ニートな女神と初めての短剣
金の宝箱の中に短剣が入っていたのでこのタイトルに。
以前に初めての武器というタイトルを使ってしまっていたので今回はそこを明確に。
私はボス部屋に出現した金の宝箱を開けようとした。
だけどその前にマダムバタフライを倒したことでまた新たに手に入れたスキルを確認しておくことにした。まあ、もう想像ついてる人もいるかもしれないけど、手に入れてのはまた召喚スキルだったよ。
〇召喚:マダムバタフライ
効果:『マダムバタフライ』を召喚し使役することが可能になる。
消費MP:発動中1秒経過毎に1消費 リキャストタイム:――
『マダムバタフライ』が使用可能なスキル
①エナジービーム
効果:光属性の初級攻撃魔法。緑色に光るビームを放つ。
消費MP:4 リキャストタイム:2秒
②ポイズンパウダー
効果:無属性の中級特殊魔法。広範囲に紫色の鱗粉をまき散らす。鱗粉を受けた敵は毒(中)の状態異常になる。
消費MP:12 リキャストタイム:20秒
「この2つだけか。麻痺にする鱗粉や眠りにする鱗粉は使えないんだ」
いや、実際毒の鱗粉だけでも普通のプレイヤーからしたら十分脅威なんだろうけど。
ビッグポイズンスパイダーからもらったポイズンの魔法が基本的に単体の敵用の魔法で、しかも毒(小)の状態異常にするという効果だったのに対し、マダムバタフライの方は魔法の効果範囲も広そうで複数の敵を同時に毒状態にできる上に、効果も(中)になっていて使うなら断然こっちの方がいいと思った。
でもマダムバタフライをこの先召喚すること自体あるのかどうかはまだわからないけど。
もう1つの技はあの触覚から出てたビームなんだろうけど、別に私も光属性の初級攻撃魔法ならもう持っているからあまりそれ目当てで呼び出すこともないと思うし。
「まあ、見た目はすごい綺麗な蝶々だから。すごいでかいけど、たまに気晴らしで呼び出してみようかな。……なんてね」
私はそんな冗談を言いながらも目の前の画面を閉じた。
これでスキルの確認は終わった。さあ、いよいよお待ちかねの宝箱を開ける時間だ。
私は金の宝箱のふちに手をかけるとそれをゆっくりと開けてみた。
すると中には、やはりというか装備品や武器、魔法の巻物にいくつかの素材アイテムも入っていた。
「おおおお!!、今回もやっぱり豪華だな」
私はそう言った。うん、このゲームでソロプレイをしていて良かったと1番思う瞬間って絶対にこのボス部屋の金の宝箱を開ける時だと思うんだ、私は。
だって初回の挑戦で、かつ制限時間以内にソロでボスを倒さないと金の宝箱は出てこないからね。
それで、さっそく金の宝箱の中に入っていたものを1つづつ確認していくとしようか。
まずは装備品からだけど。頭部、体、足に1つずつ、武器が1つと装飾品が2つ。
ただし今回は盾が入っていなかった。まあ、1番豪華な金の宝箱に入っていないのだから最初から入ってはいないんだろう。代わりに装飾品は2つ入っていたし。
〇蝶々のフード
VIT+20 AGI+21 ING+30
特殊効果:80%の確率で眠りの状態異常にならなくなる。
〇蝶々のマント
VIT+36 AGI+25 ING+32
特殊効果:80%の確率で麻痺の状態異常にならなくなる。
〇蝶々の靴
VIT+17 AGI+27 ING+20
特殊効果:80%の確率で毒の状態異常にならなくなる。
「すごいな。耐久だけでなく敏捷と賢さも上がるのか」
体に装備する防具はなんと1つで3つの能力を強化補正するというとんでもない性能だった。
ただ、耐久だけの増加値を見てみると、どれもドラゴンシリーズの装備より1段劣っている。
それに、装備の特殊効果の方は……うん、私にはもう意味がないな。
私はもう毒無効、麻痺無効、眠り無効のスキルをもっていてそれぞれの状態異常にはならなくなっているし、しかも装備の方の効果が80%の確率で状態異常になるのを防いでくれるというのは完全に無効化スキルの下位互換だった。
「うーん。特殊効果の方は無視したとしても敏捷や賢さが上がるのは魅力的だな」
ただ、だからといってドラゴンシリーズの装備をこちらに変えるのかと問われると少し迷う。
こっちの蝶々シリーズの装備に変えたら、純粋に耐久の増加値は下がることになるし、さらにドラゴンシリーズの装備の効果である物理攻撃によって受けるダメージが半分になるという効果は失われてしまうことになる。つまり、防御面が大きく弱体化してしまうのだ。
しかし蝶々シリーズの装備に変えると敏捷は上がることになるので攻撃を受けるのではなく回避することに専念すれば相対的に私はダメージを受けにくくなるというのは同じなので、そこが迷うところではあるのだ。
ちなみにデザイン面では、フードとマントは黄緑色で別に蝶々の羽の模様が入っているわけでもない。
そして靴にはなんやら蝶々をあしらったような模様が靴の側面にあるだけで、色は普通の茶色のブーツであってとくに変わったところはない。
むしろ、マントに蝶々の羽の模様とか入ってなくて良かったとも思う。
いや、綺麗なんだろうけど他からみたらすごく目立つしちょっと装備するのに勇気が必要でしょ。
だから私は別にこちらの方の装備に変えてもいいかなとは思える。見た目的には。
「んー、武器の方は?……おっと、これはまさかの?」
3つの防具をアイテムボックスに入れた私は、次に宝箱の中から武器を見つけて取り出した。
それは金色の刀身で、持ち手の部分に綺麗な羽を持つ蝶々の衣装が施された短剣だった。
そう、私が第2階層の住人クエスト『短剣入門』をクリアしたことで装備できるようになった武器である短剣だ。
〇蝶々の短剣
STR+31 AGI+23 ING+20
特殊効果:この武器によって敵に物理攻撃ダメージを与えた時、80%の確率で敵を毒(中)、麻痺(中)、眠り(中)のいずれかの状態異常にする。どの状態異常になるかはランダムで決まる。
「は!?……え、えーーーー」
私はもう何も言えなかった。
なんて恐ろしい効果がついているんだ、この武器。
まず、武器本来の性能として力だけでなく、防具同様に敏捷と賢さの値まで補正がかかっているという点だけでもかなりの高性能なのに。
ただこの武器で敵を斬ったり、あとは短剣なので投げて敵に命中させてダメージを与えたらそれだけで敵を状態異常にするとか。
状態異常にする確率が100%ではないことと、3つあるうちのどの状態異常にするのかプレイヤーが選べないという欠点もあるものの、それでもかなりのチート武器であることに違いはない。
先の階層では通用しないとしても少なくともゲーム序盤ではかなりすごい威力を発揮する武器であろうことはもう試さなくてもわかる。
「いやさ。たとえば斬ったら敵に毒を与える刀とかなら、RPGとかでもよくあると思うけど。この短剣はさすがに……くっそ恐ろしいな、これ」
特に眠り(中)の状態異常にでも出来たとしたらそれこそそれで勝負が決するだろうに。
眠りの状態異常になったら、一切の行動ができなくなる上にその間に受けるダメージがすべてクリティカルで受けてしまうことになるから。牧草地帯でその恐ろしさはもう経験済みだから、私。
私は、ポイズンとパラライズという敵をそれぞれ、毒、麻痺の状態異常にすることができる魔法も使えるけど、眠りの状態異常にする魔法はまだ持っていないから余計にこの武器の恐ろしさが理解できた。
「とりあえずこれを装備するかどうかは後回しにして他のも確認しよう」
私は蝶々の短剣もアイテムボックスにしまうと残った2つの装飾品を確認してみることにした。
ただ、そのうちの1つがなんというか。その、デザインにちょっと問題がね。
〇蝶々のブレスレット
VIT+7 AGI+13 ING+15
特殊効果:5%の確率で毒、麻痺、眠りの状態異常にならなくなる。
〇蝶々の仮面
VIT+12 AGI+16 ING+21
特殊効果:15%の確率で毒、麻痺、眠りの状態異常にならなくなる。
「なるほど~。つまりこの2つの装備込みでさっきの防具と合わせれば毒と麻痺と眠りの状態異常を100%の確率で防げるようになるということか」
だからあえて防具の方は、それぞれ状態異常を1つずつ80%の確率で防ぐなんていう中途半端な効果がついてたわけね。
そうだよ、こういうのって全部シリーズそろえて装備することでちゃんと意味があるように出来てるんだろうし。
「でもこの蝶々の仮面は……なんていうかだいぶ……勇気がいるかも」
ブレスレットの方は、腕輪とはまた違って本当にブレスレットの形をしているというか。
ああ、つまり手首の周りに装着するタイプの装飾品ね。
腕輪というのは人間の体の本当に腕、上腕二頭筋のあたりに装備されるやつで太くてごついタイプの装飾品だ。
それで、今私が問題にしている蝶々の仮面なんだけど。
なんか目元だけを隠すような感じでさ、青くて綺麗な蝶々みたいな感じで左右にばっと広がった仮面だったわけ。
これ、下界でも神界でもあるらしいけど仮面舞踏会とかで使ったり、どこかしらの博物館に展示されてそうな仮面なんだけど。
つまり何が言いたいのかというと、普段から身に着けるものとして見た場合にすごく違和感があるというか、まあもう不審者みたいな。実際にリアルでこれつけて公園に1人ベンチで座っていたら近所の人に通報されそうなレベルのやつ。歩いてたら絶対道行く人に笑われそうなやつ。
「でも、これつけないと状態異常の耐性が100%にならないし。……ああ、それはもう別にいいのか。無効化スキル持ってるから。んー、でもこれも装飾品としては凄い効果いいしな~」
私は悩んだ。すごくすごく悩んだ。
そうして悩んだ末に私は装備をドラゴンシリーズから蝶々シリーズへと変更することにした。
というか、1回蝶々シリーズの方を全部まとめて装備してみたかったというのもあるけど。
装備変更後の私の装備はこんな感じになった。
頭:蝶々のフード
体:蝶々のマント
右手:蝶々の短剣
左手:なし
足:蝶々の靴
装飾品1:蝶々の仮面
装飾品2:カラスの指輪
装飾品3:蝶々のブレスレット
装飾品の方は、ドラゴンの腕輪と賢さの指輪を変えてカラスの指輪を残した。
理由はまあ、ドラゴンシリーズの装備を外したのだしドラゴンの腕輪も外すべきだろうと思ったのと、あと賢さの指輪については純粋に蝶々のブレスレットの方が効果が良かったから。
あ、そうそう言い忘れていたけど。
たとえば私は今体にはマントを装備しているけど、その下が裸とかいうわけじゃないからね。
戦闘用の装備画面とは別にその下に着るべき洋服とかを装備する装備画面が別に存在している。
メニュー画面を開いて装備変更の項目をタッチするとまずは戦闘用の装備を付け替えられる戦闘用装備パットが開かれるんだけど、それとは別に日常用装備パットっていうのもあってさ。
そっちの方は本当にただのおしゃれというか、街の服屋とかで自由に気に入った服とか買って着飾るわけで。まあ、私はゲーム内で服とかほとんど買ったことないから普段は別に気にしてないんだけど、ようは戦闘用装備の下に着ている洋服とかの話ね。
洋服、中に着るシャツ、その下の下着やパンツ、ズボン、靴下とかそういうのは全部日常用の装備パットで付け替え可能なのだ。もちろん、日常用装備パットで装備されるそれらの洋服類には装備補正も特殊効果もないんで、戦闘には一切影響を与えない。
戦闘用の装備の方が〇〇の服とかいう洋服に近い衣服だった場合はもちろんそっちが優先されてプレイヤーの体に装備されるわけだけど。2重に別々の洋服を重ねて着ているなんて気持ち悪いことにはならないって話。ただ、なんか風のうわさでやろうと思えばそれもできるって聞いたけど。
ちなみにこのゲーム、プレイヤーの装備を全部外しても全裸にはならないように設計されている。
下着と最低限のシャツとパンツは装備され、それ以上脱ぐことはできないのだ。
いや、全裸になれちゃったら確実に年齢制限もっと上になっちゃうと思うからそこらへんはちゃんとしているようだ。
「ああ、でも左手に何もないと変な感じがするな。でも、この装備で盾を装備するのもなぁ~」
私はドラゴンシリーズの装備をすべて外して蝶々シリーズのものへと変更した。
そこでネックとなったのが左手に装備されていた盾、ドラゴンシールドだった。
蝶々シリーズにはどういうわけか盾がないため、そこでドラゴンシールドを装備した状態のままだと盾だけがなんか見た目的に浮いてしまうのだ。
別にゲームシステム的には何も問題はないのだけど、あまり見た目をちぐはぐな感じにしたくないというのが私の本音だった。私は装備した時の全体の見た目も重視しているからさ。
「別の盾を装備するか…………うん?、あれ、でもちょっと待てよ?」
そこで私の頭にふとある疑問が頭をよぎった。
そもそも、右手と左手に別々に装備ができるということだが。
私は右利きなので、もちろん右手にはメインとなる武器を装備し、反対の左手には盾を装備していた。
だけど、ゲーム内には左利きのプレイヤーだっているはずだ。
そのプレイヤーは当然左手に武器を装備しているはずだろう。まさか武器はすべて右手で装備しなければいけないなんてことないだろうし。(そんなことがあれば左利きの人間からクレームが殺到するだろう。)
私が気づいたのは、つまり左手に装備するのは別に盾である必要もないということ。
つまり、右手に短剣を装備した状態で左手に片手剣を装備することもできる。
いや、今まで考えたこともなかったけど両手に片手剣を装備して二刀流にすることもできるのでは?
「あれ?、じゃあ別にその逆でもいけるんじゃないか?」
ということで私は1度右手に装備していた蝶々の短剣を外すと、そこにドラゴンソードを装備しなおした。そして左手には蝶々の短剣を装備してみたら、なんと普通に装備することができた。
「おおおお!!、これ、いいんじゃないか?」
正確にいうなら、また右手に装備されたドラゴンソードが蝶々シリーズではないため少し浮いてしまっているものの、防具と違って武器については別にシリーズとは違うものを装備していてもそこまで違和感がないから。さらに言うと2つの武器を装備していることで武器スキルの方も、私は片手剣と短剣の両方のスキルが使えるようになっているはず。
あ、でも私は短剣術のスキルレベルはまだⅠだからそっちの方は何も技とか覚えていないんだけど。
「うーん。明日頑張って短剣術のスキルレベルを上げてみようかな」
武器スキルのレベルは非常に上がりにくいことはもうわかってるし、片手剣術のスキルレベルもⅠからⅡに上げる時にそれなりにモンスターと戦って時間がかかったような気もするけど。
本気で頑張ればⅠからⅡへ上げるくらいは1日でいけそうな気もする。
「あ、でも明日は夏祭りに行くんだった。うーん、どうしようかな」
私はそれからしばらく考えたけど、とりあえず今は装備はこれで行くことにした。
蝶々の仮面のことについてはもう吹っ切れたよ。
というか、まだ体全体を見る姿見で実際どんな感じなのか見てないからそう思えたのかもしれないけど、装備して最初はなんか顔に違和感というか、眼鏡を最初にかけた時みたいな変な感じがしたんだけどすぐに慣れたし、もちろんそれで視界状況に変化もなかったしね。
あとはまあ、街に戻った時の他のプレイヤーやNPCたちの反応を見て、かな。
なんなら街にいる時は蝶々の仮面だけを外しておいてもいいわけなんだしね。
「よし、装備についてはこれで終わり。あとはそうだな。街への帰り道で右手に片手剣、左手に短剣っていうスタイルでの戦い方を少しやってみてからまた考えることにしよう」
私はそう言うとそこで装備について今これ以上考えることはやめて金の宝箱に入っていた残りの品についても確認を済ませることにした。
とは言っても、残りは魔法の巻物が1つといくつかの素材アイテムだけだったけど。
「巻物はどうだろうか。ドラゴンの時の報酬からはドラゴンハウリングなんて魔法が覚えられるやつが入っていたけど……」
私はまず巻物を広げてみてそこで魔法を覚えてみた。
それから自分のステータス画面を確認して今覚えた魔法がどんなものだったのか確認した。
たしか、巻物を広げる前に表示されたアイテム名にはバタフライダンスの巻物って出てたから。
だから魔法名はバタフライダンスっていう魔法なんだろうけど。
「えっと、魔法一覧で……お、あったあった。バタフライダンス」
〇バタフライダンス
光属性の中級回復魔法。5分間魔法を使用したプレイヤーはHPが自動で徐々に回復する。
消費MP:30 リキャストタイム:15分
「ああ、なるほど。野菜ジュース(オレンジ)と同じような効果か。でも、具体的に何秒ごとにどれくらい回復するとか書いてないから、それは決まってないのかな」
きっと、プレイヤーの最大HPの値とか賢さの値とかが影響してくるのだとは思うけどちょっと不安だから、この魔法も街までの帰り道で試してみるか。
あえて敵から攻撃を受けてダメージをある程度受けてから使ってみよう。
でも、それにしても消費MPが30って。いや、リキャストタイムも15分っていうのはそれだけすごい効果のある魔法ってことで期待していいんだよな、これ。
ドラゴンハウリングでさえ消費MPは20だったのに、さらにその上って。
やっぱり中級になると魔法の効果も良くなるけど消費MPも高くなってリキャストタイムも長くなるってことなんだな。
これが上級とか超級の魔法になったらどうなるんだろう。
きっと超級魔法とかになったらリキャストタイムが24時間とか、1日1回しか使えないレベルの魔法とかあるんだろうな、きっと。
「ふむ。まあこれでいいか、後は全部素材アイテムだな」
箱の中に残った素材アイテムを私は確認しながらもテキパキと回収していく。
幻蝶の羽が12個。幻蝶の足が6個に幻蝶の触覚が2個、ね。
どうでもいいけどこれさ、別に宝箱の中に入れておく必要性ないんじゃないかな。
普通にボスモンスター倒した時にドロップアイテムで出せばいい気がするんだけど。
宝箱は中身を全部回収した時点で光の粒子になって消えた。
これ、宝箱の中身回収しないままボス部屋出たりしたら次にまたボス部屋に来た時に宝箱はどうなってるんだろうとか、ちょっと思ったりしてね。いや、この先確かめるつもりはないけど。それでなくなっちゃってたらショックどころの話じゃないし。
私はポーションと聖水を飲んでHPとMPを全快させてから、ボス部屋の緑色のワープゲートへ入ると迷宮の入り口である神殿の中に戻ってきた。
もちろん神殿内には緑色のワープゲートがその場に残っていて、私はいつでもこの迷宮のボス部屋の中へは行き来できるようになっている。
これで第2階層の迷宮もクリアしたことだし、後は冒険者ギルドで残ったクエストを全部片づければこの階層はもう終了。次の第3階層へ行くことになる。
まあ、その時には私も自分の恩恵の効果を確認するつもりだけど。
「ああ、そうだ。まだボスクエストがあるんだった」
この階層にある3つのボスクエストの最後の1つについても明日以降挑戦するつもりだ。
ヤタガラスと同等かそれ以上の強敵であるボスモンスターとは果たしてどんな奴なのかね。
たしかクエスト名は『草原の守護者』っていうんだっけか。
「まあ、今日はもう街に返ってログアウトだな。武器の調子と魔法の確認をしたらとっとと帰ろう」
私はそう言うと神殿から出て沼地のフィールドを歩き始めた。
時刻はもう午後10時前、外は完全に夜になっていて空には星が輝いていた。
<モンスター辞典>
〇マダムバタフライ
昆虫族。第2階層のダンジョン、迷宮のボスモンスター。
巨大な蝶々であり羽の模様はすごく綺麗。リアルだとオオムラサキという種類の蝶々の羽の色をカラフルに変えた感じかな。
第2階層のラストボスだけあってその強さは折り紙付き。
前話の本編内で語られた攻撃方法のうち、ボス部屋内のほぼ全域を効果範囲にする様々な状態異常を引き起こす鱗粉攻撃には細心の注意が必要である。
特にHPケージが残り1本を切った最終段階で使用してくる白い鱗粉は受けると眠り(中)の状態異常になってしまうため仮にパーティを組んでいてもパーティメンバーが全員眠ってしまった場合はそれだけで全滅する可能性が高く、よってそれに対応する策を事前に用意していないと倒すことは難しいだろう。
プレイヤー間では、ボスの中でもマジで初見殺しと呼ばれているモンスターの1体でもある。
弱点は火属性と氷属性の2つ。ただし水属性、風属性、光属性、闇属性と4つの属性に耐性を持っているのでそこも注意。
※なお、マダムバタフライとは日本語では『蝶々夫人』と訳されるジョン・ルーサー・キングという人物の書いた短編小説の英名タイトルからとったモンスター名で、あるいは同じ作品を元にした同名のタイトルのオペラなどもありますが、このモンスターは特にそれらとは何も関係もありません。
ゲーム制作側が先に迷宮のボスを蝶にしようと決めた後で、そのモンスターの名前を考える段になった時に社員の一人が出した案が通っただけですので。




