6話〜未来予知〜
ウゴッ、ご。
ホ、ムガ。
訳が分からないので現代語を話せるテイで……
俺はタクミ。
主に壺を作っている。
「はあ、今日も疲れたなぁ、ちょっと行ってくるかな」
大量受注も済ませたし……
「アンタ、またなみのり?自分ばっか遊んでいい気なもんね」
「あ!?いやまぁ〜」
「こんなにたくさん子供産ませといて、手伝いもしないのかい?」
「な、何を〜!?12000年後には教科書に乗る俺に向かって——」
「教科……何だいそりゃ?訳のわかんないこと言ってないで」
「近畿地方への出荷分を終えたんだ、一杯呑むくらいいいだろ?」
「そんなこと言ってんと、海に落として永久保存しちまうよぉ」
な!?
怖いなこいつ、ホントに俺の奥さんか?
「あ、明日、明日からは子育て手伝うからな、な!」
「仕方ないね、早く帰るんだよ」
「ありがと、母ちゃん」
ふ〜ん、ふふ〜ん、
「チョロいチョロいっと」
カコン、カコン、
「いらっしゃい、タクミ」
「こんちはノリさん」
「アレっ、当分来られないって……壺を大量にって」
「ああ、ナミさん、俺を誰だと思ってるんすか?」
「呑んだくれのちょっと足んないヤツ」
「は!?アンタの店があるからでしょ?」
「それはそうと済んだなら呑めば?」
「いやいや、だからノリさん聞いてよぉ」
「いいよ、あっちの方で仕事してるからそこで話してな、聞こえていたら聞いててやるから」
「テメ〜、俺をナメやがって、俺はな将来この壺……縄文土器と共に世界に知れ渡る男なんだよっ」
「あっそ……今日は喋りに来たのな?ならもう帰って」
「ちょっ、じゃあビールを甕で」
「はいよっ甕一丁ね」
まったく、俺の凄さが分からないのかなぁ?
「で、将来っていつ頃?それは儲かんの?」
近っ!?
「店長……いや、12000年くらい先なんで儲かりは」
「な、つまんね」
は!?
12000年のロマンをこの男は!?
「なんか食う?」
「じゃあ、やきとりをノリさん」
「はいよっ、あ〜今日の肉はムササビだけどいい?」
「ああ、俺ムササビ大好物!タレで」
「はいよっ」
ふ〜ん、ってアレ!?
「冷たっ、何コレ!?ノリさん」
「あ、ああビール冷たい方が美味しいでしょ?」
「そうなんすけど何でこんなに……」
「コレよ、コレ!」
「おお、氷っすか?」
「こおりぃ!?」
「それ、壺に入れてるやつ」
「これ氷って言うのか?」
「知らないんだ」
そうか……そうだよなぁ。
「ふ〜ん、お前のくせに博識だな」
「一言多い、つ〜かどこでそんなの見つけたの?」
「ああ、洞窟を見つけ……内緒、企業秘密」
そんな言葉は知ってんのね?
ゴクっ、
「うまいっ!こんなにも違うのか!?」
まるで体が凍るようだ……
しかし、アユミちゃんは来ないなぁ……
「何をキョロキョロしてんだ?」
「ノリさん、アユミちゃんが豹革のパンツが手に入ったって言ってたから」
てっきり自慢しに来るかと……
「ふ〜ん、豹かあ珍しいな、俺たちなんてなイノシシだもんな」
「俺はホラっ、マンモス」
「ええ!?マンモスのパンツって、カッケーっ」
「何でそんな骨董品を?」
「ノリちゃん……ただのお古だよ、ひいひい爺さんのその前からの」
「ふ〜ん、物もちいいんだね?」
「で、さっき言ってた世界?ってなんだ」
「は!?そんなことも……」
「またタクミくんの悪いクセ〜、人を馬鹿にして」
「いやナミさんそうじゃなくて、世界ってのは広いんですよ、そして12000年後には俺は教科書に乗っているんすよ」
「何だそれ?」
「こうやってね、初めは四つん這いみたいで……そっから右に行くにつれ徐々に」
「ははは、何だそれ?段々と立ち上がっているだけじゃあないかぁ」
「それが人類の進化なんだよ、最後にはピンっとこう背筋を伸ばして」
「ふ〜ん、進化ねぇ!?で……タクミくんはどんな進化するの?」
「俺じゃなくて縄文土器の発展を……」
「そうか、頑張ってな」
「ちょっ、ノリさん相変わらず冷たいな」
カコン、カコン、
お!?アユミちゃんかな?
「え!?何この人たち、目の色も髪の毛も……」
まさか、外国人って——
「お前……壺作る人か?」
「え、そうだけど……」
ああ、他国の言葉も分かるシステムね?
「一緒に来いっ」
「え、どこに——何で!?」
カコン、カコン、
「あ〜あ、連れてかれちゃった」
「ノリちゃん、お勘定もらった?」
「ああ、どうせあいつ金持ってなかったしな」
「そうだね、俺なんていまだにこんなデッカい石持ち歩いてるのに」
「店長……いい加減それで払うのやめて〜」
カコン、カコン、
「みなさん、どしたんですか?外でタクミさんが……」
「あ、アユミちゃんを待ってたんだけどね……」
「アユミちゃん、それが豹ってヤツ?」
「店長さんすご〜いっ、よく知ってますね?」
「ああ、タクミくんも見たかっただろうにね……」
そして、12000年後——
「見た見た?コレ」
「何を?」
「アラスカの氷山から、日本の縄文土器と男の人が出て来たんだって」
「ええ、縄文人がアラスカから?」
「そう、ここに書いてある」
「ふ〜ん、凍ってる水は太平洋のものかぁ」
「そんなことまで分かるんだ?」
「で、なになに……鹿の革のパンツの中に竹串?」
「12000年前にやきとりがあったのか!?だってよ」
「すごいねえ、大発見だよね」
「コレでまた歴史が塗り替えられる」
「はは、やきとりの起源……なみのりだったりして」
「ははは、ないない、そんなっ」
「でも……なんか見たことあるような顔」
「私も思った」
「縄文人なんてみんな同じ顔じゃね?」
「あれは博物館とかの絵でしょ、この人は——」
「うん、なんかこう……この辺につっかえるような」
「分かるっ、私も」
「ねえ、この人の名前って……」
「縄文人に名前なんて無いよ」
「でもなんか……」
「あ、俺も頭に浮かんだ」
「嘘でしょ店長まで」
「でもホラっ、ノリちゃん、みんなで言ってみようよ」
「そうだな、俺も今浮かんだし」
「やっぱし?何だろねこの親近感は」
「じゃあ言うよ、せ〜のっ」
「タクミっ」
「ゴン」
「ははは、ノリちゃん以外みんな一緒だったね」
みんな覚えてくれていて……
しかし、ノリさんだけはやっぱ氷漬けにしてやろうかな——
はははは〜
完




