さらなる不審者はもういいです
そう言いながら日高姉さんは走る速度を上げる。
ビュンビュン風が顔に当たる。
正直目を開けるのが辛い。
時速六十キロでも正直信じるぞ。
此の速度は。
明らかに生身の人間が出せる速度ではないが。
というか生身の割合が少ないのだが。
「其れで何処に行けば良いと思う?」
「あ~~」
その時だった。
不意に声がしたのは。
「其の必要は無い」
――ザザッ。
周囲の景色にノイズが走る。
そうノイズ。
其の事実に僕たちは思わず足を止める。
というか日高姉さんの足がだが。
「ナノマシンによる光学映像?」
「その通りっ! プロフェッサ―神埼」
「誰其れ?」
背後から声を掛けられたのでとぼけます。
「貴方のことです稀代の天才プロフェッサ―神埼っ!」
「いや天才ではないのですが」
いやガチで。
「八歳で思念顕現化理論の基礎を作り」
「其れ唯の漢字の書き取りのミスです」
「九歳でサイバネティックス新理論を提唱し」
「唯の寝言です」
「催眠療法と薬剤投与による人体の強化を」
「あ……催眠術だけはソコソコ出来ます」
「どうしても認めない気だね」
というか話聞く気無いだろう?
「うん?」
「おや?」
今まで屋根の上と思っていた場所はとある路上である。
見慣れた場所だ。
其れは当然だ。
十三人目の英雄と遭遇した場所だ。
「日高姉さん~~偽装されてたの分からなかった?」
「御免~~周囲の探索までして無かった」
「はあ~~」
僕は日高姉さんに降ろして貰うと周囲を見渡す。
其処にいたのは昔の顔なじみがいた。
迷彩服を着て此方にアサルトライフルを向けてる面々。
その傍にはランドセルのような機械を背負った兵が数人居る。
アレがこの状況を作り出した元凶。
周囲に散布したナノマシンに好きな映像を送信。
ディスプレイ化したナノマシンが映像を映す。
光学迷彩の発展型試作機。
いわば専用の眼鏡の要らないバーチャル映像みたいなもんだ。
此れを使用できると部署は多くない。
其の一つが大日本帝国特殊部隊。
いや。
マテ。
何でコイツラが出てくる?
意味が分かりません。
其の中一人が此方に近づく。
「お久しぶりですね杵築大尉」
「今は少佐です神埼どの」
うわ~~い。
よりによって此奴か~~。




