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ニートな女神がログインしました。  作者: 唯一信
第2階層―GREEN―
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ニートな女神と初めての夏祭り

今回タイトルがついに完全に嘘をつきました。

アストレアは夏祭りに行ったことは今回が初めてではありません。(過去に何回もあるよ。)

ただヤヌスと2人で祭りを見て回ったのは初めてなので……すみません。言い訳ですよね、これ。

 ミナカタさんの部屋に入れられてから約30分後のこと。

 そこにはもうこの部屋に入った時の私はいなかった。


「あら、あらあらあら。やっぱりアストレアちゃんは可愛いわねぇ~」


 私はミナカタさんに浴衣を着せられてさらに軽く化粧も施されて、まるで別神べつじんのように変貌を遂げていた。

 終わってから姿見で確認してみたけど私自身一瞬それが誰なのかわからなかったくらい。


「ねぇねぇ。記念に何枚か写真撮ってもいいかしら?」

「あ、はい」


 化粧を施してくれたミナカタさんも、なんだかテンション上がりまくりでスマホ、デジカメ、インスタントカメラなどの各種カメラで写真を撮られまくった。

 撮った写真を自分が経営する店に飾ってもいいかなんて聞いてきたのでそれは全力で拒否というか、絶対にやめてと言っておいたけど。


「そう、残念ね~。わかったわ。じゃあこの写真は私の思い出のアルバムにだけとっておくことにする」

「いや、あの……ああ、もうそれでいいです」


 とりあえず外に大々的に流出するようなことがなければもうなんでもよかった。


「あ、それじゃあ私そろそろ会場に行きます」

「あら、もう行っちゃうの?」

「はい。あまり友達を待たせるのも悪いので。あ、そうだ。この浴衣は……」


 今日の祭りが終われば私が浴衣を着る機会はおそらくもう2度とないと思う。

 少なくとも今年の夏はもう着ることはないだろうし、というかそれ以前にこの着物は借り物なので祭りが終わったらミナカタさんに返さなければいけないのだと私は思っていた。

 しかしミナカタさんは私の言葉をさえぎって首を横に振ると。


「あら、別に返さなくていいのよ。その浴衣はアストレアちゃんへのプレゼントなんだから」

「え?」

「言ったでしょ。あなたの体に合わせて作ったって」

「いや、でもこれ……」


 私は服についてそこまで詳しいわけではない。

 だけどミナカタさんの手作りだといっても今自分が着ている服がそれなりに上等な素材を使っているだろうということは肌の感覚でわかっていた。

 だからくれるというなら相応の対価、お金を払う必要があると思ったのだが。


「いいのよいいのよ、これは私の個人的な贈り物なんだし。その浴衣を作るのに使った生地とかも元は私の店のお古だったんだし」

「それでもこれ……」

「それに。その服に見合う対価ならもう十分にいただいたから」

「え、対価?」


 あれ、私なにかミナカタさんに対価となるようなもの支払ったっけ?


「私は今日のアストレアちゃんの姿を見られただけで大満足よ。うふふふ、ますますうちの店で働いてもらいたくなっちゃった」

「えーーーー」


 あれ、それってもしかしてこの浴衣をプレゼントしてくれる見返りにミナカタさんのお店で働いてくれ的なことだったりして。


「でもアストレアちゃんはその気はないのよね。はぁ~、残念だわ」


 良かった。どうやらミナカタさんはちゃんとわかってくれていたみたいだ。

 ただ、それならもう勧誘しないでほしいのだけど。


「あの、ミナカタさん?」

「あら、ごめんなさいね。とにかくその服に関しては代金とか、そういうのはいらないから」

「あ、はい」

「さあ、この話はもう終わり。アストレアちゃんも早く祭り会場に行ったら?」


 時刻はもう午後5時半過ぎ。今日の祭りはもう始まっていた。


「あ、それじゃあ私、行ってきます」

「ええ。気をつけて行ってきてね」


 私はもともと自分が着ていた服を持ってミナカタさんにお礼を言った後で部屋を出た。

 そして1度自分の部屋に戻り服を置くといつもの鞄を持って自分の部屋を出て、しっかりと扉に鍵をかけたことを確認してからアパートを後にした。


 ――神界夏祭り会場:大神殿前――


 さて、夏祭りは神界にある大神殿ホールという建物の前の大きな広場をすべて使って行われる文字通り神界の一大イベントだ。

 その会場へはバスを使って行くことになるのだが、私の住んでいるアパートの近くにあるバス停から会場までは直通の便がなく、途中で一旦バスを降りて別のバスに乗り替えて向かった。

 道中のバスの中では私と同じように浴衣を来た女神たちの姿を見かけたりもしたが、普通に私服で祭り会場に向かう者も多かったみたい。


 それで、私が会場に着いたのは午後6時過ぎくらいだったわけだけど。

 その時点で私はある重要なことに気がついた。


「あ、そういえば私。ヤヌスがどこにいるのか知らないな。っていうか合流場所決めてなかった」


 私は鞄の中からこの夏祭りのパンフレットを取り出すと会場の全体図を確認してみた。

 だけどもヤヌスがどこで待っているのか地図を見たところでわかるわけもない。

 スマホで連絡を取ろうにもそもそも私、ヤヌスの連絡先を知らなかった。


「ああ、これ終わったな。……帰るか」


 と、一瞬思いもしたけどさすがにそれはやめにした。

 何よりも今日の日のためにおそらく徹夜とかして今私が着てる浴衣を作ってくれたミナカタさんに申し訳ないし、ヘスティアちゃんのところにも行くって約束しちゃってたしね。

 まあ、合流できなければ最悪私1人で見て回ってもいいしね。……でもそれだとヤヌスが可哀想かな?


「仕方ない。探すか」


 ヤヌスもきっと今頃私との待ち合わせ場所を決めていなかったこと、さらに私の連絡先を知らなかったことなどに気づいているとは思う。

 だけどもあいつの性格からすると自分から私を探しにでるということはしないはず。

 きっとどこかでずっと私が来るのを待っているのだと思う。


「と、考えると。あいつも私が他の神が多いところはあまり好きじゃないってことは知ってるだろうからたぶんあんまり人気がないであろう場所。それは……ここかな」


 私は改めて地図を見て祭り会場の中でもとくに大きな屋台もなく、かつ会場の端っこの方にある銅像の近くを指さした。

 そういえばこの銅像、祭りがない日でもよく目印というか、待ち合わせ場所の定番みたいな場所だったはずだ。

 誰かと待ち合わせして外を出歩くことなんて最近じゃ滅多になくなっていたから自信はないけどたしかそうだったはず。


「よし、まずはここに行ってみるか」


 というわけで私はその場所へ向かったのだったが。


「あ、アストレア!」

「……うわ、マジで居たし」


 どうやら私の推理は大正解だったみたいだ。

 祭り会場の端、待ち合わせには定番となっている銅像の近くまでやってくると仕事着であろうつなぎを着ているヤヌスを発見した。


「ごめん。待ち合わせ時間も場所も何も決めてなかったよね」

「お前が先に会場行って待ってて、後から私が行くってだけしか決めてなかったもんな」

「うん。それにしてもよく僕がここで待ってるってわかったね?」

「いや、まあ……簡単な推理だよ。いなかったら別の場所探しにいくつもりだったし」


 でも、だからこそ第一候補となる場所で出会えたことは結構嬉しかった。

 ヤヌスと合流できたことが、ではない。私の推理がドンピシャで当たったことが、である。

 もしかしたら私、がんばったら探偵とかなれるんじゃないだろうか。


「その浴衣はどうしたの?、たしかこの前はお祭りに着ていく服なんてないって言ってなかったっけ?」


 さすがヤヌス。記憶力がいいな。


「ミナカタさんに頼んだら用意してくれた。あと、ついでに化粧も少しだけ」

「ああ、だからか」

「ん、何が?」

「いや、今日のアストレアはその……」


 ん、なんだ。ヤヌスにしては珍しく歯切れが悪いな。


「なんだよ、言えよ」

「あの、その、いつもより綺麗だなって。あ、もちろん普段も十分綺麗だと思うけど」

「ぶっ!?……ヤヌス、お前なぁ~!!」


 私はいきなりのヤヌスの爆弾発言で全身が一気に熱くなった。

 いやいや可愛いとか。そんなこと言われたのは……ああ、そういやさっきミナカタさんにも言われたっけ?

 でもヤヌスみたいにそれなりにイケメンな男が口にするのはかなりの問題があるというか、とくに私のような恋愛経験ゼロの女神に対して言うのはその、お世辞でもやめてもらいたい。

 しかもさりげにフォローをいれてくるあたり、こいつ、マジか。


「……ていうか、お前ずっとここにいたわけ?」

「うん。5時半から」

「おまっ!、それ30分以上待ってたってことじゃないか!!」

「そうだけど、あ、やっぱり僕の方から探しに行った方が良かったのかな?」

「いや、そうじゃなくてさ……なんか、ごめん」


 先に行って待ってるとは聞いていたけども、まさか祭りの開始時刻からずっと同じ場所で待ち続けたとか本当にすごいと思う。忍耐力があるというか。

 むしろそんなに待たせてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいになるんだけど。


「私が来なかったらとか考えなかったわけ?、自分で言うのもなんだけど私けっこう約束とかすっぽかしたりとかするんだけど?」


 私はヤヌスにそう聞いた。


「うん。アストレアなら絶対に来てくれると信じてたからね」

「おまっ!……いや、そう言ってくれるのは嬉しいけどさ……」


 よそから聞いたら割と恥ずかしいセリフ言ったと思うよ、お前今。

 それを聞いた私の方がなんかちょっと恥ずかしくなっちゃったんだけど。

 ていうかなんか今日ちょっとキャラ違くないか、ヤヌスよ。


「さあ、とりあえずまず歩こうか。アストレアは何か食べたいものとか、行きたいお店はある?」

「1か所だけ。ヘスティアちゃんがやってる屋台だけ行く約束してる」

「ヘスティアちゃんって、ああ、あのパン屋の子か」

「うん、そう。そこだけ行ければ後は全部お前に任せる」

「そう。わかったよ。それじゃあ行こうか」


 こうして私は無事に合流したヤヌスと祭りを見て回ることになったわけだが。

 ただ1点だけ。さきほどの綺麗だね発言のせいで熱くなった私の身体から一向に熱が逃げていかないんだけど。……ちょっと、医者に診てもらわないとだめかもしれないな、これは。


 神界夏祭りには出店だけでも100以上の店舗が出店している。

 その多くはもちろん食べ物を売っているのだけど輪投げや射的、金魚すくいなどの出し物系の屋台もそこかしこにあって特に子供の神たちはそれに夢中になっている。

 私はというと、基本食べ物を食べることに夢中でその代金は全部ヤヌスが支払ってくれた。

 私も一応財布は持ってきていたし、途中で何度も私が払うと言ったけどそこは頑なに譲ってくれなかった。なんだお前、そんなに私に飯をおごりたいのかとちょっとあきれるほどに。

 まあ、もっとも私は最初からある程度はヤヌスにもおごってもらうつもりではあったけど。

 さすがに全部おごられるとは思ってなかったよ。


 私たちは屋台で買った物を食べるべく会場内のいたるところに用意されていたテーブルと椅子のセットの1つに陣取ると、そこで話をしながら食事にした。

 ヤキソバ、タコヤキ、ゲソヤキ、オコノミヤキ、フランクフルト……etc。

 今日は朝からほとんど何も食ってなかった私もそうだけど、ヤヌスの方も食べる食べる。


「お前、やっぱり大食漢だろ?」

「え、そうかな。これくらい普通だと思うけど?」

「……そうか。お前の職場の同僚とか、先輩方とかもこのくらい?」

「うん。むしろ普段はこの倍くらい食べてるよ。でも僕はさすがにそこまでは食べないけど」

「家具職人って結構大変なの?」

「どうだろう。まあ、材料の削り出しから実際に組み立てとかもするけど、採寸とかデザイン決めとか測量も全部基本は自分たちでやるからね」

「うわー、それは私には絶対無理だな」

「そうだね。アストレアならきっと1日持たずに音をあげると思うよ?」


 ヤヌスにそう言われてしまい少しだけむっとした私だったけど、でもまあ事実なので仕方ない。

 というか、女神の中でも華奢であり、とくに体力もない私が肉体労働系の仕事に就くことなどありえないだろう。私の意志云々はともかくまるで使い物にならないこと必至だ。


「そういえばさ、ヤヌスってなんで家具職人目指してるの?」

「え、なに、急に」

「いや、そういや聞いたことなかったなと思って。やっぱりお前が司るものが『扉』だから?」


 食事が終わった後の少しの休憩時間の時に私はヤヌスに聞いてみた。

 神界に住む神の多くは、やはり自分が司る事象・事物になんらかの形で関わる職につくことが多いというのはすでに説明しただろう。

 でもそれも絶対というわけではないし、割と身近にいるけど私はヤヌスがなぜ家具職人を目指しているのかということについてはまだ聞いたことがなかった。

 だからいい機会だと思って今ちょっと聞いてみたんだけど。


「うーん、まあもちろんそれもあるんだけどね。アストレアはさ、僕の実家が農家をやってることは知ってるよね?」

「うん。ときたま野菜が送られてきて何度もおすそ分けしてもらってるから知ってる」

「あははは。うん、そうだね。でもね、アストレア。本当は僕も実家を継いで農家になる予定だったんだよ」

「え、そうだったの?」

「うん。でもある時ある神様に出会って、その人が建築とか家具のデザインとかの仕事をしている人でね。その人に影響されて僕は家具職人になりたいって思うようになったんだ」


 なんと、ヤヌスの過去にそんな出来事があったとは。

 私はてっきり最初から家具職人になりたくてその仕事についたもんだと思ってた。


「親は反対しなかったの?」

「うん。幸いというか、僕の両親も僕にやりたいことがあるなら無理に農家にならなくてもいいって言ってくれたんだ。あの時は嬉しかったな」

「……そうだったんだ。その、ヤヌスに影響を与えたっていう神様は知り合いなの?」

「うーん、知り合いというか。昔僕の家の近所に住んでた人でね、子供のころよく遊んでもらったんだ」

「ふーん、そっか」


 住んでいたと過去形で言ったってことはもうその場所には住んでいないってことか。

 それにヤヌスの口ぶりからしたらこっちに来てから出会ったりしたこともないのだろう。

 もし今でも交流が続いているのであれば普通に知り合いとして紹介してくるだろうし。


「僕もそろそろ見習いを卒業して、一人前の家具職人になりたいんだけどね。まだちょっと技術不足で」

「そうなんだ。じゃあお前が1人前になれたらその時は私からも何かお祝いの品を送るよ」

「え?」

「あ、でも。言っておくけどそんな高いものは無理だから。私ニートだからお金ないし」

「あはは。いや、いいよ別に無理しなくても。それに、それならアストレアもちゃんとどこかに就職してきちんと自分でお金を稼げるようになってからでいいし。僕もそっちの方が嬉しいから」

「そ、そうか?」


 私がそう聞くとヤヌスは笑顔でうなずくと椅子から立ち上がり、全部食べ終わった食べ物の入っていたプラスチック容器などをまとめるとそれを持ってゴミ箱へ捨てに行った。

 その間私は1人でポツンとその場に取り残される形になったのだけどなんだろう、これ。

 この、すごくやるせない気持ち。


「一旦ゴミは捨てて来たよ。まだ残ってるものもあるけど、どうするアストレア持ち帰って食べる?」

「あ、うん。それじゃあ、そうする」

「そっか。じゃあ袋にまとめて入れておくね」

「……うん」


 私は戻ってきたヤヌスと顔を合わせられなかった。

 なんていうのかな、こういう時ちゃんと働いてるヤヌスはすごく立派なやつで、いまだにニートの私がいかに惨めでダメなやつなのかということを痛感するというか。

 ヤヌスのアストレアもちゃんとどこかに就職してとかいう言葉のあたりで心臓が押しつぶされそうになっている私がいて。


「なあ、ヤヌス」

「うん?、なに、アストレア?」

「私ってさ、就職とかできんのかなぁ……」


 それは今まで決して認めたくなかった1つの事実であり、私の本音の部分だった。

 だけどもそれを聞いたヤヌスは私の方を見て微笑むと、私にこう言ってくれた。


「大丈夫だよ。アストレアならきっとできるさ。少なくとも僕は、できると思ってる」


 それがあまりにもさらりと言われたものだから私もつい無気になって聞き返してしまって。


「なんで?、どうしてそう思えるわけ?」


 そう、理由。ヤヌスはなぜそう思うのか。


「いや、だってアストレアは…………」


 そこでヤヌスはまた言葉を止まると、しばらくその先を言うべきか言わないべきかちょっと迷った感じになったので、私は我慢できずにさらに追及してみた。


「ん、私は……何?」

「……いや、ごめん。やっぱりなんでもないや」

「なんじゃそれ」


 私は期待外れのヤヌスの答えにがっかりしながらも、ある意味で予想通りのその答えを聞いて思わずそう言ってしまった。

 たぶんヤヌスは、単に私を元気づけようとしてくれてさっきの言葉を言ってくれたのだ。

 ヤヌス的には、その言葉をいうのにとくに理由とか根拠とかはなかったに違いない。それなのに私はそこでヤヌスにそれを聞いてしまって、結果としてヤヌスを困らせてしまうことになった。

 ああ、そう考えると私って本当にダメなやつだよな。


「ごめん、今のは私が悪かったな」

「え、いやそんなこと……」

「あーーーー、いい、いい、大丈夫だよ。ちゃんとわかってるから。それよかほら、飯も食ったことだしまたどっか行こうぜ。まだ7時半だろ?」

「あ……うん」


 そう言って私も椅子から立ち上がると、ヤヌスのまとめてくれた食い物の残りを入れたビニール袋を手に持つとヤヌスと一緒にまた会場を練り歩き始めた。

 やっぱり今日は祭りに来ている神たちもすごく多くて、むしろ神様ってこんなにたくさんいたっけとちょっと疑問に思うくらい。

 まあ大半はツクモなんだろうけども、私の知っている名のある神さまたちの姿もたくさん見かけたし、やっぱりこの夏祭りは神界行事のなかでも大きなイベントなんだということがわかる。

 神界には冬にもお祭りはある。そっちもそれなりに神が集まるらしいけど夏よりかは少ないって話だ。

 お祭り期間中は神界のだいたいの職場が休みになるからね。神様にとっての祝日みたいなものだ。

 祭りは3日間あるから3連休だよ。3連休。まあ私は1年365連休なんだけど、今のところは。


「そういえばMOIRAIのライブもやるって言ってなかったっけ?」

「ああ、うん。8時半から祭りの終わりの9時半まで1時間ね。大神殿ホールで。入場無料だって」

「ふーん、そっか」

「行ってみる?」

「んーーーー。じゃあちょっとだけ見てくか」


 それにしても入場無料って、それはそれですごいな。

 いまやMOIRAIといえば神界で最も勢いのあるアイドルユニットで、CDを出せば即完売のミリオンヒット続出だしテレビ出演も多い。

 神界武道館でのライブなら一番安い席でもチケット代だけで私の目玉が飛び出るほどの高額で、ネットオークションでいい席のチケットがよく転売にかけられたりもしているけど、そっちの方はもう軽く家が建てられるほどの額になっていてもう驚きを通り越して呆れるばかりだったし。

 きっと今頃大神殿ホール前は熱烈なファンが押しかけてホールが会場するのを今か今かと待ち侘びているに違いない。そしてヤリーロのやつも絶対にその中にいるに違いない。

 そうだな、今度あいつの部屋に遊びに行ったときにでも今日の感想を聞いて……あ、やっぱ今のなし。


「きっと2、3時間は延々と聞かされることになるだろうしね、ライブ感想」

「うん?、アストレア何か言った?」

「いや、なんでもないよ」


 まあ、でも今はともかくこの祭りを楽しむことに専念しよう。

 ヤヌスと一緒だということもあるかもしれないけど私も割と楽しめてるから、今のところは。

 やっぱりお祭りは1人じゃなく誰かと一緒に見て回った方が楽しいよな、うん。


最近ちょっと風邪気味というか、体調不良の日が続き1週間近く更新できないこともしばしばあって。

そのせいで2月中にはこの章を終わらせる予定だったはずなのに気がつけばもう3月に。

ただ、3月中には第2階層編は終わらせられるとは思います。もはや信憑性ゼロでしょうけども。


第2階層編の終わりにはまた、第2階層でアストレア(玲愛)が入手したスキルや魔法などの一覧を紹介する回を挟む予定です。それとできればゲーム講座も。

見なおしてみると第2階層編で入手したスキルとか魔法の数ってかなり多くて第1階層編のものと合わせるともうすごい量になっていたりしてね。筆者も半分近く忘れると思うので整理するために作ります。


ぬるぬるボディなんて名前のスキル、ありましたっけ?


皆さんも体調管理、とくに風邪にはお気をつけて!


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