逃走は何処までも(行けません)
ヒュンヒュンと景色が後ろを過ぎ去る。
いや~~風が気持ち良いですね~~。
というか景色があんまり変わらん。
「ではなく」
思わず現実逃避していた。
パンパンと明らかに後方から銃声がするが気の所為と思う。
炸裂音がしませんから。
パキンッ!
してないと思う。
パキンッ!
パキンッ!
……してるね。
「どうしたの?」
「この状況に僕は疑問に思う」
「何が?」
本気でわからないという顔をしてるよ此の人。
「大の大人が女の子にお姫様抱っこされてる状況だよ」
泣いてもいいかな?
中年がこの状態って……。
心にクルな~~。
「おや~~女の子扱いしてくれるんだ」
「第三者がみたらね」
ニシシッと笑う日高姉さん。
うん。
此の人見た目は可愛いんだよ。
見た目は。
「仕方ないじゃない此れが速いし」
ぶ~~と頬を膨らませる。
「まあ~~万年運動不足中年の足は遅いからね~~誰がだっ!」
僕は思わず右手でツッコミをする。
「セルフツッコミと高度なボケを」
アパートとから逃げ出した僕たちは追跡を逃れるため走っていた。
家の屋根の上を文字通り跳んで。
但し僕を日高姉さんが僕を抱えてだが。
普通の人間に出来ることではない。
日高姉さんたちだから出来ることだ。
「其れで助けは?」
「一時間後だとおもう予測だけど」
お守りを弄りながら僕は答える。
救難信号は発信した。
だけど問題は返信が来ない。
恐らく妨害電波か何か。
或いは……此の代わり映えのない景色。
此れが関係してると思う。
多分。
嫌な予感がする。
――ザザッ。
うん?
何か視界の端で何か……。
気のせいかな?
異変に気がついて来て最短で其れぐらいと予想したのだが……。
無理かな?
「遅いな~~」
「仕事してるのに文句言うな」
「え~~」
ご不満みたいだ。
正気か?
此の人?
「いや無茶言うなや日高姉さん」
「護衛対象を放おって?」
いや分かるけど。
分かるけどさ~~。
「生活費は大事です」
僕ら逃亡者何だけど?
逃走資金なんて洒落た物無いよ。
分かってる?
「へいへい」
「因みに日高姉さんが生活出来るのも皆んなのおかげだよ」
「へ~~い」
日高姉さんだけは無職です。
色々してますので。
色々。
破壊工作とか。
情報収集とか。
潜入捜査とか。
僕の護衛とか。
色々無給で。
「はいはい~~プータローは其れまで時間を稼ぎますか」
……正直すまんとしか言えん。




