5話〜なりたいな〜
「タダシさん……モエはヒーローになりたいです」
「へ!?」
ヒロインじゃなくていいのね?
「何ですかそんな顔して」
「あ……いや、別に」
「真面目に聞いてくたさいよー」
「いや……真面目にって」
はあ、今日もまともに酔わせてもらえないのかなぁ!?
こんばんは、タダシです。
今日も相変わらずモエちゃんに振り回されています。
はあーあ、静かな時間をと……
何のために離婚したんだか?
こんなことなら、よっぽどアイツの方が——
ハルト……ごめんな。
「レモンサワーおかわり〜」
「はいよアサミ、ちょっと待ってな」
「ノリさん俺もウーロンをいいですか」
「ああ、タダシ……濃いめにしとくか?」
「ありがとうございます」
いや、痛み入ります。
「じと〜」
ヤバっ!?
「も、モエちゃん、じと〜はやめよ、じと〜は」
激おこモードじゃんそれっ!
せめてジーくらいに留めてくれよ。
「で、何かなぁ怒ってる理由は」
「チロっ」
あ、機嫌直った。
チョロっ、あのアユミちゃんよりもチョロい。
チリン、チリン、
「おお、アユミぃ」
「こんばんはノリさん」
げっ!?
本人登場!
チョロいクィーン。
「モエちゃ〜ん」
「アユミちゃ〜ん、ち〜すっ」
「タダシさんも……」
ドキッ!
「あ、ああ……アユミちゃん」
「なんか私の悪口思い浮かべていたでしょ?」
「えーっ!?」
何で分かるの?
チョロい割に勘は鋭いのかぁ——
「はい、ウーロン。タダシは分かりやすいんだよ」
「の、ノリさん……そうなのか」
「フンっ」
フンっ……口に出してモエちゃんみたいに!?
って、フンは普通に言う人いるか……
「ねえ、だからぁヒーロー!何がいいですか?」
「何がいい?そんな流れだったっけ」
「ギロリ」
うわぁ、初だよその擬態語は!?
心理レベルが測れないよぉ。
「じゃあ、私が決めてもいいですね?」
「そうだねぇ、俺は何も意見していないから〜自分で……」
「そうですか、タダシさんは私に興味が無くなったと」
「モエちゃん、たまにはリラックスさせてあげたら」
アサミさんっ、も、いいこと言う時あるんだあ?
「アンタ今、失礼なことを」
いや、アンタも心を読むタイプの人か?
「だからタダシ、お前は顔に出るから、モエくらいだよ気づかないのは」
そ、そうだったのか!?
「マスター、私も気づいていますよ。それぐらい」
「どっちにしてもさぁ」
「煩いっ、このシッョ何とカー!」
モエちゃん危ないよぉ。
「な!?人を改造人間みたいに」
ヤバっ!?
って、改造人間なら平気か、ホッ。
「このバイカーキックを受けてみよっ」
ば、バイカー!?
つーか、受けてみよとか言ってたかなぁ?
そうじゃないか!?
「何だよモエ〜、そのバイカーって?」
「そうよぉ、モエちゃん。バイクに乗る人はライダーって言うのよ」
あ〜、アユミちゃんハッキリと教えちゃあ……
「モエ、やっちゃえ!アサミはこの間私をババァ呼ばわりしたから、アイツは蜂おん……」
「ナミさん、ウーロンおかわり」
ウゴゴゴー、ゴックンっ。
「はあ、はあ、はいっ」
「そんな酔いたいのかよタダシ」
「いや、そういう訳では」
うう、胃が——
いろんな意味で……汗
「う〜ん、ナミさん蜂は分かりませんが、このバッタの力で〜」
「モエちゃんっ」
「何よぉ〜さっきからいいとこで邪魔して」
「は!?アサミさんは私の味方では」
「私は正義の味方よ、良いひと……」
「アサっ」
「何かいつもより神経質ねタダシさん」
「何だろね?」
いや、ナミさんもアユミちゃんも何を呑気な!?
「こいっ、小娘っ」
「何をぉ、オバ……」
「テーメー、乗ってやってんのに」
「うわぁごめんなさい、あ!?月に代わっておし……うごごご」
「ホントにおかしいぞ今日のタダシ。濃くしすぎたか?」
「いや、酔ってはないのですが……みなさんちょっとアレなんじゃ」
「邪魔が入ったからやり直します!セーラーむごごご」
だから……
「ぷはぁ、何ですかタダシさん」
「モエちゃん、気をつけないといけないことがあってね」
「ああ、分かりました。じゃあマーキュリーでいきます」
「だ〜か〜らっ、タイトルに入ってなければいいとかじゃなくて」
「何よぉ〜もう、腰ばかり折ってさ。だから月と言えばどーこーのでしょ?」
お前は黙れっ!
やっぱいつも通りのアサミだったか!?
「タダシさんは私がヒーローになるのをいやなんですか?じゃあ悪魔の力の方で」
「ダメっ絶対!」
「仕方ない、はははは〜黄金……ウップ」
はあ、はあ、この子は!?
「苦しい、死ぬかと……」
「そうねぇ、死んで蘇ったヒーローねえ?」
お前は——
「余計なことを!」
「な、私に喧嘩売ってんの?」
「あ、いやつい……すまない」
「そんな機械的に謝られても」
「キカイ……」
「だぁ〜、テメーいい加減にしやがれっ」
「え!?タダシさん……言っちゃってるし」
「おうおうおう、人が優しくしていりゃあつけ上がりやがって」
「いや、つけ上がったりとかは」
「テメーもだアサミっ、人に寄り添うフリしてババンバーンか?」
「いや、そのフレーズってなんだっけ?」
「ノリっ貴様も神妙にしやがれっ」
「へっ!?」
「ヤバ〜私は」
「アユミ〜、俺から逃げようったってお天堂様が全てお見通しだっ」
「こっちに来ないで〜神様」
「そこのナミっ、市中引き回しの上、打首獄門!」
「はは〜」
「え!?」
「いいから、モエも真似しとけ!すぐ終わんから」
「これにて一件らくちゃ……」
「どした?」
「桜吹雪……忘れた」
「やっぱお前は課長止まりだな〜」
え!?
「何だよぉ、奢れよぉ、乗っかったのに」
いや、
「タダシさん私とナミちゃんのもなっ!」
いや、課長って結構大変よっ。
って、今関係ないか?
「女にばっか手出してるからだよ、タダシは」
いや、その課長はもっと凄い人で……
って関係ないか?
「タダシさん、私がいながら——」
「いや、モエちゃん違うの……ね、ねっ」
「今日から夜のリハビリ3ヶ月ですっ」
「いや……」
「もう決まりですっ」
寿命が……
静かな余暇が……
誰か——助けてよぉ〜
完




