ニートな女神と初めての戸惑い
私は夕方までひたすらに短剣を使ってモンスターを倒し続けた。
実は武器スキルのレベルを効率良く上げる方法が存在する方法があるというのだ。
その方法とは何か。それは強敵との戦闘だった。
どういうことなのか順を追って説明していくと、だ。
まず武器スキルというのは文字通り片手剣や短剣などを装備するために必要なスキルのことであり、つまりはまあ片手剣術や短剣術のことを指す。
このスキルを習得していないとたとえば弓を持っていても弓術のスキルがなければ私はアイテムカテゴリが弓に分類される武器を装備することすらできないのだ。
よって私は現在武器は片手剣と短剣、そして防具として盾を装備できるのだがそれ以外の武器装備はまだスキルを持っていないので装備することができない。
これは以前にも説明しただろうか。
そして武器スキルというのにはほとんどすべてスキルレベルが存在する。
スキルレベルというのは俊敏や剛腕などのスキルにもあったがスキル名の後のローマ数字で表される数字のことで、最低がⅠ(1)であり最高はⅩ(10)と決められている。
スキルレベルの存在するスキルはスキルレベルが上がることでスキルの効果も強化されていく。
さらに武器スキルの場合はスキルレベルが上がるとその武器スキルによって装備可能となっている武器を装備している状態の時だけ発動可能なスキル、技を習得していくということはもうわかっているよね。
「……で、問題の武器スキルのスキルレベルの上げ方なんだけど」
たとえば片手剣の武器スキルを上げたい場合。
片手剣による通常攻撃(ただ剣を振って敵を斬ったり刺したりする攻撃)や技(2段斬りや火炎斬りなど)の攻撃によってモンスターにダメージを与え、モンスターを倒していくと勝手に上がっていく。
盾だけは例外で、モンスターの攻撃を盾で防いでいくと上がっていくのだけど。
それで問題は、ではどのようなモンスターを倒していくのが最も武器レベルを上げるのに効率がいいのか。
その結論は先に言った通り強敵、つまりボスモンスターなどがいいということだ。
なぜ私がその結論に達したのかというと答えは簡単だ。
ゲーム攻略サイトを見たから。
私はあんまりそういうネタバレとかしたくない主義で普段は見ないようにしてるんだけどね。
まあそういうのについては知っていても損はないというかね。
ぶっちゃけ自分で気づくのはなかなか難しいだろう情報については私は素直に人に聞いたり、攻略サイトを見て確認することについてはやぶさかではないというか、まあ良しとしていた。
「ようはザコモンスターを100体その武器で倒すよりは、ボスモンスターを1体その武器だけで倒してしまう方が早く武器スキルのレベルが上がると」
リアルでスマホで調べて見てみた攻略サイトでその記事を見つけた時に私は納得した。
思えば私の片手剣の武器スキルがすでにこの第2階層というゲームの序盤の序盤ですでにⅣにまで上がってしまっている理由もそこにあるような気がした。
第1階層でのレッドウルフ、ビッグホーンラビット、ビッグポイズンスパイダーにストーンゴーレム。
私はそれらから倒したことで手に入るレアアイテム欲しさにそれらのエリアボスモンスターを結構な数倒したし。
もちろん倒すときは魔法攻撃もそれなりに使用したけど基本は片手剣での攻撃がメインだったし。
それに第2階層でも、そういえば沼地フィールドのマッドゴーレムを30体以上倒しに行ったりしたな。マッドゴーレムは魔法攻撃メインで倒した節もあったけどそれでも片手剣で攻撃してダメージを与えていったりもしたし。
第2階層では他に花畑フィールドに夜限定でウェアウルフがエリアボスとして出現するけど一晩に1体しか出現しないんで効率が悪いし。
牧草地帯にはエリアボスがいない。残るはダンジョンの森だけど。
「クイーンビーか。……レベルも上がったしもう1回ソロで倒しに行ってみるか」
ということで私は森の最奥にあるボス部屋まで道中出現したザコモンスターも短剣で蹴散らしながらも向かったわけで。
森のダンジョンに出現するダンジョンボスのクイーンビーは、1度目はドラゴンの召喚によるファイアーブレスによって勝利を収めた(といっても過言ではない)。
それはまあクイーンビー戦が私が想像していたのよりもかなり厄介なものだったことで、絶対にソロプレイヤー潰しだろと言いたくなってしまうようなものだったこともあるのだけど。
私はファイアーブレスによって一気に大ダメージを受けた時のクイーンビーのあの悲痛な叫び声を2度と聞きたくなくてもう2度とクイーンビーを倒しにいくことはしないと決めていた。
2度目はパス太たち麺類トリオとの臨時パーティで倒しに行って、パーティプレイで余裕で倒せたんだけど。
「今ならあのキラービーの群れの守りもなんとかなるかな。あとは蝶々シリーズの装備でINGの値も大幅に上げてるからクイーンビーのあの回避不能の雷落とし攻撃のダメージも、まあ減ってはいるだろう。さすがに0にはなってないだろうけど」
それ以外のことについてはとくに不安材料はなかった。
とにかく第2階層の迷宮ボスも倒した今の、あの時よりもレベルも上げて装備もより良いものに変えた現在の私なら、クイーンビーもドラゴン召喚を使わずにソロで倒せるはずだと思ったのだ。
そして結果として私は勝った。クイーンビーに、ではなく過去の私自身に、だ。
もうお忘れの人もいるだろうからここでクイーンビー戦についてもおさらいしておくと。
クイーンビー戦は森の最奥にある巨大なハチの巣の中にあるボス部屋で発生する。
ボス部屋の中にはクイーンビーの他に同時にキラービーが10体も出現するのだけどこいつが厄介だった。
ボスモンスターであるクイーンビーに攻撃をしかけた瞬間に周囲に展開していたキラービーたちがすかさず飛んできてプレイヤー(あるいはプレイヤーの放った魔法など)とクイーンビーの間に割って入ってきてプレイヤーの攻撃を代わりに受ける。
つまりはクイーンビーへの攻撃に対する盾となるのだ。
よってクイーンビーに攻撃を通すためには先にボス部屋内のキラービーを全滅させる必要があるのだが。
「くそ、やっぱり数が多いな」
このボス部屋に出現するキラービーは基本的にプレイヤーからは逃げ回るように常にボス部屋内を飛び回っていて向こうから攻撃をしかけてくることがない分倒しにくい。
さらにキラービーの数を減らしても、クイーンビーがボス部屋内に新たなキラービーを呼び出してしまうため一向に数が減らないということもある。
複数人のプレイヤーでパーティを組んでいればそれでも10体のキラービーはすぐに倒してそれからじっくりクイーンビーとの戦いに移行することができるのが、裏を返せばソロプレイヤーにとってはこの戦闘はまさに地獄。相当実力差というか、能力値的に敵を圧倒していないと勝つことはまず無理だと思われた。
「……で、今の私はその能力値的に圧倒している域にまで達していると」
クイーンビー戦が始まって2分。私はその時点ですでにキラービー10体の方は倒していた。
どうやってって?、いや、普通に。うん、普通に斬って回っただけ。
ファイアステップで力を強化し、そしてウィンドステップで敏捷を上げたらもうね、キラービーの動きなんて完全に止まって見えるんだよね。今の私なら。
もちろんそれは蝶々シリーズの装備によってドラゴンシリーズの装備をつけていた時よりも敏捷が大幅に上げられた結果ということもあるんだけど。
「クイーンビーを短剣を投げつけるだけで倒す、時間がかかりそうだけどまあそれは仕方ないか」
クイーンビーからの攻撃は雷落とし攻撃以外のものに関しては余裕で回避できた。
雷落とし攻撃だけは回避不能なので普通に食らってダメージも受けたけど、やはりINGの値が上がっていたことでそれほど大きなダメージにもならない。
それでも体力が減ってきたなという時には隙を見てポーションを飲んだり、ライトヒールの魔法を使えば事足りたし。
そうして私は15分ほどかけてなんとかクイーンビーの体力を短剣による通常攻撃のみで倒すことに成功した。そしてその戦闘後に短剣術のスキルレベルは見事にⅡへと上がったのだった。
「ふう、やれやれようやくか。片手剣術の時はもう少し早くレベルがⅡに上がったような気もするけど。やっぱり短剣の方が上げにくいのかね」
あるいはプレイヤーが初期武器として選んだ武器の武器スキルだけ上がりやすく出来てるのかもしれないな。
<スキルが成長しました>
短剣術Ⅰ→Ⅱ
「……それで覚えた技は……と」
クイーンビー戦終了後のリザルト画面を閉じるとすぐに視界に短剣術のレベルが上がったという知らせが出てきた。
もちろん今回の戦闘だけで上がったわけではなく今までのザコモンスターとの戦闘の積み重ねがあった上でのレベルアップだということはわかってはいたけども、それにしてもタイミングが良かったな。
短剣術がレベルⅡになったことで覚えた技は4つあった。
片手剣術の時もたしか4つだったし、もしかするとこれは全武器共通なのかもしれないが。
〇ダブルダガー
無属性の物理攻撃。短剣を2回連続で投げつける。連続攻撃。1回目の攻撃が敵に命中した場合2回目の攻撃は必ず命中する。
消費MP:3 リキャストタイム:5秒
〇ウィンドダガー
風属性の物理攻撃。風をまとった短剣を投げつける。
消費MP:3 リキャストタイム:5秒
〇ファイアーダガー
火属性の物理攻撃。火をまとった短剣を投げつける。
消費MP:3 リキャストタイム:5秒
〇ポイズンダガー
無属性の物理攻撃。毒を塗った短剣を投げつけ、命中した敵を毒(小)の状態異常にする。
消費MP:4 リキャストタイム:8秒
「あれ?……ポイズンダガー?」
私は覚えた4つの技のうち4つ目の技を見て少し不思議に思った。
まず1つ目の技のダブルダガーというのはわかる。片手剣でいうところの2段斬りと同じで2回連続攻撃をするというものだろう。
2段斬りとの違いとして、2段斬りの方は1回目よりも2回目の攻撃の方が威力が高くなるというのに対しこちらは1回目の攻撃が命中すれば2回目の攻撃も確実に命中するというもので、こちらの方がより安定的にダメージを与えられるということだった。
2段斬りは攻撃の最中に敵からダメージを受けると強制的に攻撃がキャンセルされてしまうから、たぶんこっちのダブルダガーはそういうことはなく確実に2回分の攻撃を敵に当てられるということなんだろう。
どちらが良いというのは一概には言えないけど確実に敵にダメージを与えるならこっちだな。
ウィンドダガーとファイアーダガー。これについては片手剣の疾風斬りと火炎斬りに相当する技だろう。一応後で試しに使っては見るけどまあ効果は試さなくてももう想像がついている。
だけども最後のポイズンダガーというのは、まあ効果はわかるんだけど。
「片手剣の時は4つ目はたしか氷結斬りで、氷属性の物理攻撃だったはず」
だからその例でいうなら短剣術Ⅱで覚えた4つ目の技も同じ氷属性の物理攻撃、まあ他の技名のセンスから考えるとここはアイスダガーという技を覚えるのだろうけど実際は違った。
これはやっぱり武器によって武器スキルがレベルアップすることで覚える技の種類や効果というのが違うということなんだろうか。
「でもこのポイズンダガー……使う機会ないな」
というのも私が今現在装備している蝶々の短剣という武器が、正直言ってこのポイズンダガーという技の効果をほぼ内包してしまっているというか。
蝶々の短剣の効果は、この短剣で敵を攻撃してダメージを与えた時には敵をランダムで80%の確率で毒か麻痺か眠りの状態異常にするというもの。
しかもその状態異常はどれも中レベルのものとなっている。
だからわざわざポイズンダガーなど使わなくても敵を毒の状態異常にすることは出来るにはできるし、その方がより強力な毒の状態異常にできる。
まあ蝶々の短剣の方は敵を何の状態異常にするのかまでは選べないし、状態異常に出来る確率も100%ではないから、確実に敵を毒の状態異常にしたいというなら使うかもしれない。
「でも麻痺や眠りと違って毒の状態異常ってあんまりする意味もないんだよな、実際」
毒の状態異常というのは、時間経過によって徐々に体力が削られていくというものだがそれはプレイヤー側が受けたら結構痛い部分もあるんだけどモンスターの方を毒にする意味は正直あまりない。
もちろん耐久も賢さも高い敵などにとっては貴重なダメージ源にもなりえるから決して全くの無駄というわけでもないんだけど。
「ボスモンスターには最初から効かないこともこの先多くなるだろうしな」
そう考えてみるとやはりこのゲーム内で敵を毒の状態異常にする意味は薄いような気がする。
ただし対プレイヤーとの決闘などではそれなりに使えるかもしれないが。でもそれもポイズンの魔法でもう代用が効くしな。
私以外のプレイヤーからしたら決して弱いスキルというわけではないんだろうけど、今の私からするとどうしてもそういう結論になってしまうのはもう仕方ないだろう。
使う機会はほぼないだろうけど使えるという事実だけは覚えておくか。
私は目の前に開かれたスキル確認の画面を閉じるとそこで大きく息を吐いた。
「まあ、これで短剣術のスキルレベルも上がったことだし今日はもう後は街に帰って終わろうか」
私はそう言ってボス部屋に散乱していたドロップアイテムを忘れずに回収するとボス部屋を出て、そしてそのまま森も抜けて花畑フィールドへ。
花畑フィールドで私は、覚えたばかりの短剣の技4つをすべて試して見た。
ウィンドダガー、ファイアーダガー、ポイズンダガーの3つに関しては特に驚きもなかったけど、ダブルダガーにはちょっとだけ驚かされた。
「ダブルダガー!……あれ?、私1回しか投げてないのに2回刺さった」
そう、私はてっきりダブルダガーという技は2段斬りと同じでプレイヤーが短剣を素早く2回投げつける技なのだと思っていたが違った。
私は敵に向かって短剣を1回しか投げつけていないのにも関わらず、敵には何故か短剣がグサグサと2回命中したという謎の現象が起きたのだ。
最初はバグかとも思ったけどどうやらダブルダガーというのはそういうことらしかった。
「1回目の攻撃が命中したら2回目の攻撃も確実に命中するって、1回の動作ですでに2本投げつけてましたって方が正しい認識なのか」
これについては実際にゲームをプレイして試してもらわないとわからない感覚かもしれないが。
つまりダブルダガーというのは短剣を2回に分けて投げるというよりは、1度に2本投げている感覚に近いということだ。
1度に2本投げているんで、1本が命中したのなら2本目も絶対命中してるよねっていう。
……それどんな理屈だよって言ったやつな。うん、私も同じこと思ったけど。
「まあいいか。これもこのゲームの仕様なんだろう」
これはどのようなゲームにも共通して言える魔法の言葉だから覚えておくといいよ。
ただこの言葉を使うときって、たいていが現実じゃありえないだろうってツッコミの後だから納得はできていないんだけど。
まあ現実じゃありえないことを再現しているのがゲームってやつなんだろうからね。
……ゴッドワールド・オンラインは、それでもリアリティーを重視してるみたいだけど。
そして花畑を抜けて街へと帰ってきた私は現在時刻を確認してみた。
時刻は午後5時過ぎ。うーん、ここでログアウトしてもいいけど自分の部屋に戻っても特にやることもないから暇だな。
かと言って今から何かクエストとか受けるのも面倒だ。どうしようかな。
と、私が色々と考えた末にとりあえずアイテムの補充でもしておくかと思って入った道具屋で、私はまた思いもかけない人物と再会してしまった。
「ん?……あれ、あいつは……」
私が道具屋に入った時にちょうどお店のカウンターで会計をしていたと思われるプレイヤー。私が目を止めたのはそいつではなくその後ろにおそらく付き添いで来ていたんだろうプレイヤーの姿。
それは小柄な男の子で、重そうな鎧とばかでかい大剣を背負っているプレイヤーで。
「「あ!」」
私の視線に気づいたそのプレイヤーが振り返ったところで私たちは同時に相手を認識した。
「東也だ」
「玲愛……さん?」
何故かしら東也の方はさんづけの疑問形だったけど私の方はたしかに東也だとわかった。
小柄な体型なのに何故かしら片手剣ではなく大剣を装備しているプレイヤーというのはそれなりに珍しい存在だし、何より私にとって初めてパーティを組んだ相手だったしね。
もう忘れたちゃったよ誰それって言う人は第1階層編の序盤の方を読み返して見てくれ。
「うん?、誰?」
「え、ああ。第1階層でちょっと知り合ったプレイヤーだよ」
会計を済ませたらしい軽装のプレイヤーが東也と私のことに気づいて質問してきたが、東也はそう答えた。
「ふーんそう。あ、じゃあ俺先行ってるから」
「え、ああうん。わかったよ」
そして興味がないのかそれとも気を利かせてくれたのかわからないけどその東也と一緒にいたプレイヤーはそれで店を出て行ってしまった。店内に残されたのは私たち2人。
「久しぶりだね」
「あ、うん」
私が声をかけると東也はぎこちなくそう答えた。ただその理由まではわからない。
前に話した時はもっと普通に話せてたと思うんだけど。
「今の人は東也のパーティメンバー?」
私はとりあえず会話を続けようと東也にそう質問した。
「う、うん。5人パーティなんだ」
「そう。今日はこれからフィールドに行くの?」
「いや、ダンジョンに向かうんだ。迷宮。その、前はボスに手も足も出なかったんで再挑戦」
「そっか」
迷宮のボス戦ということはマダムバタフライか。
たしかにあいつは5人パーティでも下手するとすぐに全滅する危険性があるからな。
再挑戦ということは実際に1度目は全滅したんだろうし。
「あ、玲愛は攻略どこまで進んだの?、まだ第2階層にいるってことは……」
「ああ。私はもう迷宮は突破したんだ。ただ第3階層に行く前にちょっと、やり残したことがあったんでまだこの階層にいる」
「え!?、ってことはあのマダムバタフライも倒したの?」
「うん、そうだけど」
ああでも、これってあんまり言わない方がいいのかもしれないな。
というより東也たちはこれからそのマダムバタフライに挑むところなんだろうし。
「ち、ちなみに何人で挑んだの?」
東也はなんか恐る恐るという感じでそう聞いてきた。
私はそれにもちろん1人だよと答えそうになったけど危なかった。そうだな、まあ東也を驚かせないためにもここはあえて嘘を言っておくか。
「5人パーティで。あ、そのボス戦だけ別のパーティに入れてもらって今はまたソロだけど」
「そ、そうなんだ。あの、えっと……」
「うん、なに?」
なんだろう、さっきからというかずっと東也の様子がおかしい気がする。
私は気になったので聞いてみようと思ったところで東也の方から私に質問が飛んできた。
「あの、玲愛ってさ。その、竜鱗の乙女って呼ばれてるプレイヤー知ってる?、あ、それはその人のプレイヤー名とかじゃなくてあくまで通り名らしいんだけど」
「え!?」
まさかの!?、まさかの東也からその名前を聞くことになるとは思ってもみなかった私。
あまりの衝撃で私は一瞬大きく目を見開いて叫んでしまった。
東也は私がその竜鱗の乙女と呼ばれているプレイヤーだと知っていてその質問をしてきたのだろうか。
それともそれを疑っているが故の確認なのか、どっちだろう。
それによってこの場の答えも変わってくるんだけども。
<ゴッドワールド・オンラインの視界情報について:補足>
NPCの場合はたとえどれだけ近づいても名前は表示されませんが、1度でも名前を聞いたことのある場合はそれ以降そのNPCの頭上に名前が表示されます。(その名前を見ることができるのはあくまでそのNPCの名前を直接聞いたことのあるプレイヤーのみ。)
街中ではNPCの頭上には緑色の▽アイコンが。プレイヤーには黄色の▽アイコンが常に浮かんでいるため誰がNPCで誰がプレイヤーなのかはすぐに判別可能。
ちなみに現在パーティ登録中のプレイヤー、あるいはフレンド登録したプレイヤーであればプレイヤーは視界内にいればそのプレイヤーの名前も表示されます。それ以外のプレイヤーは名前を聞いてもプレイヤー名は見えません。
玲愛はドラゴンシリーズの装備をつけていることから竜鱗の乙女という通り名がつきましたが、それでも玲愛というプレイヤー名まで広まっていない理由は、玲愛とフレンド登録したプレイヤーやパーティを組んだことのあるプレイヤーがほとんどおらず、また誰もプレイヤー名を聞いたことがなかったから。
ドラゴンシリーズの装備をつけた状態の玲愛と会話をしたことのあるというプレイヤー自体は結構いるのですが、誰も本当のプレイヤー名を聞かないのは皆あえて聞く必要もないと判断したから。
だってプレイヤー間では、もう玲愛は竜鱗の乙女で通っているのですから(笑)
とあるプレイヤーA「俺今日あの竜鱗の乙女と話しちゃったよ」
とあるプレイヤーB「マジで!?、何話したん?」
とあるプレイヤーA「なんか、第2階層のダンジョンについて詳しいプレイヤーを探してるって」
とあるプレイヤーC「声はどんなだった?、姿は?、話したってことは近くで見たんだろう?」
とあるプレイヤーA「めちゃくちゃ可愛かった」
とあるプレイヤーB、C「いいなぁ~、羨ましい」
第1、第2階層のプレイヤー界隈では玲愛の存在は半ば神格化され、見た目の可愛さも相まってまるでアイドルのように担ぎ上げられているという噂も。




