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居酒屋なみのり  作者: マメ
居酒屋なみのり4

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1話 〜濡れ縁〜


チリン、チリン、


「いらっ……中田くん久しぶりぃ」


「ははっマスター、3人なんすけど?」


「どうぞ、どうぞ、ここでいい?」


「はい、瓶を2本で」


「はいよっ」


へぇ〜、ここが主任の行きつけなんだぁ?



「とりあえず、やきとりと肉巻きからでいいかな?」


「はい、お任せします」


「俺もカヨさんと同じで」


「はいお通しねぇ。雨の中ありがとうね〜」


「はい、ナミさん。後輩たちを連れて来たくて」


「わざわざどうも。みなさん会社のねぇ?」


「はい、後輩というか……主任のチームの部下です」


「いや、ここではいいよ」


「え!?あ、すみません、しゅ……」


「呼び方くらいはいいんじゃないの?中田くんが楽にできないなら仕方ないけど」


「いや、まあそこまでは……」


「ほら、中田くん。あの人なんてみんなに店長って呼ばれているからね?」


「はは、そうですね、気楽ならなんでも」


「でも、あの人は本当は店長じゃないらしいけどね?」


は?


まあ、初めて来た店で常連さんの真相は……まっいっか?




で、店長疑惑のせいで、ちょうど自己紹介のタイミングだったモノを逃したので、ここでひとつ恒例的なのやっときますか……



ここは、『居酒屋なみのり』


気楽に呑んで食べて歌う、そんなお店……


て、私は初なんでそんなこと言わされても、まだ心が込められないんですけどぉ!?


うっうん、改めてまして私はカヨ35歳。


おうち派女子です。


そして、この横の子は高根と言って29歳で、共に独身ですっ!



「じゃあ、中田くんは会社では厳しいんだ?」


「いや、そんなことはないっすけど……たまに怖いですね」


「高根、そういうのこそ要らないから」


う〜ん、やっぱいつもと違う主任って感じだぁ!?



「ええ、じゃあこの店ではみなさん、主任のことをなんて呼んでるんすか?」


始まった、高根の悪い癖。


「いや、普通に中田くんとかねぇ?」


「とかって何すか?ナミちゃん」


おいっ、馴れ馴れしいぞ初対面でしかもお前のお母さんほどの人だろ?高根。


アレ、でも呼ばれて喜んでるっぽいぞ!?


「え、じゃあ高根くんは友達とかから何て呼ばれてんの?」


お、マスター逸らすのうまっ。


「俺っすか、下の名前か……ガキの頃の奴らはネっちて呼ばれてますね」


「ネっちかぁ?いいね」


そうでもないと思うけど……本人がいいのならそれで。



「カヨさんは、何て呼ばれるのが多いの?」


え!?私っ?


「いや普通にカヨですかねぇ?」


「ふ〜ん……カヨ」


いきなりぃ〜!?


これかぁ!?主任の言ってた、マスターは縮めるのが早いってのは——



てゆーか、力技、強引?


「マスターは何かあるんですか?」


「普通にノリちゃんとか、ノリぴーかな?」


「ノリぴー?ノリぴー!?」


「何がおかしいんだよ?ネっち」


「いや、ノリさん……ごめんなさい」


「素直だな、高根……っち。いや、ネっち」


主任、気に入ったみたいね?


ホント楽しそうにしているし、よっぽどココが好きなのね。


会社の時とは大違いだわ?


別人格ってやつね。



あれ!?


床が濡れて……あっ!


「高根くん鞄がびしょびしょじゃないの?」


「あっ!?ヤバっ!」


「書類は平気かね?っち」


「主任……ふざけてる場合じゃ?」


「あ、そうだな!?て、お前に言われるの?」


はは、能天気だなぁこの2人は。


「いや〜、ファイルん中までぐっしょりですわ」


「マジか……まっ仕方ないな?」


え!?


しゅ、主任、そんなお気楽でいいの?


「じゃ明日、私がお詫びと再度のお願いに……」


「いや、ダメだ」


「私ではと……」


「そうだな?まあ」


「そんな、いつになったら信用してもらえるんですか?」


「カヨさん落ちついてくださいよっ」


「あなたは黙ってなさい!」


つーか、お前のせいだろがぁ?


て、私もちょっとヒートアップしすぎかな?



「いや、でもダメだ俺が行く」


「中田くんもやっぱ仕事は真面目なんだね?」


「はぁ、まあそのくらいは……」


分かりました。でも私も信用を勝ち取るまで……


「で、その行き先はまさか幼稚園?」


「え?何で知ってんすか、店長さんでしたっけ?」


「おぉう、そうだよネっちくん。でね〜」


「いや、店長。これは俺たちの会社のもんだ……」


「黙れっ、中田っち!」


中田っち?


あなたも『っち』だったのですね?


「店長!」


「煩いっ!黙れ黙れっ中田っち。そこの保母さんに会いたいからだろ?」


「いや、だから店長って」



「はあ〜!?おいっ中田っち。人を使いモンにならないみたいなことほざいといてそれかぁ?」


「いや、だからカヨ……くん!?」


「俺しーらないっと」


「いや、お前だよね?日本酒を呑ませたの......カヨに」


「煩えっ、酒の話してんじゃねぇんだよ!保母さんになぁ?奥さんに言いつけっぞっ!」


「あっ、ごめん!それは……じゃあ、カヨ行ってくっか?明日」



「おお、行ってやるよぉ〜?退園時間になっ!」


「おいっ、カヨ!?何で?」


「はぁ、そんなのイケメンシングルファーザー狙いに決まってんだろ?」



「望み薄っす!空振り必至!」


「ちっ!」




                      完














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