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居酒屋なみのり  作者: マメ
居酒屋なみのり5

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8話〜帽子の中身は〜


「う〜ん……」


「どした?アサミぃ」


「ん……ふ〜ん」


「アサミ〜、お〜いっ」


「あ!?ノリさんいたの?」


「いたのって、ココは俺の店だ」


「そっ、ふ〜ん」


「こ、このヤロー」



アサミちゃん……またあの人見てるのかぁ!?


こんばんは、ナミです。


乾杯!


っと。


ナレーションだけは常識人ぽくね!



「ちょっと、ちょっとノリちゃん」


「なんだよナミ?」


「アサミちゃん、カウンターのあの人を」


「え!?ああ……」


気づいたかなノリちゃん。


「前にも来たなあ、日本酒呑む人」


「そう、思い出したね」


「だってあん時は阪神の帽子で」


「そうそう、それが気になってアサミちゃんは」


「え!?アイツは帽子を気にしていたの?」


「そうでしょ、そりゃあ」


だって阪神の帽子ってこの辺ではあんまり見ないから……



「ナミたちって愛知じゃん、やっぱ中日?」


「う〜ん、ウチは親が巨人だったから、でも中日も阪神も応援してたかな」


「そうなんだ、どっちにしても俺たち野球知らないしね」


「そうね、しかしアサミちゃんはそんなに気になるのかね?」


「ちょっと聞いてくるよ」


「うん」



「アサミぃ、またあの人見てんのか、シルバー好きだったんだ?」


「は!?何それ、ロマンスグレーよ」


どっちも今や……


「って、そうじゃなくてマサくんに余計なこと言わないでよ」


「ああ、そう言えばマサユキもこの間あの人見て変な顔してたな?」


「人のダンナを変なって」


「お前たち、結婚してないだろ?」


「いいのよ、こうゆーのはその気にさせたモン勝ちなんだから」


「で、そうやって呼ぶようにしていると」


「そうよ、普段はダーリンだけどね」


やっぱ……古い感じが!?



「ふ〜ん」


「まだやってんのかよ?」


「え、そうなんだけどね、ふ〜む」


「やたらと声かけに行くなよ、お前はすぐタカるから」


「なによぉ失礼しちゃうわね、売上に貢献し」


「自分の金でしてくれよ」


「むかっ!」


ココにもモエ病がいた。



チリン、チリン、


「おうっ!ジューモンさん、いらっしゃい」


「こんばんは〜」


「私のお出迎えと随分違うわね?」


「当たり前だろ、お前は」


「分かった、言わないでいいから!ね、ね、お願い」


「分かったよ、お前もツラいのな」


「そうよお」


あ、顔作った。


アサミ〜。



「で、ジューモンさんは……こっち座る?」


「え、ああ……どこでも」


「ちょっ、いつもココ座ってんのに、私がいるから?」


「そ、お前にジューモンさんを近づけると」


「な!?あったまくんわねっ、ホント」



そんな騒ぎに、


「ん?」


と、振り向くカウンターの老人。


「あ!?」


え?


「アレ、丹下さん?」


「おお、やっぱりジューモンくんかあ」


「はは、お久しぶりです、何年振りですかね」


「そうだなあ、かれこれ……でも、こんなとこで会うとはなぁ」



ふ〜ん、知り合いなんだあ?


じゃあ……


「ねぇ、ねっ」


「ん、どしたのアサミさん?」


「アンタ知り合いなのアレ」


アレって……人の知人を!?


「はい、前のご近所さんで、お酒がホントお強くて」


「ふ〜ん」


何、そのやる気のない返事は?


あんなにガン見してたのに。



「でさあ、丹下ってんだあの人」


「それがなにか?」


ん!?


「俺もそっち行っていいか?」


「どうぞどうぞ、一緒に呑みましょうよ!その方が楽しい」


「いつも1人で、話し相手がいなくてな」


「え、そうだったの?言ってくれれば私ならいつでも」


「ん!?そうか悪いねぇ、あ、でも」


「でも何、私じゃ不満て?」


「え!?いやいや、そうじゃなくてな」


なんか言い出しづらそうな?



「それよりアンタさあ」


「アサミぃ、もっと柔らかくいけよ」


「え、ああ、ごめんノリさん」


「いや、俺にじゃなくてさ」


「ま、とりあえず乾杯しますか?」


「そうだね、私たちも一緒に」


「そだね、今日は丹下さんとジューモンさんだけだからね」


「私わぁ!」


「は?」


「お前はやっぱ……」


「ごめんなさい、悪い女なの許して」


「どうしたんですか?アサミさん」


「どうせマサユキに怒られたんだろ」


「マサ……やっぱりかあ」


「マサユキとも知り合いで?」


「マサユキってホームセンターの」


「え!?アンタまさか……」


って、アサミちゃん……


「やっぱ、アレは別かあ!?」


なんだ、勘違いか。


「ああ、一昨年、ホームセンターの嘱託の期限切れで」


「あ!?」


煩っ、声大きすぎアサミ!


「アンタ……いや、あなた様は」


「なんだ、また変なこと言い出してアニメの見過ぎが?」


「丹下さんは仙人とかじゃないですよ」


「いや、そうじゃないわよ外野は引っ込んでて」


野球帽だけに?



「もしかして〜丹下……さん?」


「まあ、さっきからそう呼ばれているが?」


「え、あははは〜」


「そう言えばこの間も会ったな、ココで」


「え!?そ、そうかしら?おほほほ」


「気持ちわりーなお前」


「ちょっ何よノリさん」


「お前はどうせアレだろ、今日はなんで阪急の帽子なの?とか考えてたんだろ?」


「え!?なんで……」


分かるわよ、それは!



「ああ、コレか……」


あら、急にしみじみとして。


「この間……妻に先立たれてな、それで片付けをしてたら昔に子供たちに買った帽子がな」


ああ、それでぇ。


「家族思いのいい方、それに帽子のセンスもバツグン」


「何言ってんだアサミぃ、お前」


「や、やめてノリさん!今いいとこなんだから」


お前だけな?


アサミ。



「それでか?この間からチョロチョロと俺を見て何か言ってるなとは」


「す、すみません丹下さん、このことはマサくんには」


「いや、丹下さんマサユキに伝えた方がいいですよ」


「そう……だね」


ノリちゃん、あおっちゃってまたあ。


「なっんでも言うこと聞きます、だからお願いです」


「う〜ん」


「でもなあ、アサミじゃあ体も……」


「ノリぃ!」


「いや、俺じゃなくて」


「え!?俺?いや……」


「分かりました、マサくんのためです」


「いや、だから俺は……やめて」




「な!?」


アサミちゃん……チ〜ンだね。



 

            完



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