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ヴァルディア戦記  作者: ユユ
7/17

変革

朝、学園の中央広場にて騎士候補生たちが集まっていた。

学園からの発表があるため、緊急集会が行われる。

「これで全員〜?意外と少ないね〜?」

ユーリが周りを見渡してそういうと

「ああ。二年は実地訓練で死ぬもの、辞めていくものなど人数は三分の一程度に減っている。」

なぜかユーリの隣にいたルシエラが答えた。

周囲のえ、なんでいるの?という視線を無視してルシエラは続ける。

「三年も十人程度しかいない。全員で二百人ほどしかいないだろう。」

この言葉にへ〜、少ないね〜とユーリが返すと

教壇に長い白髪に白い顎髭、穏やかな目をした老人が立った。

アルベール・ド・バレンティス、この学園の学園長だった。

広場にいた候補生たちが自然とその存在感に教壇の方へ向いた。

その視線を感じるとアルベールが

「一年は初めましてだな。私はアルベール・ド・ヴァレンティス。この学園の学園長だ。

今日集まってもらった理由は一つ。」

アルベールが静かに言う。

「君たち一年に関わる制度変更についてだ。

この学園の制度である二年からの実地訓練を一年時から行えるよう、本日より変更する。」

この言葉に広場がざわつく。

「おい、やっぱり噂通りだ!」

「どう選ばれるんだろうな?」

など、声が上がる。

アルベールは続ける。

「今回の制度変更の理由は隣国、グランゼルト公国との戦争に備えてだ。

皆も知っているかもしれんが、すでにこのヴァルディアはグランゼルトとの戦争に向けて準備をしておる。

これに伴い、優秀なものはなるべく早く騎士になってもらいたい。この思いから変更した。」

アルベールの説明に周囲が騒ぐ。

ルシエラがユーリに、「ユー、覚悟しておけ。

実地訓練では人が死ぬ。お前が死ななくても、お前の仲間が死ぬかもしれん。」

ルシエラがユーリにそういうと

「そうだね〜。ま、そん時はそん時だよ〜。」

軽い調子で返す。

ユーリの言葉にルシエラが笑顔でそうかと返す。

その時、学園長とユーリの視線が合う。

そして学園長は優しく微笑み、ユーリは笑顔のまま首を傾げながら、

「ねぇルーシー、学園長って騎士なの〜?」

そう聞かれるとルシエラが

「ああ、元騎士団長。この国の騎士団のトップだった。」

ユーリが驚いた顔でえ〜、まじ〜?と返す。

そんな様子の二人をよそにアルベールは続ける。

「一年の実地訓練は全員ではない。教師による推薦、もしくは実技による試験に合格した者のみだ。

班ごとに詳しい説明があるだろう。

なお、留学生はそれぞれ国からの指示がある。

後ほど、連絡が来るだろう。参加可能な場合は君たちも対象となる。皆、励んでくれ。以上だ。」

そういうと学園長は教壇を下りる。

広場全体は騒然としていた。


昼休み

四班のメンバーは集まっていた。

リズが

「ねぇ!みんなは試験受けるの?」

そういうとアルノーが

「まあ、受けようとは思うけどよ……死ぬかもしれないんだよな……?」

アルノーがそういうと皆が黙る。

そんな中ユーリが

「でも、騎士になるってそういう事じゃ〜?」

その言葉にアルノーが

「そりゃそうだけどよ……。実際、本当の殺し合いって考えると怖えよ。」

アルノーの言葉にリズとノアが私も……と続く。

重い空気が漂う。

そんな中ユーリが

「アイクはどうするの〜?国はなんて〜?」

留学生のアイクに聞く。

アイクは

「国からは、ヴァルディア国内の治安維持等の実地訓練であれば参加は可能。でも、グランゼルトとの戦争には関与してはならないだってさ。ま、妥当だね。

今回の実地訓練はグランゼルトとの国境付近の警備だから僕は参加できないな……。」

これにユーリはそっか〜と返す。

ユーリの軽い調子にアルノーが

「お前は変わらねぇな。教官から実地訓練の推薦受けたんだろ?緊張とかないのか?」

「な〜い。弱い奴は死ぬ。それだけのことだし〜。

で?皆は怖いからやらないの〜?」

ユーリに聞かれると四班のメンバーは

「……いや、俺は試験受けるぞ。ま、お前の言うとおり、騎士になるってそういうことだしな。」

「うん!そうだね!私も受ける!」

「……うん、私も……!」

アイクを除く、四班のメンバーが実地訓練の参加試験を受けることを決意した。

その時、フレイヤとミハイルが近づく。

フレイヤが

「ねぇ!ユーリ、私も参加するからよろしく!」

そういうとユーリが

「え、そうなの〜?国許したんだ〜」

「うん!うちの国からは個人の判断に任せる。だってー。だから、私は参加するー!」

フレイヤがそう言うとミハイルが

「僕も参加します。国からも参加してもいい、と指示が来ました。帝国とグランゼルトは昔から仲悪いので、今回の件で完全に揉める気ですよ〜。あはは。」

と続いた。

二人の言葉にユーリがそっか〜、よろしく〜と返すとミハイルが

「推薦といえば、我々以外にも一人、クロードさんも参加するそうですね。」

この言葉にフレイヤとユーリが

「そりゃそうだよ〜。」

「ま、アイツはそりゃ参加でしょ!」

留学生二人の参加が決定した。


そして翌日、実地訓練の試験が行われた。

副学園長のローランが

「これより、実地訓練参加試験を行う!

この試験はいつもしている模擬試験と同じだ。

お互いの陣地にある旗を取り合う。

今回の試験では実際の武器を使用する!

そしてチームだが、推薦された四名を含む合計七十四人全員、そして相手は一年の教官四人だけだ!」

この言葉に参加者たちは

「え?そりゃ流石に余裕なんじゃ……」

「これ試験になんのか?」

とさまざまな反応がでる。

そんな様子に構わずローランが

「また、教官に失格と言われたものはその時点で失格だ!

また、実際の武器で行うが、危険のため教官側は弓の使用はしない!では、準備を!」


一年は推薦組の四人を中心に大きな縁を作る

作戦を立てる中心はクロードだった。

「この中に相手はたった四人だから簡単だと思っているものは?」

クロードがそう聞くと縁の中の過半数が手を上げた。「だって四人だぜ?逆にどうやったら負けんだよ?」

「だよな、弓を撃ちまくれば余裕だろ。」

「てか、教官って強いのか?」

など声が上がる。

その声にクロードが

「お前たち、この国の騎士団一人一人にランクがあるのは知っているか?」

そう言うと先ほど手を上げたものの一人が

「ああ、S〜Fまであるんだろ?」

その声にクロードが

「そうだ。教官たちは四人全員A級だ。」

この言葉に先ほどまで余裕の表情を浮かべていたものたちの顔が青ざめる。

この様子にユーリが

「A級ってそんなに強いの〜?」

クロードに聞くと

「ああ、A級騎士はこの国を代表する主力だ。

最も最前線に立ち、結果を残し続けた皆が憧れる騎士の目標だ。」

「え〜、S級じゃなくて〜?」

「S級は例外だ。あれは象徴のようなものだ。」

クロードの言葉にユーリが象徴〜?と首を傾げる。

そんなユーリをよそにクロードは続ける。

「いいか俺たち推薦された四人はともかく、お前たちはランクでいうとFランクすらない。まだ騎士ではないからな。騎士のエリートに騎士見習いが挑む。この数では、むしろ足りないくらいだ。だから、油断するな。」

クロードの言葉に皆が頷く。

その様子をみてクロードが続ける。

「では、作戦を立てる。防衛はミハイル・レヴァイン、お前がやれ。指揮もな。」

そう言われてミハイルが

「いいですよ。落とし穴、たくさん作りましょう。

クロードさん、ハマらないでくださいねー?」

ミハイルが揶揄うように笑いそう言うとクロードが一瞬目を細めるがすぐに向き直り、続ける。

「防衛には四十人。残りは前線にて俺が指揮を取る。

フレイヤ・ルーン、お前も前線だ。」

クロードの指示にフレイヤが

「よし!おっけー!」

そして、クロードがユーリを見て

「お前は好きに動け。」

それだけ伝えてユーリがおっけ〜と言うと

クロードが

「では、配置につけ。何度も言うが油断するなよ!」

そう言うと皆がおお!と言い、配置につく。


その様子を敵陣から眺める教官達の姿があった。

「……さて、作戦は?」

四班の教官、カインの言葉に三班の教官であるエレノアが

「私は自陣にいる。バルタス、お前は前線。ルシアン、お前は真ん中にて防衛と攻撃バランスを見て判断しろ。カイン、お前は……好きにしろ。以上だ。」

エレノアの指示にそれぞれが

「しゃあ!やるぜー!」

「よかろう。」

「……では、そのように。」

そう言い各々が配置につく。


ローランが

「それでは、試験開始!」


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