11話〜冷静な日も〜
ドゥドンっ、ジャジャ〜、
「ああ、惜しい」
「もう〜、また越せなかったぁ過去の自分」
まあまあ落ち着いてぇ、いいじゃないですかナミさん。
「お前インチキしただろ」
「は!?」
いやいやホントに、は!?ですよね〜。
「98点なんて出せないもん」
「100点の人だっているのに?」
「アイツらはサクラだから」
サクラって……汗。
「そんな訳あるかっ」
「じゃあコンピュータだね」
「はあ!?なんでそんなこといちいちやる必要が」
「ちょいちょいちょい、2人ともやめてくださいよぉ」
「止めるなモエ」
「そうよぉ、モエちゃんは私の味方よね?」
「いや、内心そうですけどぉ、建前上言えませんよぉ」
「って、モエちゃん大きな声で言ってるし、ノリさんはおかしいって言っちゃってるようなもんだし」
ちょっ、やめてくださいよぉアユミちゃん。
「テ〜メ〜、モエそんなことまで含まれていたのか今の心の声には」
「ちがっ、アレはアユミちゃ……さんが勝手に」
「さんってわざと言い換えたわねモエちゃん、う〜ん!?新しい手法かしら?なにかハメようと……」
「おい、真面目に悩むなよ、アユミは結局のところイジられキャラなんだから」
「ええ!?ノリさん、私はイジ……嘘よ」
あ、アユミちゃん、あなたは気づいていないの、本当に?
「いやいやいや、だって私は海外支店長にまで抜擢された女よ、そんな……イジられキャラなんてありえないわっ」
いや、だからぁ、そのセリフこそがイジられの元なんですよぉ〜。
「なあ、モエ」
「な、何ですかノリさん?アユミちゃんをディスることならこれ以上は言いせんよ、今日は」
「今日は!?も、モエちゃん」
「はい、はい、アユミいじりはそこまで〜、次ノリちゃんの番だよ、得意なんでしょコレ」
「お、おお、お前が98なら俺なら今の曲で100は……いや機械を壊すほど高得点出してやるよ」
「ほほぉ、それはそれは、でも壊したらちゃんと直してよね?お小遣いで」
お小遣いって……
「ああ〜、ああ〜」
パチパチパチ〜、
「さぁて、ナミさんを越えられますかね?」
「ったりめ〜だろ、俺だぞっ、ノリぴーだぞ!」
ドゥドンっ、ジャジャン〜、
ほわ〜、ほわ〜、チーン、
「ははは、32点だってぇ」
「いや〜すごいですねノリさん、ある意味最高得点!」
「こ、このぉ、ほわ〜だけならまだしも、チーンって何だっ、チーンって」
「まあまあ、ドンマイっ」
「うるせ〜、アユミぃ、壊れてんぞコレ、電子レンジじゃあるまいしチーンって」
「ははは、壊すんじゃなくて壊れていたと?」
ああ、ナミさんもうそれ以上煽ったら……
「あったまきたっ、電話してやる」
あ〜あ、始まっちゃいましたよぉ。
「もしもし、カラオケ屋さん?ちょっとウチの機械が調子悪いみたいなんだけど」
「はは、ノリちゃんトサカだトサカ」
「トサカって何です?店長さん」
「え、モエちゃん知らないの?怒っちゃったってこと」
あ〜あ、でも笑い事じゃあ?
ジャジャ〜、
「うわぁ、アユミちゃんもすごい〜、96点」
「えへへ、壊れてなんかないですよねぇ」
「ねぇ」
ああ、もうやめてくださいよぉ〜、そこまででストップ!
って、何で私がまともキャラなの〜?
「今から来るってさ、やっぱ壊れてんだよ、来るってことは」
「はい、はい」
ナミさんやる気のない返事も、今はやめて〜。
チリン、チリン、
「いら……ああ、カラオケ屋さん」
「どうも、ちょっとみますね」
「はい、わざわざすみませんね」
「いえ、仕事ですから」
「そうだよ、すみませんねじゃなくて直してよねだよ」
「ノリちゃん、壊れてないかもよぉ〜」
ああ、ナミさんまた悪い顔したぁ。
「ははは、じゃあ俺が試しに歌ってやるか」
「店長イエ〜イっ」
「おお、出るかぁオハコ」
「さあ、いくん」
「おお、そっちかぁ!?」
「店長さん、うま〜いっ」
「さあて、何点でしょうね?」
ジャジャ〜、
「おお、89点だって、店長やるぅ」
「へへ、ナミちゃんたちには届かなかったかぁ」
「まだまだですね、店長……さんっ」
「あ、アユミちゃん、アユミっちバ〜カバ〜カっ、オバっ」
「あ!?店長ぉ〜」
「分かったごめん、ごめん、言い切る前にやめとく」
ははは、アユミちゃんマジで怖い。
「う〜ん」
「どうしました?」
「え、いや〜壊れているのかなぁ〜と」
「壊れてなんかないですよ、あの人が変なんですよ」
「あ、アユミちゃん人のダンナを……汗」
言われても仕方ないような……私も汗。
「じゃあまた歌ってやるよ」
「お願いします」
「れいに〜」
パチパチパチ〜、
「おお、78点だって」
「まあまあだな、少し壊れてないな、今のは」
「もう大丈夫そうですかね?」
「いや、もう1曲いってみるよ」
「はあ……」
帰してあげましょうよ。
「ただ〜、だきよせ」
「ああ、42点だぁ、残念っ」
残念ってワードは!?
「やっぱ壊れてんなコレ」
ほら〜ナミさん。
「でも……」
可哀想に言いづらそうに、カラオケ屋さん。
「じゃあコレは」
「おお、90いった」
「おっ、直ったか?アンタ修理の天才」
「わ、私は何も……」
「よし、もう1度」
「ああ、41点かぁ」
「やっぱ、壊れてんなコレっ!ちゃんとやってぇ」
「うるせ〜なぁ、ノリ」
え!?
まさか……
「壊れてねぇつってんだろ?」
「あ、いつの間にグラスが!?」
「ホントだ、誰だよアユミにワイン呑ませたの?」
「ちっ、うっせーなぁワインでごちゃごちゃと」
いや、そうじゃなくて、アユミちゃん。
「私が96出したのも壊れていたからって言いたいのかぁ〜、あぁ!」
「いや、そ、そうじゃないですけど〜」
「ははは、ノリちゃんが引いてる」
「て、店長さん呑ませといてそんなぁ」
「まあまあ、いいじゃないのたまにはお灸を据えないと」
ナミさんまで嬉しそうに……
「で、私の点数に文句あんのかぁ?」
「いや、ないけど……」
「ねぇ、アユミちゃんがルツェルンに行かなかったのってさぁ」
なになに?ナミさん楽しそうにもぉ〜。
「ははは、そうかもねぇははは」
て、店長さんっ、笑い声デカいですって〜!?
「あ〜ん、笑いやがったな赤ら顔」
ほら〜、もう知りませんよ。
「いや、な、ナミちゃんがね」
「ちょっ、店長、私のせいにするの?」
「だって、ナミちゃんが海外だとワインが多いだろうからアユミちゃんは行かなかったんだろうねって」
「ナ〜ミぃちゃ〜んっ」
「いや、悪酔いするから大変ね〜って、気を遣って」
ははは、さすがに苦しいかなぁ?
「ふんっ、ちょっと私より点数が良かったからって……やっぱノリさんが正しい、壊れてるコレ」
「な!?壊れてなんかないわよね〜カラオケ屋さん」
「え!?はぁ」
「壊れてんの持ってくんなカラオケ屋っ」
あ、アユミちゃん!?
「いや、ですから」
「平気よね〜、なんか呑んでく?カラオケ屋さん」
「あ、いえまだ仕事が」
「酒なんか呑む前に新しいの持ってこいよっカラオケ屋っ」
「無理ですよぉ」
もぉ怖いよぉ〜アユミちゃん、目が座ってるしぃ。
「ああ、もうやめろお前たち、カラオケ屋さんが困ってんだろ」
ノリさん、ありがとう窮地を……
「って、お前が言うなっお前が」
おお、シンクロした。
「ね〜ナミさん」
「ね〜アユミちゃん」
またしても。
「仕方ない、仲直りに呑みに行くか」
「わ〜、行きましょう、行きましょうナミちゃん」
「え〜、お店はどうすんですか?」
「あ”!?」
え!?
ノリさんを睨みつけて。
「あとはお前たちやっとけっ、モエも行くぞっ」
「ほへつ!?」
あ〜ん、今夜はタダシさんが出張から帰ってくるのにぃ〜!?
完




