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ニートな女神がログインしました。  作者: 唯一信
第2階層―GREEN―
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ニートな女神と初めての蝶

今回の話だけで迷宮のボス戦が始まり、そして終わっています。

ただし、決して第2階層の迷宮のボスが弱いというわけではなく、単に現在の玲愛にとってはそこまで苦労せずに倒せるタイプのボスだったというだけなのであしからず。

筆者は普通にドラゴンよりも強いと思っています。

 ライカンスロープのHPは残り50%程度。

 しかし、ただでさえ攻撃力の高かったのが魔法の効果によってさらに力の値が上昇し、私は盾で攻撃を防いでもかなりのダメージを負うことになった。

 だけど魔法の効果で強化されたのは力だけであって、耐久その他の能力値に関してはそのままだったから私はそれでもなんとかごり押ししてライカンスロープを倒すことができた。


 ここ最近の戦闘では最もHPが減らされたかもしれない。


 でも、HPドレインⅩのスキル効果で私は物理攻撃で敵にダメージを与えたら与えたダメージの半分の値の体力を回復するため一進一退の攻防戦などではまず負けることもない。


 いや、戦闘面において私のもっているスキルの中でまず間違いなく最も強力なスキルはこのHPドレインⅩなのではないかとちょっと思うくらいにこのスキルがあるのとないのとでは戦闘の質というか、安全性が大きく異なることはもはや語るまでもないだろう。

 このスキルをくれた花畑のホワイトバタフライには一層感謝しなければいけない。


 そこでまあ私は戦闘終了後にライカンスロープからファイアーステップの魔法をいただいた。。

 ファイアーステップは消費MPとリキャストタイムもウィンドステップと同じで、やっぱりこれも初級支援魔法だったけど。

 きっと〇〇ステップという名称群の魔法が他にもあるんだろう。たぶん全部初級支援魔法で。


 そして、ライカンスロープ戦後にもう1つ嬉しい変化があった。

 この階層についてからなかなか上がらなかった片手剣術と盾術のスキルレベルがⅢからⅣへ上がった。

 これに関しては今このタイミングで上がったのは偶然なんだろうけど、やっぱり武器スキルのスキルレベルはレベルが上になるにつれて非常に上がりにくくなっていくということだけはわかった。


 それでまず盾術の方なんだけど。

 こっちはいつも通りスキルレベルが上がっただけで新しいスキルとかの習得はなし。

 うん。やっぱり盾術というか、盾に関するスキルってスキルレベルの上昇では覚えられないみたいだ。

 街の住人クエストの報酬でもらえるのか、あるいは他に何か条件でもあるのか。

 そして片手剣術の方については、また新たに4つのスキル技を習得した。


 〇3段斬り

 無属性の物理攻撃。剣で素早く3回斬りつける。連続攻撃。2回目の攻撃では敵に与えるダメージが通常攻撃の1.2倍の威力になる。3回目の攻撃では敵に与えるダメージが通常攻撃の1.4倍の威力になる。

 消費MP:6 リキャストタイム:10秒


 〇スラッシュ

 無属性の物理攻撃。剣先から衝撃波を飛ばして敵を攻撃する。遠距離攻撃。

 消費MP:5 リキャストタイム:――


 〇閃光斬り

 光属性の物理攻撃。光をまとった剣で斬りつける。

 消費MP:3 リキャストタイム:5秒


 〇宵闇斬り

 闇属性の物理攻撃。闇をまとった剣で斬りつける。

 消費MP:3 リキャストタイム:5秒


「おおお~!、またすごい技を覚えたな」


 私は覚えた4つのスキル技を確認すると感嘆した。


 まず、後の2つについてはもう分かってると思うけど。

 今までの火炎斬りとか、疾風斬りと同じ技でそれの光属性と闇属性バージョンだ。

 消費MPとリキャストタイムも同じだし、これは間違いない。


 そして3段斬りというのもわかる。2段斬りの強化版だろう。

 攻撃回数が1回増えたことと、3回目の攻撃は2回目の攻撃よりもさらに威力が高いという。

 ただし、連続攻撃と書かれているので一度発動するとすべての攻撃が終了するまでその他の行動は取れず、また連続攻撃の最中に敵から反撃や、ダメージを受けたりすると攻撃は途中で強制的にキャンセルされるのでそこは注意が必要になるのだが。

 まあ、剣を3回連続で振るうくらいの短い時間であればあまり意識することもないか。

 これが10回連続とかになれば、また変わってくるかもしれないが。


「それで、えっと。スラッシュっていうのは……」


 私はスラッシュという技を1回発動させてみた。

 いや、他の3つの技に関しても一度ずつ発動させてどんな感じなのか確認はちゃんとしたよ?

 でもこのスラッシュという技は、今回覚えた技の中では間違いなく一番使い勝手が良かった。


「スラッシュ!、スラッシュ!、スラッシュ!」


 まず、リキャストタイムが存在しないので連続で叫べば連続で技が発動する。

 そして、今まで片手剣術で覚えたスキル技の中で初の遠距離用の攻撃技。

 攻撃の距離は思っていたよりも長くて、ウィンドエッジと同じくらいの距離まで届いた。

 ウィンドエッジは風属性で、風の刃を飛ばす魔法だったけどスラッシュは無属性だし、こっちの方が使いやすいから戦闘ではこっちの方が使えるだろう。

 でも消費MPが1回で5もあるので、特にMPがそこまで高くもない私のようなプレイヤーは調子に乗って連発していたらすぐにMP切れになるからそこは注意しておかなければ。


 ……はあ、早くMPを回復できるスキルが欲しいな。


「よし。だいたい動きはつかめたぞ。衝撃波なのに物理攻撃扱いなのは、なんかちょっとあれって思うところもあるけど」


 スラッシュは、私がそう言った後で剣を振るうと振った方向に剣先から衝撃波が飛んでいくので私が技名を言っただけで発動するわけではない。

 もしそうなら相当練習しないとまず使えないだろう。

 剣先を下に向けているときに技名を言ったりしたら完全に無駄撃ちになったりしてね。


「それならそうで訓練すればいいんだろうけど。……さて」


 私はそこでスキルの確認を終えるとライカンスロープのドロップアイテムを回収した。

 ウェアウルフと同じ人狼の皮、人狼の牙というアイテムが5個ずつとそして装備品が1つ。

 ただ、これはなぜか大剣だった。いや、ライカンスロープはこんなの装備してなかったですよとついツッコミたくなるが、もうモンスターのドロップアイテムにいちいちツッコミ入れるのはやめることにした。ありえないものがドロップするのなんてもういまさらだ。


 〇狂戦士の大剣

 STR+50 VIT―28 ING―25


 特殊効果:一戦闘の中でモンスターを1体倒すたびにSTRの値が10%上昇する。戦闘終了後に上昇したSTRの数値は元に戻る。装備プレイヤーがダメージを受けるとその時点まで上昇していたSTRの値はリセットされる。


「いやいやいや。VITとINGの値がマイナスになってるし。まさに狂戦士バーサーカーの装備だな」


 防御面を大きく捨ててまで攻撃面を特化しているこの装備、使いこなすには相当のテクニックが必要になってくるだろう。

 なによりも特殊効果がやばい。これあれだな、複数のモンスターとかバッサバッサと一撃で斬り殺して行くような、本当に狂った人間が装備する用の武器だ。

 戦闘狂というか、まあきっとそれは快感とか爽快感はすごいだろうけど。なんか使ってるうちに人格が変貌しそうだな。


「良かった。初期武器を大剣にしなくて」


 もしも私の初期武器を大剣にしていたとしても、この武器を装備するのにはすごく勇気がいることは言うまでもないだろう。

 いや、私ならもしかすると装備しちゃってたかもしれないけど。


「もちろん拾っておくけど。これ、この先の階層で大剣を装備できるようになったところで、今の私ならまず絶対装備しないだろうから売ってもいいと思うんだけどな」


 私は中ボスのいなくなった中ボス部屋で1人そうつぶやいた。

 まあそれについては迷宮の攻略を終えて街に帰ってからまた考えればいいか。

 そうしてドロップアイテムの回収を終えた私は、回復アイテムを使ってHPとMPを全快させると少し休憩した後に迷宮の地下3階へと降りて行った。


<第2階層:迷宮地下3階:ボス部屋前>


 迷宮の地下3階についてだが、まあ広さも地下2階よりさらに狭くなっていることもあってか探索に時間はそんなにかからなかった。

 地下3階では新しいモンスターは出現しなかったという点も大きい。ただ、あの凶悪なバトルボアは引き続き出現したため油断はできなかったけど。


 モンスターの分布の変化としては、ポイズンバタフライが地下3階ではまったく出現しなくなった代わりに、なぜかグラスウィードが出現するようになった。

 ただ、迷宮の通路も部屋の中も基本は岩で出来ていているから、グラスウィードが擬態しているであろう草むらは一目でわかる。だって他に草むらなんてないから。


 やはり草むらに擬態するモンスターは牧草地帯のように他にも草むらがたくさんある草原などにいることで擬態の意味があるということだな。


 そして地下3階で新たに出現するようになったのがゴースト。

 こいつももうね、前に1回説明したからもうわかると思うけどとにかく厄介。

 MPがどんどん削られていくのは本当に怖いから、私は戦闘でまずこいつを真っ先に倒すように心がけていた。とくに大ルームでこいつがルーム内に12体いたときはもう絶望しかけたけどなんとか勝ったよ。その部屋が地下3階の中で一番やばい部屋だったんだと思う。


 でもまあ、そんなこんなで大変だった割に地下3階は1時間程度で探索を終えて私はついにボス部屋の前までやってきた。すでにHPとMPの回復は済ませているしやる気も十分。

 というより、皐月さんから事前に聞いた迷宮ボスの情報が確かなら私はまず負けることはないどころか、割と簡単に倒せるんじゃないかとさえ思えるのだ、ここのボスに関しては。


 その理由は、まあボス部屋に入ってから話すよ。


 ということでボス部屋の扉を開いた私。

 テクテクと中に入るとその部屋の中は真っ暗で、そして開けた扉が後ろでバタンと閉じられた。

 これでもう後戻りはできなくなったわけだ。


 そしてボス登場の演出だけど、暗い室内の天井付近から何か光っている粉みたいなものが降ってきて、次いで風の音というか、翼の羽ばたきの音が聞こえた。

 そうしてボス部屋の外周と天井のにあった松明照明に火が灯ると羽ばたきの音はさらに大きくなって私の元へ近づいてきた。


 天井から優雅に舞い降りてきた第2階層迷宮のボスは、蝶だった。


「綺麗な羽だな~」


 モンスター名は、マダムバタフライ。

 黒をベースに赤、青、黄、緑、紫などの色とりどりの模様がある美しい羽を持つ巨大な蝶々。

 6本の足を持ち頭部には2本の触覚があって体長は8メートルほどだろうか。

 HPケージは400%(大ケージ4本)と第1階層迷宮ボスのドラゴンよりもケージ1本分多い。


「さて、やるか」


 というわけで始まったボス戦。

 まずは第1段階(戦闘開始直後)のマダムバタフライの攻撃方法をご紹介。


 1つはプレイヤーに対して突撃してくる滑降攻撃でこれは単純に物理攻撃。

 ただ、巨体であるため近距離にいた場合は回避が間に合わずに直撃してしまうこともある。


 そして残りはすべて遠距離の魔法攻撃だった。

 頭部の触覚から緑色のビームを2本同時に放つ攻撃。(おそらく光属性の魔法攻撃。)

 羽を大きく広げてからの小竜巻を1つ発生させる攻撃。これはヤタガラスのものと同じで発生した小竜巻はプレイヤーを追尾し、触れると横方向に大きく弾き飛ばされる。


 ビームの方は、攻撃の速度が速いため回避が難しいが、小竜巻の方に関しては私はすでに何度も同じ攻撃を見ていて対処法も知っていたし、小竜巻は風属性の魔法攻撃。私はすでに風魔法無効のスキル効果で仮に小竜巻に巻き込まれてもダメージはいっさいないので大丈夫。

 ただし、ダメージはなくても弾き飛ばされる方の効果は受けて、それでボス部屋の壁に激突したりした場合はそのダメージは受けることになったが。

 まあそれくらいならライトヒールの回復魔法ですぐなんとかできるしね。


 そして、第1段階のマダムバタフライの最も厄介な攻撃はボス部屋のほぼ全域に被害が及ぶという毒鱗粉だった。皐月さん情報だとこの毒鱗粉を受けると毒(中)の状態異常になるとのこと。


 そう、もちろん私はすでに毒は効かないから毒鱗粉攻撃はいっさい無視してマダムバタフライを攻撃するチャンスとばかりに接近して火炎斬りを決め込んだ。


「ふふふ。余裕だし、このくらい」


 マダムバタフライは賢さが非常に高いため、魔法攻撃が効きにくいのだが逆に耐久はそれほど高くはないので物理攻撃は普通に効くという。

 そして種族はもちろん昆虫族であり、弱点は火属性。

 私は昆虫殺し(インセクトキラー)のスキル効果で昆虫族のモンスターに与える物理攻撃のダメージは25%上昇している。

 そこで火属性の物理攻撃である火炎斬りがさらに弱点属性であることもあってか非常に良くダメージを与えられた。

 一撃でケージ1本の4割近く削れるくらいに。

 単純計算で言うと、私は火炎斬りを10回ほど当てればマダムバタフライを倒せることになるのだけど、まあさすがにそこまで都合よくは倒せない。

 でも、マダムバタフライが毒鱗粉攻撃をしてきた際には私は接近して火炎斬りを当てていったらすごいスピードで体力を削っていけたのは確かだ。


「おっと、そろそろ第2段階かな」


 そうして迎えたマダムバタフライの第2段階。

 この時点でマダムバタフライのHPは250%程度にまで落ち込んでいる。

 つまり残りは大ケージ2本と、1本の半分くらいというわけだ。


 私の方はHPは全快だ。HPドレインⅩの効果でね。

 ただ、MPの方はさすがにちょっとは減っていたけどね。


 第2段階になると、まず第1段階の時に使用していた攻撃方法がパワーアップ。

 触覚からのビームは、2本同時なのは変わらないが3連続攻撃へ移行した。

 小竜巻が1度に2つ発生するようになった。

 代わりに滑降突撃攻撃は使用してくる頻度が少し低くなったみたい。


 そして新しい攻撃方法として、まず大竜巻。

 これもヤタガラスやドラゴンが使ってきたのと同じで食らうと大きく上へ突き上げられて地面へ激突した時に大ダメージを受ける。

 もちろん普通のプレイヤーは大竜巻自体にもダメージを受けるのだろうけど私には風属性の魔法攻撃は効かないよ。理由は、もう何度も言わせないで。


「お、今度は黄色だ!」


 さらに第2形態のマダムバタフライは、先ほどの紫色の毒鱗粉攻撃に加えて新たに黄色の鱗粉をまきちらす攻撃を使用してきた。

 なんとなく想像がついた人もいるだろうけど、その黄色い鱗粉は麻痺鱗粉。これを食らうとプレイヤーは麻痺(中)の状態異常になってしまうのだ。


 ただ、もちろん私はすでに麻痺は効かないから麻痺鱗粉攻撃もいっさい無視してマダムバタフライを攻撃するチャンスとばかりに接近して火炎斬りを決め込んだ。


「ふふふ。余裕余裕」


 そう、余裕だったのだ。

 たまに竜巻に巻き込まれて壁や床に激突してダメージを受けたり、触覚からのビーム攻撃を受けてダメージを受けたりもしたが、戦闘自体は始まってからここまでとくに苦戦はしていない。

 受けたダメージも、その後で火炎斬りを決めて物理攻撃で大ダメージを与えれば、HPドレインⅩのスキル効果で与えたダメージの半分を回復できるのだし。


 あ、ちなみに私は何も火炎斬りだけでマダムバタフライを攻撃していたわけではないよ?

 敵が遠くにいたらスラッシュ、また近くにいても3段斬りとかも何度か当ててたし。

 まあ1番大きなダメージを与えられるのは間違いなく火炎斬りだったんだけどね。

 魔法攻撃は効きが悪いって聞いてたからほとんど試していないんだけどね。

 マダムバタフライは敏捷もそこまで高くなかったからウィンドステップは使う必要性もあまり感じなかったし。まあ、飛行しているから物理攻撃を当てにくいってのはあったけど。


 それでも今回のボス戦では物理攻撃が主体でダメージを与えていくからダメージの底上げのために力を上昇させるファイアーステップは戦闘が始まってすぐに使ったし、効果が切れてまたリキャストタイムの3分が過ぎれば再び発動してかけなおしたりね。

 いやあ、ライカンスロープからこの魔法を手に入れていたおかげでボス戦がさらに楽になったよ。

 別にファイアーステップの魔法がなくても問題はなかったとも思うけどね。


「おっと、そろそろ最終段階かな」


 そうして迎えたマダムバタフライの最終段階。

 この時点でマダムバタフライの体力は100%程度にまで落ち込んでいる。

 つまりは残りは大ケージ1本だけというわけだ。


 私の方のHPはさすがに全快とまでは言わないが、まあまだ8割は残ってる。

 ただ、MPの方はそういうわけにもいかず、残り5~6割といったところ。

 でも敵の残り体力から考えたら余裕で足りるだろう。


「ファイアーステップ!」


 私はそこでちょうどリキャストタイムを終えたファイアーステップをかけなおし、万全の態勢でマダムバタフライへ向かって行く。


 最終段階になると、マダムバタフライの攻撃方法はさらにパワーアップ。

 触覚からのビームはなんと1つの触覚から2本ずつ、合計4本の緑色のビームを同時に放つ攻撃をなんと5回連続で使用してきた。(これを全部かわせる奴はさすがにいないだろう。)

 きっとパーティを組んでいても全滅するレベルの攻撃だと思ったけど、それはそれだけ向こうもこのままおとなしくやられまいと必死になっている証拠でもあった。


 小竜巻は1度に同時に3つ発生した。私もさすがに1人で3つの小竜巻の対処は無理なのでここは諦めておとなしく1発は食らうことにした。飛ばされた先で壁にぶつからないことを祈りながら。

 大竜巻は2回連続攻撃に変化。まあこれは攻撃の軌道が直線的で追尾もしてこないからよけるのはもう慣れている私にとっては簡単だったよ。


 滑空突撃攻撃はここに来るといっさいしてこなくなった。

 だが代わりにまた新しい攻撃方法を2つ使用するようになって。

 そのうちの1つがもう無茶苦茶だった。


「あれ、なに?…………うそうそうそうそ!?」


 マダムバタフライが天井付近にまで飛んで一瞬姿が消えたかと思ったら、まさかの上空からの急降下攻撃をしかけてきた。

 しかもものすごいスピードで落ちてくるからもうプレイヤーは回避どころではない。

 マダムバタフライは力もそこそこ高いからこれで私は大ダメージを受けた。

 この攻撃については、私は皐月さんからまったく聞かされていなかった。


 たぶん、意図的に言わなかったというよりは、皐月さんがこのマダムバタフライと戦った時はこの攻撃がくる前に倒してしまったんだろう。

 だから皐月さんもマダムバタフライのこの急降下攻撃は知らなかった。

 いや、あるいは単に忘れていただけかもしれないな。だいぶ昔のことだろうし。


「くっそー、やられたな。でも、まだ大丈夫」


 急降下攻撃は私の体力の3割を一気に削っていったがまだ私の体力は半分近くあった。

 そして次にマダムバタフライはまた新たな攻撃をしかけてきたのだが、こっちの方はまったく問題なかった。


「白い鱗粉だ」


 そう、最終段階のマダムバタフライはこれまでの毒、麻痺の鱗粉に加えて白い鱗粉、プレイヤーを眠り(中)の状態異常にする眠り鱗粉を使用してくる。

 これをまともに受けたら、それこそ最大の6人でパーティを組んでいても全滅する恐れがある。

 私でなかったらまず間違いなくソロプレイヤーはここで死んでいただろう。


 もちろん、私はすでに眠りは効かないから……この先はもう言わなくてもわかるな?


「火炎斬り!」

「ギシュアァァァァァァ!!!!」


 私は最後に火炎斬りを決めると、そこでマダムバタフライのHPは尽きた。

 その時点で私の体力は残り4割程度。MPに関しては残り2割となっていたけどまあなんとか倒すことに成功した。


 そうして地面へ墜落ついらくして倒れこんだマダムバタフライの体が光の粒子になって砕け散り消え去ると、私の眼前には今回の戦闘のリザルト画面が表示された。


<倒したモンスター>

 マダムバタフライ×1


 獲得経験値:2500ポイント 獲得ゴールド:4500G

 次のレベルまで残り3687ポイント


「良かった。今回は召喚スキル使わずに倒せた」


 私が他プレイヤーにはたぶんわからないだろう類の安堵をしていたらボス部屋の中に前のドラゴン戦後と同じように青と緑の2つのワープゲートが出現した。そして……


「ふっふっふ。やったね。今回も金の宝箱だ」


 ボス部屋の中央には今回もまた金色の宝箱が出現した。

 果たして今回の宝箱の中身はなんだろうか、すごく楽しみだな。



<モンスター辞典>

〇ライカンスロープ

獣族。第2階層の迷宮で中ボスとして出現するモンスター。

ウェアウルフの色違いであり、こちらは体毛が茶色っぽい。

ただし攻撃方法や行動パターンについてはウェアウルフとは大きく違うためそこは注意。

詳しい情報は前話の本編内に記載されているが、体力が減ってくるとファイアステップの魔法を使用して力を上昇させてくるので要注意。

力と敏捷が非常に突出している点はウェアウルフと同じ。ただしこちらは耐久と賢さもそこそこの値だったりして全体的にステータスに隙がないために強い。

弱点はなし、火属性と闇属性に耐性がある。

ドロップ:狂戦士の大剣、人狼の皮×5、人狼の牙×5


なお、実はウェアウルフの方がライカンスロープよりも強いのではないかとプレイヤー間では密かにささやかれているが、ウェアウルフとライカンスロープのどちらがより強くて厄介であるかはプレイヤー個人によって意見が割れるところだという。

一応筆者は、ライカンスロープの方が強いとは思っているんだけど。


※マダムバタフライについては次話の後書きにて紹介。

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