十三人もいる!
旧友たちに捕獲された分離王ギルバートは、
「近況報告会だけは嫌だぁぁぁ!!」
と叫びながら宇宙の彼方へ連行された。
静かになった。
壮馬は安心した。
「終わりましたね」
所長も安心した。
「終わったな」
その時。
謎の立方体が光る。
『不正解』
「え?」
「え?」
『第一試験終了』
『十三人中一名撃破』
壮馬と所長は顔を見合わせた。
嫌な予感しかしない。
宇宙全体が震えた。
ゴゴゴゴゴ……
巨大な扉が現れる。
直径三万キロ。
どう考えても大きすぎる。
扉が開く。
中から十三の玉座が現れた。
そのうち一つは空席。
そこには、
【分離王ギルバート】
と書かれていた。
「嫌な予感しかしない」
所長が言う。
「僕もです」
残る十二の玉座。
そこに座る怪物たち。
第一席。
接着女王ベアトリス。
能力。
「超接着」
壮馬が驚く。
「僕と同じ?」
ベアトリスは笑った。
「いいえ坊や」
「私は接着したら二度と外れませんわ」
所長が青ざめた。
「危険だ」
第二席。
巨大王ガルガンチュア。
能力。
「なんでも巨大化」
第三席。
縮小侯爵ミニマム。
能力。
「なんでも小さくする」
第四席。
遅刻伯クロノス。
能力。
「時間を5分だけ遅らせる」
「地味ですね」
壮馬が言った。
「地味じゃない!!」
クロノスが激怒した。
どうやら気にしていた。
第五席。
忘却姫メモリア。
能力。
「相手の記憶を一つだけ消す」
第六席。
課金皇帝ガチャール。
能力。
「欲しいものが1%の確率で出る」
「弱くないですか?」
「年間売上八兆円だぞ」
強かった。
さらに続く。
第七席。
寝ている。
第八席。
ラーメン食べている。
第九席。
なぜか筋トレしている。
所長が混乱した。
「本当に強いのか?」
その時。
最上段の玉座から声が響いた。
「静まれ」
全員が黙る。
ラーメンも止まる。
筋トレも止まる。
玉座の主が立ち上がる。
銀河十三人卿の頂点。
第一位。
虚無卿ゼロ。
顔が見えない。
存在しているのに存在感がない。
見ているだけで頭が混乱する。
ゼロは静かに言った。
「藤井壮馬」
「はい」
「お前は危険だ」
「そうですか?」
「宇宙を接続しすぎる」
所長が頷く。
「それはそう」
「木星と土星をくっつけた」
「はい」
「富士山と東京タワーも」
「はい」
「宇宙怪獣を飼っている」
「ナマちゃんです」
ゼロは沈黙した。
どう考えても危険人物だった。
「ゆえに」
ゼロは宣言する。
「銀河十三人卿は決定した」
「藤井壮馬を――」
「銀河から追放する」
壮馬が首を傾げた。
「追放されたらどこへ?」
十三人卿全員が考え込んだ。
宇宙の外にいるので、
追放先がなかった。
会議は三時間中断された。




