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居酒屋なみのり  作者: マメ
居酒屋なみのり5

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4話〜赤ワイン殺人事件〜


通報を受けた。


1軒の居酒屋で人が殺されたと。


そしてこの俺が駆けつけている。


そんな訳さ。


俺は衣笠栄署の刑事、トネリだ。


あ、やり直し、


衣笠栄署のデカさっ——腕利のな!



決まったところで、早速現場に到着っと。



チリン、チリン、


「いらっしゃ……ああ!?」


(ん!?殺人のあった店でいらっしゃいとは?)


「栄署の刑事のトネリです」


「ああ……ホントに来たんだ」


なんだこの男の感じは……


慣れっこなのか?


それとも——



「で、害者は」


「あ〜ぁ、コレです」


コレ?


「ほう、腹をひと突きか……」


ふむふむ、出血死……または外傷性ショック死か……



「刺された時の様子は?逃亡したものはいるのか?」


「はあ、店からは誰も出ていないけど……」


「そうか——となると、この中に犯人が」


「ヒソヒソ」


「なんだ、何か知っているのか?」


「いや、当たり前のことをいちいち口に出されても……と」


なぁ〜にぃ、


素人の貴様らが緊張感の山場の作り方を知りもしないで!


「ああ、営業の邪魔になるんで早めにしてくれませんか」


は!?


おい、貴様は女将か?


なんなんだ人が1人死んでんだぞ。



「ああ、ならなんか呑みもんとか頼んでくれない?」


「え!?いや、公務中なのでアルコールは……」


「アンタさぁ、ノンアルでもいいじゃん頼んじゃいなさいヨォ」


な、なんだこの中年女は!?


なんか……好み。



「じゃ、じゃあコーラでも貰おうかな?」


「はい、コーラね、食べ物は?」


「は!?ワンオーダー制?」


「いや、いらないのならいいけど……頼んだ方がイメージいいかな?」


「ああ、なら……え〜と、チヂミを」


「はいよっ、ナミぃチヂミね〜」


「はいよぉ〜ノリちゃん」



なんなんだ、なんでこんなにも軽いんだ!?


う〜ん、ということはこの男は相当な恨みを買っていたか?


店にとって出禁レベルの常連なのか!?


「はい、コーラね」


「あぁ、ありがと……ゴクっゴクっ——ハアおかわりっ」


「はいよっ」


って……ちっがぁ〜うっ!


アメリカ映画好きのせいなのか、コーラ呑むと、つい……



しかし、こんな大男の懐中に入ってひと突きとは——


よほどの手練れか、あるいは……気の知れた仲ということに。


ふ〜ん、どいつもしれ〜とした顔で呑んでやがって。


「店主」


「はい、なんですか」


な、面倒臭そうにしやがって、お前の店の事件だろ?


「刺された瞬間を見たものは?」


「いないんじゃない?いても黙秘とか」


は!?


「犯人でもないのに?」


「ノリちゃ〜ん、ウーロンねぇ」


「はいよっ」


「あ!?ちょ、聞き込み……」


なんか調子が狂うな。



「で、まだぁ?」


何が?


「霊柩車か何か来ないの?」


「は!?いやまずは鑑識が来て現場検証を」


「いや、そういうのいいから、早くして、掃除もしたいし」


まあ……そうだよね、血は拭きたいよね。


じゃなくて……



「しかしナイフが柄の部分まで深々と……相当な恨みなのか」



「はい、チヂミね」


「おお、うまそっ」


「なんか呑んじゃえば?」


「そうだなぁ、瓶もらおうかな?」


「はいよっ」


「うまいなコレっ」


ほふっほふっ、


「はいビールねぇ」


「ゴクっゴクっ、うまいっ!う〜んまいっ」


あー?やべっ!?


つい——


「あ、そうだ!?俺は瓶としか言ってないよ」


「お前……クズだな?」


「え〜、栄署きっての腕利きにぃクズたとぉ」


ま、自業自得なんだが……



「しかし、うまい」


ふぅ〜、鑑識が来るまで呑んでるか。


どうせコイツらなぁーんも喋らんし。


「おかわりいる?」


「あ、じゃあレモンサワーを……あと、唐揚げいいっすか?」


「はいよ」


「あの人、仕事中よね?」


なんだ、またあの中年女か……



「んっ、うん、アンタさぁいい呑みっぷりねぇ」


「は、そうですかありがとうございます」


「私ねぇ、口は硬い方なのよ」


「はあ」


「この意味分かる?」


「え、いやぁ……歳だからとか」


ビシッ、


「若い子は唇が柔らかいとかそんなの妄想よっ、殺されたいの?」


「あ、いや……殺人の後が私の出番なので〜」


「だから〜、キュッよきゅっ」


「あ〜ぁ、操作情報を流せと……」


「あったま悪いわねぇ、コレよコレっ」


なんだその手の動きは……


あ〜奢れと?


しかし何で?


やべっ、そうかぁ……


「あ!?勤務中だった——な、何がいいですか?」


「うーん、私はウーロン、マサくんはレモンサワー、アユミちゃんはぁ?」


「私はビールっ」


「で、ノリさんとナミちゃんは?」


「な、何でそんなにたくさん?」


刑事にたかるとはいい度胸だな!



「なぁ、俺もワインちょうだいよ」


うわっ!?


生き返ったぁ!


「やっと起きたよ店長」


え〜、どーゆーこと?


「あ、ナミちゃん……俺ここで寝てた?」


「そうよぉワインもこぼしちゃって」


「あ、ホントだコレ俺がこぼしたの?」


「そうよ〜、通販の引っ込むナイフまで刺してさっ」


引っ込む〜!?


「ああ、思い出した、アユミちゃんに刺されたんだ」


「えへへっ」



「うぉ〜、お前ら刑事を舐め腐って」


「うわっ、横須賀1の汚点デカが怒ったあ」


「わ、ははははっ」


貴様らっ!


こうなったら冤罪だろうとなんだろうと……


「こいっお前を殺人容疑で逮捕する」


「え!?ちょっ」


ガチャっ、


「なんでェ〜!」



ピーポーピーポー、


「あ〜あ、アユミちゃん……捕まったね」


「もう……前科持ちだね」




                       完





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