新ヒーロ―誕生? 其の名は?
そう思いながら僕は新たな被害者をみた。
新たな被害者だよな?
うん。
「とうっ!」
「ワオオオオオオ~~ンッ!」
空中で宙返りをした糞餓鬼は着地。
そのままポーズを決める。
其の頭部に柴犬が降りてくる。
顎を大きく開けて。
成る程。
コイツは融合型か。
融合型。
主に制作されたサイボーグの後半に開発された機体。
人と機械若しくは動植物或いは昆虫と融合させた存在。
極めて高い融合を果たした其れは最早新人類と呼んで良いだろう。
だが其れは悪用すれば極めて凶悪な代物に成る。
人は其れへと至る技術を悪用して新人類になった者を怪人と呼んだ。
それはそうとコイツが融合型か……。
通りでストレス獣相手に自信満々で姿を表すと思った。
其れが此の少年自信の現れ。
生身でストレス獣の前に姿を晒す馬鹿でないといいう訳か。
「合体っ!」
「オオ~~ン」
ガブウウウウウウウウウウウウウッ!
柴犬は少年の頭部を噛む。
其れはもう力一杯。
恨みを込めて噛んでるのが分かる。
「変身柴犬ライダーッ!」
決めポーズをしている少年。
ドバドバ。
というか……。
「待てええええええええええええええええっ!」
「ヴエ?」
僕の声に思わずたたら踏む少年。
其の顔は不満そうだ。
まあ~~気持はわかる。
分かるんだけど……。
「其れの何処が変身なんだっ!」
「えっ!?」
僕の言葉に驚く少年。
まて。
何だ其の何言ってんだ此奴という顔は?
僕が言いたいんだが。
「何処からどう見ても変身してるんじゃないか?」
「何処がだっ!」
「え~~酷くない?」
ドバドバ。
「何処がだっ!」
「顔を覆う感じの仮面はヒーローの証だよ」
「違うだろうっ!」
「何処から見てもヒーローじゃん」
ドバドバ。
「何処がだっ!」
「え~~」
慥かに此の少年は顔を覆う仮面を被っている。
赤く。
真紅の仮面。
仮面らしき物。
見た目は仮面に見える代物。
「仮面ヒーローに見えないなんてオジサン……」
「やめろ僕が異常なように言うな」
「え~~~」
うん。
拗ねるな糞餓鬼。
確かに仮面に見える。
見えるけど……。
だけど実際は違う。
仮面の正体は血だ。
ドバドバ。
正確に言えば柴犬に噛まれた所が流血し仮面のように見えるだけだ。
というかよく仮面に見えるように流血してるな~~。
「変身を維持できるのは三分のみ」
「だろうね」
うん。
怒涛のように血が流れてるし。
「行くぞっ!」
ストレス獣に突っ込む少年。
柴犬を頭に噛ませたまま。
「ストレスウウウウウウウッ!」
ストレス獣は少年を叩き潰すべく殴りかかる。
またもに喰らえば少年の頭部は石榴の様に弾けるだろう。
「柴犬ライダーパンチイイイイッ!」
ストレス獣の攻撃を片手で逸す。
そのままストレス獣の懐に入り込むと渾身の一撃を決める。
「ギヤアアアアアアアアアアッ!」
ズドオオオオオンッ!
一撃粉砕。
細い腕から繰り出された拳。
其れはストレス獣を唯の一撃で粉砕した。
「嘘だろおおおおおおおっ!」
「ビクトリー」
思わず僕が驚愕の声を上げたのは仕方ないと思う。
色々突っ込みたいことは有る。
有るが眼の前の現実に僕は呆然とする。
素手でストレス獣を?
生身で?
え?
マジで?
「ではさらばだっ!」
その場を去る少年。
頭に柴犬を噛ませたまま。
「え~~~」
後には現実逃避した僕だけが残された。
マジか~~。
え~~~。
というか柴犬を離せよ。
出血多量で死ぬぞ。
うん。
……頭痛い。




