7話〜ママさんもママ〜
チリン、チリン、
「いらっ……」
あら!?
「ひとり?」
へ!?
「ママは?」
「ボク?お母さん探しているの?」
「お母さんじゃない、ママっ」
「ああ、そうなんだね、ママね」
「ママさんならこの辺にはたくさんいるぞ」
「ちょっ、ノリさん、そうじゃないでしょ」
まったく〜。
「ボクのママはどこにいるの?」
「わからない……探しているの」
う〜ん、迷子なのかな?
それともこの辺りで働いている人の子供なのかなあ?
「ノリちゃん、一緒に探してあげたら?」
「それより交番に行った方が」
「自分で探すっ」
あら、おこりんぼさん?
「ボク、名前は?」
「ユウト」
「ユウトかあ、んでママの名前は?」
「ミナコ」
ミナ……って!?
「あいつ!?ちょっと見ない間にこんな大きな子を作ってたのか?」
「ホントよねぇ、隠し子か!?」
「いやいやいや、どうやったら急に」
こんなに成長を……
「ユウトはいくつなの?」
「8歳」
「8歳かあ……すると18の時の子かあ?」
「あいつ、いつも子供をほっぽらかして呑み歩いてるんだな」
「そうよ、最近ウチの店にも来ないで」
「な、ココに来るんなら許しもするが」
アンタたち……何なの?
「まあ、せっかくだからなんか飲んでいけよ、坊主」
あ!?嫌そうな顔した。
「何飲む?オレンジかコーラか」
「僕、お金持ってない」
「なら、ココで働いていってもらおう」
ちょっ、アンタは押し売りか?
「いいわよ、ユウトくん、オバ……お姉さんがご馳走してあげるから」
ナミさん優しいっ。
って、どしたのユウトくん、キョロキョロしちゃって?
「お姉さん!?あっ、こっちの人かぁ」
「このガキゃあ、いっぺん」
ああ、ナミさん落ち着いて、落ち着いてぇ。
「はは、ユウトからしたらおばあちゃんでも……」
「このヤロー!」
「うわっ、ごめんなさい」
私まで謝ってしまうほどの気迫!?
「ご馳走さま」
あ〜、お利口さんね。
でも、ドアの方ばかり見て、やっぱ早く探しに行きたいのね。
「お姉ちゃんと探しに行こうか?」
どうせ暇だし。
「おばちゃんと!?ありがと……」
「テメー、2度と喋れないようにそのベロをっ」
「やめ、辞めろってアユミ」
「はあ、はあ、はあ」
「ごめんね、ユウトくん、あの人ちょっとアレだから」
が!?
アンタらにだけは言われたかないわよっ。
「ナミ〜、俺いってくるよ」
「そうね、お願い」
「行こっか坊主……じゃなくてユウト」
「うん、おじいちゃ……じゃなくておっさん」
「テ〜メ〜」
「ははは、ごめんなさい」
もうノリさんの扱い方を分かってるし、やっぱミナちゃんの子かしら?
「んで、ママってのはここいらで働いてんのか?」
「う〜ん、分かんないけど……いると思う」
「ふ〜ん、ミナコかあ?アイツはミナだったよなあ」
「ママのこと知ってるの?」
「あ、いや、似た名前の人をね、だから多分違うと思う」
「……」
「ま、とりあえずココらにでも聞いてみるか」
「うん」
カラン、カラン、
「すみません……」
「あら、なみのりの……」
「ちわ、ミナコって子いないですか?」
「子じゃなくてママ」
「ママなら私だけども」
「え!?あなたがこの子のお母さん」
「はあ?」
「良かったな、見つかって」
「ちが……」
「でも、ママさんミナコっていうんだね」
「何言ってんの、私はタカミだよ、知ってんでしょ」
「でも、見つかって良かった、良かった、じゃあなユウト」
「ちょっと、私の子なわけないじゃん、幾つだと思ってんの」
「僕は8歳」
「なっ、私は80よ、産めるわけないじゃん」
「ははは、そういうことで、じゃ」
「コラっ、私に押し付けんなっ」
「ちっ!」
「ノリさん、平気かしら」
「う〜ん、いくら何でも子供を置いて呑みに行ったりとかは」
どうかしら〜あの人は……汗
「あと行きそうなとこは分かるか?」
「う〜ん、中華屋さんが好き」
「そうか〜、ってお前がじゃないだろな」
「違うもん……」
「分かったよ……あっ、俺もなんかお腹空いてきたな〜、なんか食べたいな〜、おっ、おお、中華屋さん発見っ」
「おじさんもペコペコ?」
「ん、ああ、そうだな」
(俺は食べないけど——呑むっ)
「いや、ナミのいない今こそ、呑んでやるっ」
ウィーン、
「あら、ノリさん……お孫さん?」
「ちげーし」
「はは、こっちどうぞ」
「ユウト、何食べる?」
「う〜ん」
「ユウくんはたまごチャーハンよね〜」
「ね〜」
「って、なんだ?仲良さそうな……」
「あれ、ユウト!?早かったのね」
「ママ〜」
「え!?」
「もしあの子がママなら中華屋さんかも」
「中華!?」
何、ナミさん。
「何か心配、アユミちゃん、私……ちょっと見てきていい?」
は、急に!?
さっきと違う……
「え、はあ、私しか居ないからいいですよ、お客さん来たら連絡します」
「ありがとう」
チリン、チリン、
何か……余計に心配!?
「おま……こんなとこ……じゃなくてこんな大きな子がいたのか?」
「え、違うわよ」
「なら連れ子とかか?」
「ちっがうしっ、マモルも子供いないから、未婚だから」
「じゃあ……」
ウィーン、
「あら、ナミちゃん……まで」
「あ!?来やがった」
「何やってんのよぉ〜アンタは」
「は?ママを訪ねて〜だろ」
「嘘つけっ、呑んでるし!私は生をくださ〜い」
「おま、店はいいのか」
「アユミちゃんに頼んできた」
「ま、ならいいか、何気に疫病神なとこあるからな」
「うん、お客さん来ない時は大抵あの子いる」
(ゴメン、アユミちゃん、そうゆーことにして)
「それより、やっぱミナちゃんだったんだ?でも」
「はは、とりあえず乾杯!ナミさん」
「うん、あ〜おいしっ」
「でも18の時の子かあ?」
「え!?そうじゃなくて、母がね」
「え?」
「てゆ〜か、ユウト、もっとなみのりにいなよ」
「嫌だ、ママといる」
「まったく〜、人の店を託児所みたいに」
「説明しろよ」
「ああ、母がね歳とってからの子だから、外では私を親にしようって」
「はあ!?そんな」
「なにか気恥ずかしかったんでしょ」
「じゃあ弟か?」
「そ、でも18も離れてるから」
「なるほど……あっ、おかわり」
「ナミ……店戻れよ」
「アンタはよぉ?」
「俺はまだ……ホントのママを見つけてないから」
「次の店で呑むと」
「そ、なあユウト」
「ええ、じゃあノリさん保護者の私がついていかないと……ゴチで〜すっ」
「ふざっ」
「ミナちゃんがいるならノリちゃんが行く理由は?」
「いや、な、ナミぃ俺も行く〜」
「アンタは店番、行こうミナちゃん」
「うん、ナミちゃん」
おいっ!私のおかわりはっ!!
完




