9話 〜これも修行〜
チリン、チリン、
「いらっしゃい」
「こんにちは」
「モエ、帽子かわいいじゃん」
「へへ〜、イメチェンですっ!」
「ああ〜モエちゃ〜ん!」
「アユミちゃ〜ん、元気でしたあ〜」
「うん、まあ……2日ぶりだけどね?」
て、アレ!?
モエちゃん何か……
「はい瓶ねぇ、今日のお通しはこれ食べてね」
「はい、じゃあかんぱ〜いっ」
「タダシさん、お肉ハイっどうぞ」
「え!?モエちゃんは食べないの?」
「私は修行の身なので」
「あ、はははは〜まだやるんだ?」
「まだとかではないのです」
「そういえばモエ、その……」
「ようやく気づきましたかマスター?」
いや、分かってはいたけど……
「私は目覚めたのです」
うわぁ〜、帽子脱いだら……夕方のおじさんのヒゲみたいになってるけど?
「で、なにがあったの?それ」
「あ、マスター、私には何かお野菜をいただけますか?」
「野菜ね?オニオンスライスとかでいい?」
「結構でござりましてよ」
話し方まで……変。
「タダシは何食べる?」
「え〜と、トリカラとつくねピーマンを」
「はいよ」
「タダシさん、私はちょっとお手洗いに行って参りますわ」
「う、うん」
「で、何があったの?」
「え!?あぁ、実は……」
タダシさんの話によると日曜の夜に——
「ねぇタダシさん、気分転換に肝試しでもしようよぉ」
「は?肝……どこで?」
「ここでいいじゃないですか?」
「ん?いやぁ、どうやってやるのかなぁ〜」
「う〜ん、あまり乗り気じゃないですねぇ?」
「そうだねぇ〜、乗り気も何も……やりたくないかなぁ」
「そうですか?ならばタダシさんが楽しめるように私はやってやりますよ」
「モエちゃん、な、何を?それ髭剃りで……」
「今から私は一休さんになりすっ!」
と言ってシェーバーで頭をツルツルにしたそうでした。
「で、あの頭?」
「はい……」
「お化けなら一休さんじゃないよね?」
「ええ、多分名前が……」
それで見た目が似てるからと?
モエちゃんらしい。笑
「あ、出てきた?はいトリカラねぇ」
「でゎ、いただくとしましょうか?」
「うん、まだそのキャラやるの?」
「キャラとかではありませんでしてよ、タダシさん」
やりづらそぉ〜タダシさん。
どうしたのモエちゃんキョロキョロして?
あ!?食べた……トリカラ。
ノリさんが見ていない隙に……
「はいウーロンハイねぇ。て、モエ……トリカラ食っただろ?」
「ふふえ、ほれはぁオニホンでふ」
無理、無理だよモエちゃん。
「嘘つけ、オニオンでそんなに頬を膨らますかぁ?」
「うん、あ〜。オニオン飲み込むのつっらぁ〜」
モエちゃん早くもキャラ崩壊。
「マスター、レモンサワーください」
「酒はいいのか?」
「嗜む程度なら構いませんわよ」
「ふっ」
でも、モエちゃん……その頭もかわいい〜。
「ねぇ、タダシさん」
「どうしたのそんな小さな声で?」
「ネギ塩ハラミ頼みません?」
「ああ〜!?いいよ頼もっか?」
「はい、レモンサワーね」
「あとハラミを」
「ハラミねぇ、はいよっ」
「ナミぃ、タダシがハラミだって〜」
「はーい、ノリちゃん」
「モエ、今日はやきとりいかないのか?」
「マスター、私の心を揺さぶっても無駄です。そんなことをするより、あなたの心を見つめ直しなさい」
「何だコイツ?」
確かに、何だコイツ?
「ノリちゃん、上がったよぉ〜」
「お?」
「はい、タダシ。ハラミねぇ」
「ありがとうございます」
あ?またキョロキョロしてるモエちゃん。
そんでぇ、ノリさんが後ろを向いた隙に……
「は〜むっ!」
食べたぁ!?
「うわぁーっ辛ぁいっ!」
どしたの?モエちゃん……
「ははは〜モエ、食ったな?」
「食べてません。けど突然辛さが私を襲いました」
「あ!?忘れてた?」
「何ですか?タダシさん」
「俺いつも、タレに青唐辛子を混ぜてもらってるんだった」
「もぉ〜、先に言ってくださいよぉ!」
「ほら、罰としてもう一口食えっ」
「ああ、マスターやめてぇ〜」
あんなに食べさせて……
「ひぃ〜ハァーっ!」
完




