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史上最高の贅沢  作者: 諏訪貴信


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2/10

考えるな!贅沢をするんだ!

第2話「贅沢とは、寝ることです」


青年の名前は、佐々木 修(28)。


職業、ごく普通の会社員。


趣味、昼寝。


特技、どこでも寝られること。


岡根財団・審査室。


スタッフが頭を抱えていた。


「次の応募者です。」


「どうぞ。」


修が入ってくる。


「応募内容は?」


「三か月、有給を全部使って寝ます。」


シーン……


スタッフ全員が固まる。


「……終わり?」


「終わりです。」


「夢とかないの?」


「寝ることです。」


「小学生か!」


AI岡根は腕を組む。


「なぜ寝る?」


修は真顔だった。


「社会人になって八年間、休日も資格の勉強、副業、自己投資……。」


「ふむ。」


「一度も『何もしない日』がありませんでした。」


「なるほど。」


「だから人生最大の贅沢として、何もしません。」


スタッフが少しだけ黙る。


……が。


次の一言で全部吹き飛ぶ。


「あと寝ぐせを世界記録級にしたいです。」


「そこかーーーい!」


一方その頃。


世界では贅沢バトルがさらに激化していた。


石油王。


「エベレストを貸し切りました。」


「登ったの?」


「ヘリで。」


「帰れ。」


世界的歌手。


「百万人だけのライブです!」


「それ普通にライブじゃ。」


「チケット十万円!」


「高いだけ!」


有名シェフ。


「一皿三億円のオムライス!」


岡根。


「ケチャップは?」


「市販品です。」


「そこ節約する!?」


毎日ニュースになる。


『本日の失格者・37万人』


スタッフは泣いた。


「もう番号札で呼びましょう。」


「現在、九万二千三百五十七番の方。」


「病院か!」


そんな中。


修はというと。


布団を買っていた。


店員が聞く。


「最高級羽毛布団、八百万円です。」


「いえ。」


「こちらのシルク布団、三千万円。」


「いえ。」


「では何を?」


修は指差した。


「この四千九百八十円ので。」


店員が二度見した。


「え?」


「寝られれば十分です。」


「贅沢選手権ですよ?」


「だからです。」


「意味が分からない!」


その映像を見た岡根。


「ふふふ。」


スタッフが驚く。


「笑った!」


「岡根様が初めて笑った!」


「ちょっと面白い。」


「え、本気ですか?」


岡根はモニターを見つめたまま言う。


「金を使わない贅沢もある。」


その瞬間。


財団に新たな挑戦者が現れる。


受付で堂々と言い放つ。


「私、世界一高い離婚をしてきました。」


受付嬢は思わず天井を見上げた。


「……今日はもう帰りたい。」


第3話へ続く。

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