10話〜最後もやらかしたヤツ〜
作中の「トシ」とは作者本人のキャラです。
ご一緒にからかってやってください。
「はい〜、お待ちどうさま〜」
「うわぁナミちゃん、美味しそう」
「へへへ、なみのり特製アヒージョ」
「いただきます」
うん、うまいっ!
こんばんは、アユミです。
今日は私が60歳くらいの時の思い出話かね。
「う〜ん、私はやっぱワインですかね」
「あ〜、モエちゃんはベルギー暮らしが長いからワインかぁ」
「そうですね、ヴァンダンジュ・タルディヴでもいただけますか?」
「は!?」
そうよねえナミちゃん、何それ?
「あ、すみません、まだ日本に戻って間もないのでつい……」
はあ!?
この子はまったく……って、
「モエちゃんももう50になるんだね?」
「え!?そうですけど、なにか?」
「いや、早いもんだねと思ってさ」
「そうですねぇ、だからナミさんは……」
「おいっモエ、なんならベルギーに帰る日にちを遅らせてやろうか?日本の病院が恋しいだろ」
「いや〜ごめんなさいナミさん、ぜんっぜん恋しくないです、それなら早く帰ってハルトさんといた方がまだ」
チリン、チリン、
「おお、セーイチロー久しぶり」
「ああ、ノリぴー元気なんだぁ、まだ」
「この……何呑む?」
「ん、レモンサワーを」
「はいよ〜」
「あ、あとテキーラある?」
「え!?あるけど、ああ……」
何だろ、テキーラってセーちゃん珍しい。
「はい、セーイチロー」
「うん、そんで乾杯っと」
「ええ!?って……ああ、トシくんのかぁ」
「そ、アイツにもやらないとイジけるからね」
「ははは、アンタは幾つになってもアイツ呼ばわりだね」
「今更ね、今更っ」
そうだね、歳を取っても変わらないものもいいもんだね。
「じゃあ私たちも乾杯っと」
そうだね、
「乾杯、トシくん」
「もう2年かぁ、早いもんだね」
「そうねノリちゃん、アンタもそろそろなんじゃ?」
「は、やめろよぉ、俺はあと100年は生きるからな」
ははは、せいぜいあと30年くらいにしたら?
ノリ爺さん。
「セーイチローもアヒージョ食べる?」
「ん、もらおうかな、それじゃあビールにしようかな」
「ビールってセーイチロー呑めんの?」
「ん、ああコレなら合いそうかなって」
「ええ〜ビール呑めるようになったのぉ、セーイチローおとな〜」
「ナミさん、大人って……」
はははセーちゃんも、もう50過ぎてるのにね。
「でも相変わらずマヨネーズは嫌いなんだろ」
「ん、少しなら食べられるけど、ない方がいい」
「ふ〜ん、マヨネーズ……ナミさんコレにマヨネーズかけたい」
「え、アユミちゃん」
「なんかトシみたいだな?」
「そうだね、アイツもいろんな食べ方してたしね」
「リョウ、マヨネーズだって」
「はいよ〜」
「リョウくん久しぶり」
「おお、セーイチローよく来たな、はいマヨネーズっ」
「俺じゃないっ」
「はははは」
「え〜美味しいんですかぁアユミちゃん」
「うん、いけるわ」
「じゃあ私もちょっと入れてみよっと、セーイチローさんは?」
「だか〜らぁ」
「うわぁ、ごめんなさい、ごめんなさいっ」
「まったくモエちゃんはわざとやるんだもんなぁ」
「へへへ、セーイチローさんからかうの久しぶり〜」
「そう言えば、トシくんのこともからかってたよね、モエちゃんは」
「そうですかぁ、リョウくん?確かに……でもどちらかと言うとリョウくんの方をからかっていましたね」
「へ!?俺からかわれていたの?」
リョウくんも意外と……
「しかし、思い出すなぁ」
「え!?リョウくん何が?」
「え、トシくんの最期をさ」
ああ、確かに、確かにね。
「……」
あ、セーちゃん少し困ったような顔をした。
「ホント恥ずかしい弟だよ」
な、ナミさん息子の前で!?
「そうだよあんな話聞いたことないよ」
ノリさんまで……
「まったくです、さすがの私もビックリしましたもん」
「ホントだね、あの人の最期は泣けなかったね」
リョウくん、さすがにその話はやめよ。
私まで……
「そのお陰で悲しい別れにならずに済んだけどね」
「な〜、ひ孫の代まで語り継がせたいよ」
「ぷっ、やめてよぉノリちゃん」
「いや、仕方ないよ」
「タバコくれってね」
「何十年もやめていたのにね」
「最後に吸いたかったんだろうけどさ」
「私は少しわかる気がしますけど」
「でもアレはないよ、アレは」
ナミちゃん、そんなに笑って!?
「だってさ、最後にタバコ吸いたいって言ってさ、吸ったらさ」
「ゲホゲホって言ってな」
「そのまま死んじゃったもんね」
「吸わなければあと何日かはもっただろうにね」
「仕方ないさ、アイツはそういう人だったから」
そ、そうよね、セーちゃん。
完




