本当に最強なのか?
銀河十三人卿による緊急会議は続いていた。
議題。
「藤井壮馬をどこへ追放するか」
「宇宙の端は?」
「もういる」
「異次元は?」
「行ったことある」
「ブラックホールは?」
「ナマちゃんが住んでる」
会議は難航した。
その時だった。
宇宙の遥か彼方。
見たこともない扉が現れる。
ギィィィ……
銀河十三人卿ですら立ち上がる。
虚無卿ゼロが初めて動揺した。
「まさか……」
「来るのか」
所長が聞く。
「誰です?」
ゼロは静かに答えた。
「銀河十三人卿を作った男だ」
全員が凍りついた。
扉の向こうから一人の老人が現れる。
白髪。
黒いコート。
手にはノート。
そして異常なほど落ち着いていた。
その名は――
諏訪貴信。
壮馬が手を振る。
「こんにちは」
諏訪は軽く会釈した。
「どうも」
そこだけ妙に平和だった。
しかし十三人卿は違う。
全員が緊張している。
接着女王ベアトリス。
巨大王ガルガンチュア。
忘却姫メモリア。
課金皇帝ガチャール。
全員が黙る。
諏訪はノートを開いた。
そこには文字が書かれていた。
【設定】
「設定?」
壮馬が聞く。
諏訪は答える。
「私の能力だ」
「能力名――」
『作者』
所長が嫌な予感を覚える。
諏訪がノートに書く。
【巨大王ガルガンチュアは急に腰痛になる】
「え?」
ガルガンチュアが固まる。
「ぐきっ」
本当に腰を押さえた。
「痛い」
「えええええ!?」
壮馬が叫ぶ。
諏訪はさらに書く。
【課金皇帝ガチャールは財布を忘れる】
「しまった!」
ガチャールがポケットを探す。
本当に財布がない。
「どこだ!?」
「すごい!」
壮馬は拍手した。
諏訪は少し困った顔をした。
「そんなに大した能力じゃない」
十三人卿全員が心の中で、
いや大したことあるだろ
と思った。
その時。
虚無卿ゼロが立ち上がる。
「諏訪貴信」
「なんでしょう」
「なぜ現れた」
諏訪は少し考えた。
そして答えた。
「面白そうだったので」
十三人卿は頭を抱えた。
最強存在の行動理由として最低だった。
諏訪は壮馬を見る。
「君が藤井壮馬か」
「はい」
「なるほど」
ノートを閉じる。
「面白い」
壮馬が首を傾げる。
「何がです?」
諏訪は微笑んだ。
「君は“くっつける”。」
「私は“設定する”。」
「つまり――」
「相性が最悪か、最高だ。」
その瞬間。
謎の立方体が警告を発した。
『危険』
『危険』
『危険』
『接続者と作者の接近を確認』
『宇宙法則崩壊率』
『99%』
所長。
「帰りたい」
ナマちゃん。
「ぎゃお」
そして諏訪貴信はノートを開く。
次のページには、たった一行。
【藤井壮馬と諏訪貴信が手を組む】
壮馬が言った。
「それ、書いちゃダメなやつでは?」
宇宙は静かに震え始めた。




