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居酒屋なみのり  作者: マメ
居酒屋なみのり5

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6話〜未来予知〜


ウゴッ、ご。


ホ、ムガ。


訳が分からないので現代語を話せるテイで……



俺はタクミ。


主に壺を作っている。



「はあ、今日も疲れたなぁ、ちょっと行ってくるかな」


大量受注も済ませたし……


「アンタ、またなみのり?自分ばっか遊んでいい気なもんね」


「あ!?いやまぁ〜」


「こんなにたくさん子供産ませといて、手伝いもしないのかい?」


「な、何を〜!?12000年後には教科書に乗る俺に向かって——」


「教科……何だいそりゃ?訳のわかんないこと言ってないで」


「近畿地方への出荷分を終えたんだ、一杯呑むくらいいいだろ?」


「そんなこと言ってんと、海に落として永久保存しちまうよぉ」


な!?


怖いなこいつ、ホントに俺の奥さんか?


「あ、明日、明日からは子育て手伝うからな、な!」


「仕方ないね、早く帰るんだよ」


「ありがと、母ちゃん」



ふ〜ん、ふふ〜ん、


「チョロいチョロいっと」


カコン、カコン、


「いらっしゃい、タクミ」


「こんちはノリさん」


「アレっ、当分来られないって……壺を大量にって」


「ああ、ナミさん、俺を誰だと思ってるんすか?」


「呑んだくれのちょっと足んないヤツ」


「は!?アンタの店があるからでしょ?」



「それはそうと済んだなら呑めば?」


「いやいや、だからノリさん聞いてよぉ」


「いいよ、あっちの方で仕事してるからそこで話してな、聞こえていたら聞いててやるから」


「テメ〜、俺をナメやがって、俺はな将来この壺……縄文土器と共に世界に知れ渡る男なんだよっ」


「あっそ……今日は喋りに来たのな?ならもう帰って」


「ちょっ、じゃあビールを甕で」


「はいよっ甕一丁ね」


まったく、俺の凄さが分からないのかなぁ?



「で、将来っていつ頃?それは儲かんの?」


近っ!?


「店長……いや、12000年くらい先なんで儲かりは」


「な、つまんね」


は!?


12000年のロマンをこの男は!?


「なんか食う?」


「じゃあ、やきとりをノリさん」


「はいよっ、あ〜今日の肉はムササビだけどいい?」


「ああ、俺ムササビ大好物!タレで」


「はいよっ」



ふ〜ん、ってアレ!?


「冷たっ、何コレ!?ノリさん」


「あ、ああビール冷たい方が美味しいでしょ?」


「そうなんすけど何でこんなに……」


「コレよ、コレ!」


「おお、氷っすか?」


「こおりぃ!?」


「それ、壺に入れてるやつ」


「これ氷って言うのか?」


「知らないんだ」


そうか……そうだよなぁ。


「ふ〜ん、お前のくせに博識だな」


「一言多い、つ〜かどこでそんなの見つけたの?」


「ああ、洞窟を見つけ……内緒、企業秘密」


そんな言葉は知ってんのね?


ゴクっ、


「うまいっ!こんなにも違うのか!?」


まるで体が凍るようだ……



しかし、アユミちゃんは来ないなぁ……


「何をキョロキョロしてんだ?」


「ノリさん、アユミちゃんが豹革のパンツが手に入ったって言ってたから」


てっきり自慢しに来るかと……


「ふ〜ん、豹かあ珍しいな、俺たちなんてなイノシシだもんな」


「俺はホラっ、マンモス」


「ええ!?マンモスのパンツって、カッケーっ」


「何でそんな骨董品を?」


「ノリちゃん……ただのお古だよ、ひいひい爺さんのその前からの」


「ふ〜ん、物もちいいんだね?」



「で、さっき言ってた世界?ってなんだ」


「は!?そんなことも……」


「またタクミくんの悪いクセ〜、人を馬鹿にして」


「いやナミさんそうじゃなくて、世界ってのは広いんですよ、そして12000年後には俺は教科書に乗っているんすよ」


「何だそれ?」


「こうやってね、初めは四つん這いみたいで……そっから右に行くにつれ徐々に」


「ははは、何だそれ?段々と立ち上がっているだけじゃあないかぁ」


「それが人類の進化なんだよ、最後にはピンっとこう背筋を伸ばして」


「ふ〜ん、進化ねぇ!?で……タクミくんはどんな進化するの?」


「俺じゃなくて縄文土器の発展を……」


「そうか、頑張ってな」


「ちょっ、ノリさん相変わらず冷たいな」



カコン、カコン、


お!?アユミちゃんかな?


「え!?何この人たち、目の色も髪の毛も……」


まさか、外国人って——


「お前……壺作る人か?」


「え、そうだけど……」


ああ、他国の言葉も分かるシステムね?


「一緒に来いっ」


「え、どこに——何で!?」



カコン、カコン、


「あ〜あ、連れてかれちゃった」


「ノリちゃん、お勘定もらった?」


「ああ、どうせあいつ金持ってなかったしな」


「そうだね、俺なんていまだにこんなデッカい石持ち歩いてるのに」


「店長……いい加減それで払うのやめて〜」



カコン、カコン、


「みなさん、どしたんですか?外でタクミさんが……」


「あ、アユミちゃんを待ってたんだけどね……」


「アユミちゃん、それが豹ってヤツ?」


「店長さんすご〜いっ、よく知ってますね?」


「ああ、タクミくんも見たかっただろうにね……」





そして、12000年後——



「見た見た?コレ」


「何を?」


「アラスカの氷山から、日本の縄文土器と男の人が出て来たんだって」


「ええ、縄文人がアラスカから?」


「そう、ここに書いてある」


「ふ〜ん、凍ってる水は太平洋のものかぁ」


「そんなことまで分かるんだ?」



「で、なになに……鹿の革のパンツの中に竹串?」


「12000年前にやきとりがあったのか!?だってよ」


「すごいねえ、大発見だよね」


「コレでまた歴史が塗り替えられる」


「はは、やきとりの起源……なみのりだったりして」


「ははは、ないない、そんなっ」



「でも……なんか見たことあるような顔」


「私も思った」


「縄文人なんてみんな同じ顔じゃね?」


「あれは博物館とかの絵でしょ、この人は——」


「うん、なんかこう……この辺につっかえるような」


「分かるっ、私も」



「ねえ、この人の名前って……」


「縄文人に名前なんて無いよ」


「でもなんか……」


「あ、俺も頭に浮かんだ」


「嘘でしょ店長まで」


「でもホラっ、ノリちゃん、みんなで言ってみようよ」


「そうだな、俺も今浮かんだし」


「やっぱし?何だろねこの親近感は」


「じゃあ言うよ、せ〜のっ」


「タクミっ」


「ゴン」


「ははは、ノリちゃん以外みんな一緒だったね」




みんな覚えてくれていて……


しかし、ノリさんだけはやっぱ氷漬けにしてやろうかな——



はははは〜





              完



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