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ジョイント!  作者: 諏訪貴信


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2/15

ジョインティブな毎日

研究所の所長が叫んだ。


「藤井ぃぃぃ!!」


壮馬は廊下を全力疾走していた。


後ろから追いかけてくるのは、コーヒーカップが右手にくっついたままの所長。


「待ちなさい!」


「怒ってます?」


「当たり前だ!」


その時だった。


研究所に警報が鳴り響く。


ウィーン!ウィーン!


「緊急事態発生!」


「月面基地から連絡!」


「巨大宇宙生物接近!」


会議室は騒然となった。


モニターに映るのは巨大なナマコのような宇宙生物。


全長三百キロ。


名前は仮称。


スペースナマコ。


科学者のネーミングセンスは相変わらずだった。


「レーザー無効!」


「ミサイル無効!」


「重力兵器も効きません!」


所長が振り向く。


「藤井君!」


「はい」


「出番だ!」


数時間後。


壮馬は宇宙船で現場に到着した。


スペースナマコは地球へ向かっている。


「さてと」


壮馬は腕をまくった。


その瞬間。


宇宙船が揺れた。


ドン!


「あっ」


壮馬の手が操作パネルに触れる。


ぺた。


操作パネルと壮馬がくっついた。


「まずい」


さらに。


ぺた。


椅子とくっつく。


ぺた。


床とくっつく。


ぺた。


宇宙船ともくっつく。


「助けてください」


通信を入れる。


所長が頭を抱えた。


「敵と戦う前に何をしている!」


なんとか切り離された壮馬は、スペースナマコへ接近した。


そして能力を発動。


「よし」


ぺた。


しかし。


宇宙空間で何かがおかしい。


スペースナマコは地球に向かわなくなった。


代わりに猛烈な勢いで壮馬を追いかけ始めた。


「所長」


「なんだ」


「どうやら僕とナマコがくっついたみたいです」


「どういうことだ!?」


どこへ逃げても追いかけてくる。


火星へ行けば火星へ。


月へ行けば月へ。


トイレへ行けばトイレの前で待機。


三日後。


壮馬は観念した。


「仕方ない」


「どうするんだ?」


「飼います」


こうして人類初のペット宇宙怪獣が誕生した。


名前は――


ナマちゃん。


半年後。


研究所。


所長が報告書を読んでいた。


「ナマちゃんが木星の衛星を食べました」


「元気ですね」


「よくない!」


「ナマちゃんが月面基地を散歩しました」


「健康的ですね」


「全然健康的じゃない!」


そしてその日の夕方。


壮馬はナマちゃんと散歩していた。


すると突然くしゃみが出た。


「はっ……」


所長が嫌な予感を覚える。


「やめろ!」


「くしゅん!」


ぺた。


翌日。


ニュース速報。


「東京タワーと富士山が接続」


「原因不明」


「専門家、また藤井壮馬ではないかと予想」


壮馬は静かにテレビを消した。


「どうして毎回バレるんだろう」


所長は泣いていた。

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