼んでね!」

「ああ、はじめまして! 俺は竹内勇真だ。よろしく!!」



にかり、と竹内は笑った。


挨拶を済ませると早速レポートに取り掛かった。

レポートは藤原の解説があったおかげで短時間で完成した。


佐渡も竹内も無事に提出課題が終わって安心したような表情になった。



「本当、助かったわ! 今度から神道の授業は藤原に頼るわ!」

「俺でよければいつでも力になるよ」

「それにしても明日みんなで何しに行くんだ?」

「えー……と」



竹内は出されたお茶を口に含みながらそう尋ねる。

これに佐渡は口をもごもごとしていた。

その横からシオンがあっさりと教えてしまった。



「ホテルナガサワの社長、長澤慎吾を殺した犯人について調べに行くんだっ!」

「どういうこと?」

「実は佐渡クンが長澤社長の幽霊と会って、それで犯人を教えてもらったんだって! 今もそこにいるらしいよ!」

「えっ? はっ?」

「あー、その、竹内。言ってなかったけど、実は俺、二か月前くらいから幽霊が見えるようになって――」



佐渡は自分の事情とこれまでの経緯を簡単に説明した。

竹内は目を丸くしつつ、「道理で」と言いながら納得していた。



「信じられないと思うけど……」

「いや、信じるさ」

「……本当か?」



竹内の真っ直ぐな笑顔に、佐渡は緊張で握りしめていた手を緩めた。



「信じてくれてありがとう」

「何言ってんだよ。あとさ、その捜査、俺も混ぜてくれよ! 今日のレポート手伝ってくれた礼に手伝うからさ!」

「えっ、そんな!」

「えーホントー?? 嬉しいっ!! じゃあ、タケウチくん、よろしくねっ!!」

「ああ、よろしくされた! そうだ、俺のことも勇真って下の名前で呼んでくれよ!」

「わぁぁぁ、助かるよ! ありがとうっ! じゃあ、ユウマ、明日はよろしくねっ!」



シオンはそう言いながら竹内の手を取った。

これに竹内は照れたように「ははは」と笑い頭を掻いていた。







竹内と佐渡は一足先に白石宅を出た。

藤原はシオンと相談することがあるからと一人残った。

竹内は徒歩の佐渡に合わせてロードバイクを押しながらしみじみとした声を上げた。



「いや~、今日は驚きが多かったわ~」

「内緒にしててごめんな」

「謝ることじゃないだろ?」



後ろめたさから佐渡が謝れば、竹内は笑い飛ばした。

カラっとした性格が竹内の良いところで佐渡は救われる。



「――それにしても、シオンちゃん、かわいかったな~」



佐渡が使う駅まであと少し。

そんなときに竹内は感想を漏らした。

佐渡は男性であるシオンにかわいいという形容詞を付けていいか一瞬迷った。



「え、ああ、まぁ……かわいい、よな?」

「彼氏とかもいるんだろうな~」

「彼氏?」



彼氏はいるだろうか。

今のご時世珍しくもないかもしれない。

だが、今日会ったばかりの人間のセンシティブな話をするのは憚られた。

しかし、竹内はそうは思っていないようだった。



「あんな可愛いんだからきっといるんだろうな~。まっ、だとしても明日も会えるの楽しみだぜ。じゃ、また明日な!」

「お、おう、じゃあな!」



竹内はロードバイクに跨ると、サーっと走って行ってしまった。

それを手を振り見送った佐渡はふと思う。



(……竹内ってシオンが男って分かってるよな……? あれ? そういや、説明したっけ……?)



佐渡は電車に乗り込んだ後もずっとみんなと居たときの会話を思い返していた。

そのせいで目的の駅を通り過ぎてしまうのだった。

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