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ニートな女神がログインしました。  作者: 唯一信
第2階層―GREEN―
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ニートな女神と初めての迷宮

ニートな女神と初めての(第2階層)迷宮、です。

<第2階層:迷宮入口>


 街の門を出てから沼地を抜けた先、そこに迷宮ダンジョンの入口がある。

 第1階層の時と同じで、それは大きな神殿のような建物で、その中に本格的なダンジョン部分である迷宮へと通じる階段と、その前に第1階層の時の迷宮への入り口の前にもあった立て看板が。


 1点だけ大きく違うところはというと第1階層の迷宮入口である神殿の中には、地下への階段と立て看板と、あとは柱くらいしかなかったのだけど第2階層の神殿の中には床に緑色のカーペットが敷かれていたり、あとは天井付近の壁にこれまた緑色のステンドグラスがはめこまれていたりした。

 これはおそらくだけど、第2階層は緑の階層とも呼ばれているからその色が関係しているんじゃないだろうか。

 第1階層は無色の階層と呼ばれていて、無色とは色がないわけだからカーペットもステンドグラスも何もなかったというわけだ。

 きっと、赤の階層と呼ばれる階層は赤いカーペットと赤いステンドグラスがあって、青とか黄色とかもこの先そういう色の名前がついた階層があればこの神殿内に同じ色のカーペットとステンドグラスがあるんだろう。

 ……まあ、これはただの推測だけど。


 皐月さんに聞いた話によれば第2階層の迷宮も地下3階まであるという。

 もちろんボス部屋も地下3階の一番奥にあるというからちゃんとマッピングしながら進めば途中で道に迷うということはない。

 そして第1階層迷宮と同じで、落とし穴やモンスターゲートのトラップはあるものの新しいトラップはとくにないという話だった。

 ただ、モンスターに関してはやはり新しいモンスターも多く出現し、レベルも高いため挑むならしっかりと準備を整えてからと念を押された。


「ドラゴン戦やクイーンビー戦の時のように、できればボス戦で召喚のスキルは使いたくない」


 というのが私の迷宮踏破の1番の思いだったけど、さてどうなることやら。


「まあ、さくっと終わらせて来るとしようか」


 そう言って私は神殿内の階段を降りて行き迷宮へと足を踏み入れた。


<第2階層:迷宮地下1階>


 迷宮は、迷宮内の階層を移動することでモンスターの分布が変化する。

 そして当然のように下の階層へ進むほどモンスターのレベルもあがり、厄介なモンスターも増えて行く。だけど、やはり階層最後のダンジョンだけあって地下1階でもかなり厄介なモンスターが多く出現してプレイヤーの行く手を阻む。


 それでまあ地下1階だけど、まず既存のモンスターから。

 ゴブリンランス、ゴブリンシャーマン、ポイズンバタフライ、コボルトサーベル、キラービー。

 これでもう分かったと思うが最初から結構本気でプレイヤーのことを殺しにかかってきている。

 というのもこれらのモンスターは、これまでのフィールドで出現したものでも特に厄介な攻撃をしてきたり、能力値が高めのモンスターたちだったから。

 何気にゴブリンランスについては、かなり長いこと見かける気がするんだけど。


 あれだよね、ただのコボルトはもういなくてコボルトサーベルが1度に4体出てきた時とか、普通のパーティでも割と苦戦させられると思うよ?

 1体でも普通に強いからね、コボルトサーベル。


 そして新モンスターはここでは2体。

 1体は、まあなんとなく予想してたんだけどビッググリーンスライムね。

 こいつに関してはもう説明不要だと思うけどようは大きなグリーンスライムだ。

 もちろんグリーンスライム同様に移動はするけど一切攻撃してこない。

 さらに言うと、移動をするようになったために第1階層の迷宮で通路を完全にふさいでプレイヤーの進行を邪魔していたビッグブルースライムよりも厄介度は減った。

 と、思っていたらね。


「うお、目の前にビッググリーンスライムが。……え、後ろにも?」


 小さな通路を歩いている最中に通路の前後に出現してからの徐々にこちらへせまってくるという、まさかのおしくらまんじゅう攻撃をしかけてきた。

 私はすぐに目の前の個体を倒して通路を抜けたからわかんないけど、あれ多分2体に完全にはさまれたら果てしないダメージ地獄に陥って死ぬに違いない。だって身動きとれなくなるからね、挟まれたら。

 まったく恐ろしい話だと思う。あれもう新しいトラップの1種だな。迫ってくる壁ならぬ迫ってくる巨大スライムとか、誰だってそんなことで死にたくはないだろうし。

 まあ、落ち着いて対処すればそこまで怖くもないんだけど。

 ビッグスライム系統ってHPだけは無駄に高いからな。


 ドロップアイテム?、あれだよ、スライムの雫(緑)を3、4個だよ。スキル等はなし。


 新モンスターの2体目だが、これはゴブリンだった。

 ゴブリンアックスといって名前通り木製の斧を持っていた。

 木製の斧って、それもう斧本来としての機能はないんじゃないかと思ったけど。

 倒したら木の斧を落としたよ。けどこれは後でもちろん売却ね。スキル等はなし。


 ゴブリンアックスは動きは遅い。それも大きな斧を持っているせいなんだけどその斧の攻撃力がやばかった。いくら木製と言っても凶器であることに違いはないのだから。

 まあもっとも、私は盾で攻撃を受け止めればもうダメージは0なんだけど。

 あ、素で受けてみたら3ほどダメージが発生したけど。


「そういえば私以外のプレイヤーの耐久って、どのくらいなんだろうか。この斧攻撃もきっと普通のプレイヤーなら直撃したら大ダメージを受けると思うんだけど」


 私はちょっと気になった。

 とくに私の物理ダメージ半分にする装備一式の効果と耐久を75%もスキルで上げた上に物理ダメージを通してきたあのウェアウルフやフォレストベアの一撃など、私以外のプレイヤーならそれこそ一撃で死ぬんじゃないだろうか。

 いや、一撃ではないにせよたぶん体力の半分以上は持っていかれるような気がするんだ。


 だけど、かといっていきなり他のプレイヤーにあなたの耐久ってどれくらいですかなんて聞いたところで答えてくれる人なんてそういないだろうしね。

 うーん、他のプレイヤーの能力値とか盗み見するスキルとかないだろうか。

 ……いや、探せば絶対にありそうだよなこのゲームなら。


「うーん。今度ローズたちに会ったらダメもとで聞いてみようかな」


 レベルだけならともかく、各能力値の数値を詳しく聞くのはパーティメンバー間であってもマナー違反と言われるかもしれないのだけど、どうしても気になるからね。


 なにしろ私はもうこの段階でも、このレベル帯のプレイヤーにしては色々と異常な能力を持っているわけであって、いわゆる他のプレイヤーの普通の値というのがいまいちわからなくなってしまっているから。


 私は現在、剛腕Ⅹ、頑丈Ⅹ、俊敏Ⅹのスキル効果によって力、耐久、敏捷の値は元々の数値の半分、50%も上がっている。

 さらに耐久に関しては、装備品のカテゴリーが鎧であるドラゴンアーマーを装備していることによって、ハードアーマーのスキルによってさらに25%上がっている。

 よって耐久に関しては合計して75%も上がっている。


 そしてドラゴンシリーズの装備一式をフルで装備していることで、物理攻撃によって敵から受けるダメージが半分にまで下がっている。

 上記の耐久75%上昇の効果と合わせて考えれば私はまず物理攻撃によってダメージを受けることはない。


 賢さの値についても、装飾品のドラゴンの腕輪とカラスの指輪の効果を合わせて35%も上がっている。

 ただ、それでも魔法攻撃に関してはまだ普通にダメージを食らうことが多い。

 このゲームに9つある属性のうち、水と風の属性の魔法攻撃については完全に無効化。火属性の魔法攻撃についてはドラゴンシリーズの装備効果で50%ダメージ減少となっている。


 その他、すでに毒、麻痺、眠りの3つの状態異常に関しては一切無効。


 こうして考えてみると、やっぱり私ってもうチートが過ぎるというか、化け物と呼ばれるクラスまでいってしまっている気がしないでもない。ちょっと不本意ではあるけど。


「このままいくと、いつか物理攻撃も魔法攻撃も全部ダメージ0になってしまったりしてね。……いやいや、それはもうダメじゃないか?」


 もしかしなくてもそれ、絶対誰も勝てなくなるだろうに。

 もしも本当にそうなっちゃったら、うん。私はこのゲームを辞めようと思う。

 だってそんなのつまらないし、というかそれもう完全にバグというか、ゲームシステム的にダメだと思うし。いや、そもそもゲームシステム的にそれって実現可能なのだろうか。

 状態異常をすべて無効くらいならあっても別にいいとは思うけど。


「うーん、何階層を突破した時に無敵になってしまうのか」


 私は洒落にならないと思いつつも1人そうつぶやいた。


<第2階層:迷宮地下2階>


 第1階層の時と同じで、第2階層の迷宮も地下1階が一番広く、下の階に行くほどマップは狭くなっていくようだった。

 ただ、それを含めてもやはり第2階層の迷宮の方が全体的に広く、構造も複雑になっているのではないかと思われた。

 道中に出現するモンスターをすべて倒しながら、地下1階のすべての部屋を回ってマッピングが終わるのにおおよそ2時間くらいかかったし。まあ、戦闘がけっこう頻繁にあったんでそれだけの時間がかかったとも言えるんだけど。

 それで下へ降りる階段を使って私は迷宮地下2階へとやってきた。


 地下2階になると、出現モンスターは大きく変化した。

 まず既存のモンスターでいうと、ニードルラビット、ブルーフロッグが追加された。

 ゴブリンランスは出現しなくなり、続投でゴブリンシャーマンとゴブリンアックス。

 コボルトサーベルも続けて出現するようになったけどビッググリーンスライムはもう出現しなくなってしまった。

 あいつ、このダンジョンの地下1階にしか出てこないモンスターだったとしたらちょっとレアなモンスターだったのかも。地下1階でうんざりするほど遭遇したけど。

 ポイズンバタフライはまだ出てくるが、出現頻度がちょっと少なくなったかもしれないというところ。


 それで、この地下2階でさらに新たなモンスターが1体出現した。

 それがワイルドボアの純粋な強化版であろうモンスター、バトルボアだ。


「あ、ワイルドボ……じゃないな!?」


 一瞬イノシシの姿を見てワイルドボアと言いかけたものの、すぐにそれが違うモンスターだということはわかった。理由は、そのイノシシの体には何やら白い文様のようなものが描かれていたから。

 あの、なんて言ったかな。あのさ、下界のアニメであったやつ。そうだ、もののけなんたら。その終わりの方で出てくるイノシシみたいな?

 普通のイノシシのボディに白い模様みたいなの入ってるやつだよ。


「バトルボアか。なんか強そうだ……な……おうぇい!?」


 事実そいつは強かった。あのワイルドボアの強化版だと思うけど強化され過ぎてる。

 まず敏捷が馬鹿みたいに高いし、力と耐久も高い。賢さは低いんだけど、このバトルボアはどうやら弱点となる属性がないモンスターみたい。その代わりに耐性もなさそうだったけど。


 私は通路でそのバトルボアと遭遇したのだけど、まあまずあいつの突進を避けることは出来ないと思ったね。いや、できなかったんだよ実際。私の想像以上に突進が速くてさ。

 しかも力もものすごく高いみたいで突進を素で受けたら10もダメージ受けたんだけど。


 ……おい誰だよ今、それでもたった10かよとか言ったやつ。

 あのさ、君今の私の異常なステータスについてはさっき説明したからわかってるよね。

 とくに防御面では物理攻撃に対してはもうだいぶ強くなってるはずなのに10ダメージも受けたんだよ?


「あいつ、化け物かよ。ああ、化け物か」


 モンスターって、英語で化け物のことだから間違ってはいない。

 そしてあのバトルボア、まず間違いなくこの第2階層の迷宮ダンジョンでの最強のザコモンスターだろうこともわかった。

 最強のザコモンスターって表現も、なんかちょっと矛盾してるような気もするけど。


「おそらく、このダンジョンでモンスターとの戦闘での死でランキング作ったらあいつが1番だろう。ボスと中ボスを除けばきっと」


 あれはゲーム開発側がプレイヤーの多くを殺すために容易した殺人マシーンだ!

 そうとしか考えられないほどの強さを持っていたんだよ、バトルボアは。


 ……まあ、それでも勝ったけどね。私は。


 バトルボアは数はフロア全体でも少ない方だったんだけど、1体がかなり強い。

 だけどその分経験値とゴールドは多く落としたよ。スキルとかはもらえなかったけど。

 ドロップアイテムはイノシシの牙と、あと何故かまた豚肉。


 ブルーフロッグを倒した時にはカエル肉を落とすのに、なぜイノシシからはイノシシ肉ではなく豚肉が落ちるのだろう。イノシシ肉になにか良くない思い出でもあるのだろうか、これ。

 だってカエル肉よりは、たぶんイノシシ肉の方がメジャーだよね、下界では。

 ……え、そんなこともない?


 というより、ワイルドボアも同じイノシシだったのにワイルドボアからはイノシシの牙というアイテムがドロップしなかったこともちょっとだけ気になった。

 やっぱりそこはあれかな。強化版のモンスターの方がドロップアイテムも豪華になってますよっていうことなのか。


「危なかった。っていうかすごい怖かった」


 私の今の恐怖について知りたいという人がいたら、1度全力でブチ切れてこちらに向かって突進してくるイノシシの前に立ってみるといいよ。

 きっと思うだろうから。あ、これ絶対死んだなって。

 身の回りにイノシシがいないという人は大型トラックを想像してもらってもいい。


「よく生きてたよな、私」


 バトルボアの突進攻撃はまともに食らうと大きく後ろに弾き飛ばされる上に、そこに壁や障害物があればそれにぶつかってさらにダメージを受けることになる。

 この壁や障害物に当たった時に発生するダメージは私の耐久の値とか関係なく発生するんで実際かなりあぶなかったのだ。固定ダメージって言うんだけどさ。

 それだけではなく、さらに弾き飛ばされた先のプレイヤーに再び突進攻撃をしかけてくるのだ。

 イメージでいうと、サッカーのリフティングだ。つまりサッカーボールがプレイヤーで、蹴る足がバトルボアだ。

 どうだろう、これでバトルボアがいかに恐ろしいモンスターであるかが分かってくれただろうか?


 さらにさらに言うとだ。このバトルボア、通路ルートでは絶対に1体でしか出現しないんだけど、部屋ルームの中だと最大で3体くらい同時に出現してね。

 これはパーティ組んでても全滅する可能性が濃厚になるよね。


「地下2階に降りた瞬間にいきなり難易度ぐっと上げてきたな。3階に下りるの怖くなってきたよ」


 私はなんとかバトルボアとの戦闘をこなしつつも迷宮地下2階の探索を進めた。

 そして探索開始から1時間半くらい。外の時刻はもう午後8時過ぎで昼から夜へと移行している頃、私は地下2階の探索を終えて地下3階へと繋がる階段があるであろう部屋の、1個手前の部屋にいた。

 地下3階へと繋がる階段のある部屋では、中ボス戦があるのだ。


 第1階層の迷宮では中ボスのナイトアーマーも結構強かったから。

 今回の中ボスについても油断しないようにしなければいけない。

 もっとも、今回私は事前に皐月さんから迷宮の中ボス、ボスの名前と容姿、主な攻撃方法等については聞いていたから実はそこまで警戒もしていなかったんだけど。


 私がその部屋に入ると、まず部屋の入り口が封鎖されて後戻りできなくなった。

 そしてどこからかともなく響く狼の遠吠え、それから地下3階へと通じる階段の下から私のいる部屋に駆け上がって来たのは花畑のエリアボスであるモンスター、ウェアウルフに似た狼男だった。


「ライカンスロープ……聞いていた通りだな」


 モンスター名、ライカンスロープ。


 そもそも狼男というのは大別して2つの種類に分けられているらしい。


 1つは、人間が何らかの要因によって狼男へと変貌するパターン。

 このパターンの狼男は、元が人間であるために知能が高いが、その分凶暴性はそこまで高くないともされている。狼男になってもなお人間としての理性が少しは残っているからか。


 そしてもう1つの狼男は、元が狼で、それが人間の知性を得て2足歩行になったパターン。あるいは、生まれついて狼男という生物として誕生したケース。

 こっちは知能もそれなりに高いのだけど、より凶暴性が高いとされている。


 一般的に、前者。元人間である狼男のことはウェアウルフ。

 後者、生まれつきの狼男のことはライカンスロープと呼称されているらしい。


「姿はウェアウルフの色違いだけど。こいつも凶暴性は高いのか」


 ライカンスロープは全体的に茶色っぽい毛並みで、灰色っぽい毛並みだったウェアウルフよりも幾分か獣っぽさは増してたみたいだったけど。


「先手必勝だな。ウィンドステップ!」


 私は戦闘開始直後にウィンドステップの魔法を使用し敏捷を強化。

 聞いた話によればライカンスロープは力と敏捷が高いが耐久と賢さはそれほどでもない。

 つまりはパワータイプのモンスターとのこと。これもウェアウルフと同じだな。


 そしてHPについてだが、なんと大ケージ2本。

 ああ、もう面倒くさいから大ケージ1本を100%としてHP200%って言うけど。


 敏捷についてだが、おおよそバトルボアよりちょっと遅いくらい。

 それでもめっちゃ速いことに変わりはないんだけど、ウィンドステップ使用後の私にとっては通常のウェアウルフほどの速さにまで落ちて感じられた。

 だが、力に関してはもう本当にやばかった。何がやばいってね、もう普通の爪でのひっかき攻撃で私にダメージを通してくるんだ。

 盾で防いでも3、防がなかったら12前後のダメージを受けた。これはやばい。


「くそ、面倒くさいな。……よし、麻痺らせるか。パラライズ!」


 ライカンスロープの攻撃方法は6つ。

 通常爪ひっかき攻撃。雷をまとってるっぽい爪ひっかき攻撃。かみつき攻撃。突進攻撃。

 やっかいなのは口からサンダーボールを連続で射出してくるのと、プレイヤーからいったん距離を置こうと飛びのく際に尻尾を大きく振って広範囲を攻撃するもの。


 雷属性の攻撃をしてくるから雷属性に耐性があるのかと思ったらそんなことはなかった。

 事実ライカンスロープにはパラライズの魔法が命中し麻痺(小)の状態異常に。

 これによってライカンスロープは攻撃行動を行おうとした時に体が麻痺して動かなくなったりという隙が発生し、私はその隙をついて攻撃、ダメージを蓄積させていった。

 そしてその麻痺の効果もあったからこそ、ウィンドステップの効果時間である3分が経過し、私の敏捷の値が元に戻ったところでも安定してライカンスロープにダメージを与えることができた。

 ライカンスロープには弱点はない。ただし火属性と闇属性に耐性があるため攻撃する際はそれ以外の属性で攻撃を行う。


 遠距離にいる時はアロー系の魔法で、近距離なら剣での物理攻撃でダメージを与えていった。


 そうしてライカンスロープのHPが残り50%(大ケージ1本の半分)ほどに減った時に、ウェアウルフがバーサクの魔法を使用したのと同様にライカンスロープも支援魔法を発動させた。

 ただ、その支援魔法はある意味デメリットが存在するバーサクよりも恐ろしいというか、より純粋な強化魔法だったようで。

 そして私が前から欲しいなと思っていた魔法でもあった。

 まあ、剛腕Ⅹのスキルを手に入れてからはそこまで渇望もしなくなったんだけど。


「あー、あれってもしかしなくても……」


 皐月さんからもあらかじめすでにライカンスロープのその魔法の使用と効果について聞いていた。

 ライカンスロープの足元に炎がうねりをあげてまとわりついていく。


 魔法、ファイアーステップ。

 その効果は3分間、力の値を25%上昇させるというもの。

 つまりウィンドステップの力上昇版ということだ。こっちは火属性の支援魔法らしいけど。


「いいね。これは絶対倒さないと」


 もちろんライカンスロープは迷宮の中ボスであり、迷宮の先へ進む上で絶対に倒さないといけない敵であることは最初から決まっていることなのだけど私はそこで改めてそう思った。

 ライカンスロープを倒したらもらえるであろう魔法に期待をこめながら。



<モンスター辞典>

〇ビッググリーンスライム

スライム族。グリーンスライムの強化版であるモンスター。

第1階層の迷宮に出現したビッグブルースライム同様に、主にダンジョン内の通路をふさぐ役割のあるモンスターだが、こちらもグリーンスライムと同じで移動はするが攻撃はしてこない。

ただし、通路の前後に出現し徐々にプレイヤーの方へ迫っていき、プレイヤーが2体のビッググリーンスライムに挟まれるとそこでダメージが発生し、かつプレイヤーは抜け出せなくなりダメージを受け続け死ぬことになるのでそこだけは要注意。

プレイヤー間では、でかくて動く的と呼ばれ親しまれている。

ドロップ:スライムの雫(緑)×3~4


〇ゴブリンアックス

ゴブリン族。木製の斧を装備したゴブリンで力が高い。

ただし、装備した斧が意外と大きいために敏捷が低く割と楽に倒せる。

斧を振り回す攻撃をしてくるが、実は5回に1回くらいの割合で装備した斧が手からすっぽ抜けてしまい、ただのゴブリンになってしまうのは有名な話。

落ちた斧を再び拾うとまた元のゴブリンアックスに戻るが、その後でまた手から斧がすっぽ抜けたりして、それを見たいがために迷宮へ潜るプレイヤーもいるとかいないとか。

ドロップ:木の斧、銅貨袋


〇バトルボア

獣族。ワイルドボアの純粋な強化版モンスターであり体躯も大きくなり牙も発達している。

下界で有名なあのジ〇リアニメのもののけなんたらの終わりの方で出てくる、体に白い文様をつけたイノシシの戦士たちと同じような容姿をしている。

プレイヤー間では半ばトラウマモンスターとも呼ばれているが、その理由は本編でご紹介の通りだ。

筆者は、このバトルボアはフォレストベア並みのやばさを持っているのではないかと思っています。

力、耐久、敏捷がすごく高いので迷宮内でのプレイヤーキラーと呼ばれていたりしてね。

ちなみに、実際第2階層の迷宮で、プレイヤーが死ぬ原因となるモンスターランキングではこのモンスターはボスに次いで第2位の死因となっている。(第3位が中ボスのライカンスロープ。)

ドロップ:イノシシの牙、豚肉


※ライカンスロープについては次回紹介。

そして次回は、ついに迷宮ボス戦です、が、1話で終わる予定。

理由は……この迷宮ボスが玲愛にとっては割と簡単に倒せるタイプのモンスターだったから!

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