ライバル出現
銀河ジョイント大会。
その名前からして嫌な予感しかしなかった。
巨大立方体人間となった藤井壮馬は、宇宙の外側みたいな空間に立っていた。
隣には所長。
なぜかナマちゃんもいる。
「なんで来たんだ」
「散歩してたら付いてきました」
「そうか……」
突然、空が割れた。
黒い亀裂の中から一人の男が現れる。
銀色のスーツ。
金色の髪。
無駄にかっこいい。
そして異様に偉そうだった。
「久しぶりだな、接続者」
壮馬は首を傾げた。
「誰ですか」
男は固まった。
「え?」
「初対面ですよね」
「私を知らないだと!?」
男は激怒した。
宇宙が震えた。
隕石が割れた。
ナマちゃんがあくびした。
「私はギルバート!」
「銀河分離帝国の皇帝!」
「分離王ギルバートだ!!」
所長が青ざめる。
「まさか……!」
「知ってるんですか」
「宇宙で最も危険な男だ」
ギルバートは右手を上げる。
すると。
ドカン!
壮馬の巨大立方体が半分に割れた。
「うわっ!」
「私の能力は分離!」
「くっついているものを全て切り離せる!」
壮馬は驚いた。
「つまり」
「うむ」
「僕の逆ですね」
「そうだ!」
初めての天敵だった。
ギルバートは高笑いする。
「接続など弱者の思想!」
「宇宙は孤独であるべきだ!」
バチン!
指を鳴らす。
すると。
土星の輪が外れた。
月が地球から離れた。
ナマちゃんのしっぽも取れた。
「ぎゃお!?」
「ごめんナマちゃん」
ギルバートは笑う。
「見ろ!」
「分離こそ自由!」
すると所長がぼそっと言った。
「でも友達いなさそう」
静寂。
ギルバートの顔が曇る。
「いるわ!」
「昔はいたわ!」
「三人くらい!」
壮馬と所長は顔を見合わせた。
どうやら図星だった。
怒ったギルバートは究極技を発動する。
「くらえ!」
「アルティメット・アンジョイント!!」
宇宙全体が震える。
あらゆるものがバラバラになり始める。
研究所は分解。
宇宙船は分解。
所長のメガネも分解。
「見えない!」
「所長!」
壮馬も危機を感じた。
このままでは宇宙がネジ一本レベルまで分離される。
その時だった。
謎の立方体が告げる。
『管理者能力解放』
『ジョイントレベル2』
「レベル2?」
壮馬が聞く。
『接続対象の上限解除』
「それって?」
『何でもくっつけられます』
所長が嫌な予感しかしなかった。
壮馬はゆっくりギルバートを見る。
そして笑顔で言った。
「なるほど」
「じゃあ試してみます」
ぺた。
「何をした?」
ギルバートが叫ぶ。
壮馬は答えた。
「あなたを」
「友達とくっつけました」
「え?」
次の瞬間。
宇宙の彼方から三人の中年男性が高速で飛んできた。
「ギルー!!」
「久しぶりー!!」
「同窓会来いよー!!」
ギルバート絶叫。
「やめろおおおおおお!!」
最強の分離王は、
物理攻撃でも超能力でもなく、
旧友との再会
によって追い詰められるのであった。




