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ジョイント!  作者: 諏訪貴信


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8/15

つまらないと言われたら

能力を消された。


藤井壮馬は人生で初めて、


ただの人になった。


「どうしよう」


壮馬は正直に言った。


「僕、能力なしで戦ったことないです」


所長も正直だった。


「私もお前が能力なしで何できるか知らん」


「ですよね」


その頃。


超時空要塞新宿DXは変形を続けていた。


ガガガガガ!!


新宿駅が腕になる。


都庁が肩になる。


歌舞伎町がミサイルになる。


「設計者は誰だ」


所長が聞く。


黒崎は胸を張った。


「私だ」


「反省しろ」


その時。


諏訪貴信が静かにノートを開く。


【藤井壮馬は能力がなくても藤井壮馬である】


宇宙が一瞬だけ光る。


しかし何も起きない。


「効いてませんよ」


壮馬が言う。


諏訪は頷いた。


「当然だ」


「能力は設定できる」


「だが本人の中身までは書けない」


珍しく真面目な顔だった。


その言葉に、


壮馬は少し考え込む。


確かに。


能力ばかり使ってきた。


でも。


問題が起きた時、


まず現場に行くのは自分だった。


ナマちゃんを飼ったのも自分。


ギルバートと友達になったのも自分。


失敗も大量にした。


でも全部、自分だった。


「なるほど」


壮馬は笑った。


「じゃあ能力なくても何とかします」


所長。


「その自信どこから来るんだ」


「分かりません」


「怖い」


その時。


銀河十三人卿の最上位。


虚無卿ゼロが前に出る。


「黒崎」


「なんだ」


「気づいていないのか」


黒崎が眉をひそめる。


「何をだ」


ゼロは遠くを指差した。


失敗宇宙の空。


そこに無数の亀裂が走っていた。


一本や二本ではない。


何億本。


何兆本。


宇宙そのものが裂け始めている。


謎の立方体が警告を出す。


『宇宙接続限界到達』


『宇宙分離限界到達』


『設定過多』


『修正過多』


『意味不明』


「最後雑だな」


所長が言った。


その瞬間だった。


亀裂の向こうから、


何かがこちらを見ていた。


巨大。


銀河より大きい。


宇宙より古い。


それは生物ではない。


神でもない。


物語そのものだった。


『観測』


声が響く。


『接続者』


『作者』


『編集者』


『確認』


黒崎の顔色が変わる。


諏訪も黙る。


ゼロですら動揺する。


「まずい」


所長が聞く。


「誰です?」


黒崎が答えた。


「知らん」


「え?」


「私も会ったことがない」


諏訪が続ける。


「だが名前だけは知っている」


宇宙が静まる。


そして諏訪は言った。


「奴は――」


「読者だ」


全員。


「は?」


亀裂の向こうの存在が動いた。


『つまらない』


その一言で、


銀河十三人卿の半数が気絶した。


『もっと面白くしろ』


黒崎。


「編集者より厳しい……」


諏訪。


「だから恐ろしいんだ」


そして藤井壮馬は、


なぜか一歩前へ出た。


「分かりました」


全員が振り向く。


「面白くします」


「どうやって!?」


所長が叫ぶ。


壮馬は笑った。


「とりあえず」


「読者と友達になります」


静寂。


諏訪は頭を抱えた。


黒崎も頭を抱えた。


ゼロも頭を抱えた。


しかしナマちゃんだけは、


「ぎゃお!」


と元気に賛成した。


そして宇宙最大の存在は、


初めて少しだけ笑ったように見えた。

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