ニートな女神と初めての情報提供
GWは頑張ってニートな女神の話を一気に進めて行きたいな。
竜鱗の乙女。
噂に聞くところによるとそれは第1階層と第2階層で目撃されるとあるプレイヤーの通り名だった。
その名の由来はまるで竜をあしらったかのような重厚な装備に身を包んだ見た目が高校生くらいの女性プレイヤーであることが関係しているのだが。
まあ、女子高校生のことを乙女と呼ぶのかどうかということは置いておくにしてもつまりはそういうことだった。
もちろん、もう皆わかってると思うけどそれは私のことだ。
で、これは前にも話したことがあるのだが第1階層やゲーム序盤というのはプレイヤーの装備というのはだいたいが決まっているというか、同じになりがちなのだ。
それはゲーム序盤はプレイヤーの多くがゲーム内の武器・防具屋で買うことのできる装備を身に着けるからであり、そしてプレイヤーはその店売りの品でも最も性能が良いものを買って装備する。
その理由としてまず序盤は武器や防具をドロップするモンスターがほぼ存在しないこと。
鍛冶スキル等の武器や防具を作成することのできるスキルを持っているプレイヤーがほぼいないこと。
ただし稀に神々の恩恵の効果でゲーム開始時点から鍛冶のスキルを持っているプレイヤーもいるにはいるが、そういうプレイヤーでも実際に鍛冶スキルで武器や防具を作るためには素材アイテムも必要だし、仮に素材アイテムを集めたとしても作成できる武器や防具は始まりの街で買える装備品と同じものばかり。
(ただし鍛冶スキルで作った武器や防具は名前や見た目が同じでも高品質であれば装備品の性能は店売りのものよりも良い。)
そして、以上のことから第1階層、第2階層において他のプレイヤーが装備しているのを見たことのない装備をつけているプレイヤーというのはそれだけで目立つ存在となる。
ただ多くの場合は、先の階層に進んでいるプレイヤーが第1階層に戻ってきているのだろうということで、まさかそのプレイヤーが今自分たちと同じようにその階層を攻略中のプレイヤーだなんて思われもしないはずなのだ、普通は。
ではどうして竜鱗の乙女というプレイヤーはそこまで第1、第2階層を攻略中のプレイヤーの間で噂になっているのかというと、それはそのプレイヤーのなしたある意味ありえない偉業の話がセットになって広まったからに違いない。ドラゴンをソロで撃破したという偉業。
「えっと、私も噂を聞いたことはあるけど、実際に会ったことはないかな」
私は東也の質問にそう答えた。
竜鱗の乙女というプレイヤーについて知っているかという質問を受けること自体は別に問題はない。
ただし、東也の場合は別だ。東也は私が第1階層でお互いにプレイヤー名を明かした数少ないプレイヤーの一人でありその時すでに私がかなりすごいプレイヤーであるという印象を持たれたと思う。
もしここで、竜鱗の乙女と呼ばれるプレイヤーが私だと明かせば東也の口から私の玲愛というプレイヤーネームが他プレイヤーに広まるかもしれない。
もちろん私は東也に竜鱗の乙女の正体を明かすつもりはないし、でもそれでもばれたとしたらそれはそれで仕方ないと諦めるつもりだが。必死に否定しすぎると返って疑わしくなるだけだし。
だけど何よりも竜鱗の乙女っていうのがな。
格好いいとは思うんだけどそれで実際に自分がそう呼ばれるとやっぱり恥ずかしいんだよね。
別に他の通り名なら良かったという意味でなく、なんていうか、通り名とかつけられるほど目立ちたくないんだ、私は。
他のプレイヤーに目立たないように着々とゲームを進めていきたいという願望が私にはある。
……まあ、それでも配慮が足らずに今こうしてだいぶ目立ってしまっているのだけど、まだ私の本当のプレイヤー名までは広まってないからギリ大丈夫だろう。
「そっか。僕はもしかしたら玲愛のことなんじゃないかって思ってたんだけど」
むう、東也はやっぱり私のことを疑っていたか。でも……
「そんなわけないじゃん。だってそのプレイヤーはソロであのドラゴンを倒したんでしょう?、そんなの私には無理だって」
「でも、玲愛もソロプレイヤーなんでしょう?」
「うん。でも私は、ドラゴン戦の時は他のパーティに入れてもらったから」
もちろんそれは嘘だ。
というか、むしろここで正直に東也には私が竜鱗の乙女だということを明かしてその上でそのことは内緒にしてもらうと約束させた方がいいようにも思う。
事実としてパス太たち麺類トリオの3人や、ローズ達には竜鱗の乙女の正体が私であるということを広めないように頼んでいる。
それで今現在、私の正体が広まっていないということは皆ちゃんと約束を守ってくれているんだろう。
だから東也にも竜鱗の乙女の正体が私だと教えてあげてもいいようにも思えるのだけど。
「東也の方はどうなの?、その、竜鱗の乙女ってプレイヤーを見たことはあるの?」
私が逆に聞いてみると東也は首を横にふった。
「ううん、僕も噂に聞いただけ。タイミングが合わないみたいで」
タイミングというのはログイン時間のことだろうか。
ゴッドワールド・オンラインは現実世界と時間がリンクしているからたとえば主に日中ゲームにログインしているプレイヤーと夜にゲームにログインするプレイヤーはまず会うことはないし。
それに第2階層でもこのフローリアの街はそれなりに広い。さらにプレイヤーが街ではなくフィールドやダンジョンに行っているのであればそれこそ同じ時間にログインしていても顔見知りのプレイヤーと出会わないことも多い。
でも私は、そういえば食事と睡眠の時間以外はほぼゲーム内にログインしているからな。
東也はいつもどのくらいの時間帯にどのくらいの時間ログインしているのかは知らないけどそれで私と出会うことはおろか私を見かけたこともないというのは本当にタイミングの問題のように思えた。
「そっか。それにしてもちょっと久しぶりだね」
私は東也に話題を変えようと、というか普通に世間話でもしようとそう話しかけた。
「うん。あれ以来出会うのは今が初めてだもんね。でも驚いた。僕は玲愛はきっともう第3、いや下手すると第4階層までとか、行っちゃってるんだと思ってた」
「それは買い被りすぎだよ。私だって、まあダンジョンのボス戦を除けばまだソロプレイヤーだし、ソロプレイヤーはレベル上げとかも頑張んないと厳しいから」
「そうだね。それはわかるよ」
だからこそ大抵のプレイヤーはこのゲームをソロプレイで攻略することは割と早い段階で諦めて誰かとパーティを組むのだけど。
そもそもこのゲーム、VRMMOのMMOの部分でまず多人数プレイを第一としているし、ソロプレイもできなくはないという程度であって。
よほどVRゲームに慣れているか、他人とうまく付き合えないコミュ障、そして孤高を愛する人間でもないとこのゲームでソロプレイというのはまずしない。
もっとも私の場合は単に神々の恩恵の効果がチートすぎるせいでソロでも普通に十分やっていけてるから今言った例にはあてはまら……ない、よね?
「ちなみに玲愛は今レベルいくつなの?、僕は頑張って今レベル16なんだけど」
おお、この階層でレベル16というのはいいんじゃないか。
あ、でも。迷宮ダンジョンを攻略中ならそれくらいのレベルにはなるか。
「私はえっと……」
でもどうしよう。ここでまた私のレベルを正直に言ったら東也は驚くに違いない。
だけど嘘をついて低いレベルを言うのもなぁ……まあ、いいかレベルについては教えても。
「私は今レベル26だよ」
「え、そんなに!?」
「うん。嘘じゃないよ」
「あ、いや。別に疑ってるわけじゃないけど……そっか、やっぱりソロプレイだとそのくらいレベルないと厳しいのか」
「うん、まあね」
いや知らんよ?、私は……ああ、そういえば私まだ私以外のソロプレイヤーって会ったことないな。
今までこの階層で話しかけたりした人たちも皆パーティに入ってる人ばかりだったみたいだし。
やっぱりソロプレイヤーってそれだけで珍しいし人数も少ないということなのか。
うーん、今度ちょっと探し出してみて聞いてみようかな。
私以外のソロプレイヤーってどのくらいのレベルが普通なんだろうか。
「そういえば玲愛、なんていうか装備の方も変わったね」
「そりゃあ階層を越えたんだし装備も変えるでしょう」
「うん、そうなんだけど。たしか前は鎧を着てたと思うんだけど」
「……ああ、なるほど」
私はそこで東也の言いたいことがなんとなくわかった。
たしかに今の私は鎧ではなくフードとマントのセットを装備している。
そうか、そういえばドラゴンシリーズの装備から蝶々シリーズの装備に変えたけど、もしも私が装備を変えずにドラゴンシリーズの装備のままでいたとしたら、この店に入った段階で東也はすぐに私の装備を見て私が竜鱗の乙女と呼ばれているプレイヤーだと気づいたに違いない。
うん、これはやっぱり装備を変えて正解だったかな。
「うん、こっちの方が動きやすい感じがしてね」
「そうなんだ。でも黄緑色のフードとマントなんて珍しいね。初めて見たよ」
そりゃあそうだろうね、なんてったって今私が装備しているフードとマントは第2階層の迷宮ボスであるマダムバタフライをソロで撃破した報酬の金の宝箱に入っていたやつだから。
そういえば街中で私以外のプレイヤーで、まあ魔法使いか弓使いなんかは私のように軽装でマントやローブとか着てる人もいるけど、黒や紺、あと赤と緑色のマントとかローブを着ている奴が多い。
おそらくそれぞれ微妙に性能というか、あとは何らかの特殊効果がついてるとか違いがあるんだろうけどもきっとこの階層では主流の装備なんだろう。
「うん。それなりに性能がいいから」
ちなみに私は、街中ではあの派手な蝶々の仮面はつけていない。
(何のことかわからないやつはもう一度前の話をよく読み直せ。)
いやだって、あれつけて街を出歩くのって相当勇気がいるんだよ?
それにそんなことしてたらまたすぐに私のその姿が目立って別の通り名、たとえば蝶々仮面とか、そういうのがつけられて噂になるかもしれないし。それはマジで勘弁願いたい。
幸いにも、私が現在装備中の蝶々のフードとマントについては模様もない黄緑色一色であって、ただ見ただけではドラゴンシリーズの装備のようにすごい装備だとばれる可能性は低く、そう考えたからこそ私は街中でも普通にこのフードとマントをつけて出歩けるのだけど。
「へえ、そうなんだ」
東也は私の返しにそれ以上は深くつっこまずにただそう答えた。まあこれが普通の反応だよな。
たとえば、自分が鎧を装備しているプレイヤーなら、同じ階層を攻略中の他のプレイヤーが自分のよりもすごそうな鎧を装備しているのを見たら、そのプレイヤーにその鎧はどこでどうやって手に入れたのか聞くこともあるだろう。
けども東也は今鎧を着ていて、私はマントとフード。東也は私の装備が他では見かけないものだということはなんとなくわかったみたいだがそれで私の装備の入手先を聞いてきたりはしない。
だって聞いたところで別に自分が装備するわけでもないのだから。
「それよりも、いいの?、ここで呑気に長話してて。これから迷宮挑むんでしょう?」
私がそのことを突っ込むと東也はまだ集合の時間に余裕あるからと答えた。
「そっか」
「うん」
だけどもそこで私は話すことがなくなってしまった。
お互いの近況もだいたい話して聞いたし、後はとくに……ああ、こういう時にもっとコミュ力が高ければ話題を絶やすこともないんだろうけども。どうしよう。
「あ、そうだ。東也たちのパーティはさ、前回はマダムバタフライとはどこまで行けたの?」
「え?……ああ、うん。前回はね……」
私はなんとか話を続けようと東也に質問をぶつけ、そして東也はその質問に答えてくれた。
それで聞かせてもらった話によると前回東也たちは迷宮ダンジョンを攻略してそのままの足でボス部屋の中に入りボス戦になったそう。
もちろん東也を含めた5人のパーティメンバーは全員HPもMPも全快状態で、回復アイテムの残りもあったのでパーティリーダーはそのまま勢いでボスも倒せると判断したらしい。
私はマダムバタフライについてもうすでにその攻撃方法やその他のことについては知っているから断言できるのだけど、あのモンスターは多分戦う前に何の予備知識もなく初見で挑んで勝てるようなモンスターではない。
私も事前にちゃんと皐月さんに迷宮ボスのことについて情報を聞いていたし、私は毒と麻痺と眠りの3つの状態異常を完全に無効化するスキルを持っていたからあそこまで楽に倒せたのであって。そうではない普通のプレイヤーはたとえパーティを組んでいたとしても軽く全滅させられるほどの強さはあったと思うし。というか、それが迷宮ダンジョンのボスなんだろうしね。
「大変だったよ。なんか紫色の鱗粉攻撃を食らったら全員すごい毒にかかって。しかも毒消しが効かないし。それでも頑張ってボスの体力を削っていったら今度は黄色い鱗粉が飛んできて、それを食らったら麻痺にさせられるし」
うん、それな。しかもあの鱗粉ってかなり広範囲に撒き散らされるからほぼ回避できないんだよね。
「それで結局前回は、ボスの体力を半分とちょっと削ったところで全滅しちゃった」
なるほど、半分とちょっとか。
あれ?、でもということはもしかして……
「じゃあ、その先のことについては知らないのか?」
「うん。え、待って。というかあれより先にまだ何かあるの!?」
「う、うん。割と色々」
私はマダムバタフライとの戦いを思い出しながら東也にその先のことを教えてあげた。
正直言ってまだこちらを毒の状態異常にしてくる紫の鱗粉とこちらを麻痺の状態異常にしてくる黄色い鱗粉については食らってもまだなんとかなるとは思う。
でも、最後のこちらを眠りの状態異常にしてくる白い鱗粉については何が何でも回避しなければやばいだろうな、と。 眠りの状態異常ってなっただけでほぼ確実に殺られるからな。
しかもマダムバタフライのは牧場のスリープシープのものよりも強力な眠りの状態異常で、店売りの眠り消し薬じゃ治せないだろうから余計に質が悪い。
「嘘でしょ、そんなのどうやって勝つっていうか、玲愛たちはどうやって攻略したの?」
ただ、教えてから東也にそう聞かれたときはさすがに焦った。
そうだ、私は1人ではないにせよすでにそのマダムバタフライに勝ったということをさっき言ってしまっている。ああ、もう面倒くさいな。
「あーーーー、うん。まあ簡単に言っちゃえばマダムバタフライの状態異常を直せるアイテムがあったからそれを使ってなんとか?」
「え、そんなアイテム……もしかして誰かにもらったの?」
「いや、えっと……ごめん、それはちょっと教えられない」
「…………ふうん、そっか。玲愛は運が良かったんだね」
「いや、まあ、うん。ああ、そうだそれなら……」
私は適当にまた嘘をつくと自分のアイテムボックスをそこで開いた。
たしか、全部まだ余剰分があったと思うんだけど。
「え、なに?」
「いや、その時のアイテムの残りがあるから東也にも上げようと思って」
「ええ!?、それは嬉しいけど、でも、いいの?」
「ん、何が?」
「だってそのアイテムって……貴重なものなんじゃないの?」
ああ、そうか。いや、別に素材アイテムさえ揃えばすぐに作れるからそこまで貴重なものでもないけど。
「うん。でも私はもうマダムバタフライは倒してるから、他に必要なプレイヤーがいるなら別に。それに東也はまあ、フレンドだしね」
「でも、前に別れた時に今度は僕の方から玲愛に何かプレゼントするって約束したし」
「ああ、そうだったっけ。んー、ならそれはまた今度会った時でいいよ」
私がそう言ったら東也は少しだけ迷った末にこう言った。
「そう、ありがとう。それならもらっておくよ」
面と向かって人にお礼を言われたのはいつ以来だろうか。
私はそれで急に気恥ずかしくなってもう早く終わらせようとアイテムボックス内から私が調合スキルによって作成した毒消し薬☆と麻痺消し薬☆は10個、眠り消し薬☆は多めに20個選択すると、目の前にいるプレイヤーの東也にそのアイテムを譲渡した。
眠り消し薬☆なんてそれこそソロプレイヤーの私は使わないからね。
東也はいったいどんなアイテムがもらえるのだろうと少し期待していたようだったけど、私からアイテムを受け取ると少しだけ怪訝な顔をした。
「うん、ちゃんと受け取った、けども。この、アイテムの名前の後ろについてる☆って何?」
「え、ああ!、たとえば毒消し薬よりも毒消し薬☆の方がより強力な毒の状態異常を治せるんだよ、普通のやつよりも効果の高いことを表す印みたいな?」
「そうなんだ。でも本当にいいの?、こんなにたくさんもらっちゃって」
「東也のパーティは5人でしょ。全員で分けて持っていればまあ、誰がどの状態異常になっても安心かな、なんて」
まあ、それでもマダムバタフライを倒せる保障とするにはまだ弱いかもしれないけど、でもないよりはあった方がいいだろう。
というか私以外のプレイヤーって、たとえば皐月さん達とかはあのマダムバタフライ戦はどうやって乗り切ったのだろうか。
私のように調合スキルを持っていたプレイヤーでもいたなら状態異常回復のアイテムを作って仲間に分配することでなんとか乗り切れるというところか。
あるいはあれかな、状態異常なんて基本無視して全員で最初から全力で攻撃していって速攻で体力を削りきるとか。難易度は高いけどあの鱗粉攻撃を回避する技術を磨くとか、まあ攻略法は他にも色々あるんだろうけども。
だけども私くらいだよな、毒無効、麻痺無効、眠り無効のスキルをこの時点で持っているおかげで状態異常なんて気にせずに戦って倒したプレイヤーは。
「玲愛、本当にありがとう。このお礼は今度必ずするから、この前の分も合わせて」
「うん。まあまたどこかで会ったらね」
もしも東也たちが今日、この後でマダムバタフライを倒してすぐに第3階層に進んだとしたら今度は私の方が東也を追いかける番になるけど、それでも偶然どこかで再会することはあるだろうし。
もっとも東也とはすでにフレンド登録していて、同じ時間帯にログインしているならフレンドにはチャットや通話機能で連絡をしてゲーム内で会おうと思えば会えるのだけど。
まあとくに用事がない限りはそれもないだろうからな。
「あ、じゃあ僕はもう行くね。よく考えれば玲愛もお店に用があったんでしょ」
「うん。素材アイテムの売却にきたんだけどね」
「そっか」
「東也たちのパーティがボスを倒せることを祈ってるよ」
「うん、ありがとう。それじゃあまたね」
「うん、またね」
そうして東也は店を出て行った。さて、本当にどうなるかな。
でもまあ大丈夫だろうか。マダムバタフライはたしかに強くて厄介だったけど、耐久はそこまででもなかったし、東也は一撃の威力が大きい大剣使い。
東也のパーティの他のメンバーについては知らないけど2回目の挑戦だというなら各々何かしらの対策は練った上でのことなんだろうし。
「私が渡したアイテムも、有効に使ってくれるといいけど」
私はそうつぶやくと、それからすぐに店のカウンターで素材アイテムをいくつか売却した。
よし、これで今日はもう終わりにしようか。
私は店を出るとすぐにログアウトして現実世界へと帰還した。
それにしても、まさかあそこで東也と再会するとは思っていなかった。
いつどこで誰と出会うかなんて、それこそ神にもわからないけど、だけど。
基本的に部屋に引きこもってニートやってる私が言うセリフではないな、うん。
<武器の特徴紹介―Part1>
①片手剣
初心者におすすめの武器であり、初期武器でこれを選んだというプレイヤーも多い。
特徴は誰でも扱いやすく攻撃の際の動作が楽であり、また片手用の武器であるため装備した方と逆の手に盾を装備することが出来る。
この片手剣と盾という組み合わせの装備を騎士スタイルと呼び、盾を装備せず片手剣のみを装備して戦うのは歩兵スタイルとプレイヤー間では呼ばれている。
ただし、歩兵スタイルのプレイヤーは少なく、片手剣をメイン武器にしているプレイヤーはその9割が騎士スタイルである。
②大剣(両手剣)
片手剣と違い、大剣はどちらの手でも装備した時点で両手がふさがるために盾などを装備することはできない。
特徴は片手剣よりも一撃で与えるダメージが多く、ザコモンスター相手ならほぼ瞬殺できる。
ただし片手剣とは違い攻撃モーションに若干の癖があり、慣れるまでは時間がかかる上に攻撃後の隙も大きいので強敵との長丁場の戦いでは切り札的な扱いを担当することも多い。
耐久が高いモンスターにも比較的普通にダメージを与えられることからパーティに1人いると心強いパワーアタッカーである。
短時間で多くの敵を倒したい、爽快感を味わいたい人にオススメの武器。




