第21話「精霊の祝福」
ずいぶんと間があいてしまい申し訳ありませんでした!
今日から完結まで、毎日更新予定ですので、よろしければまた読んでいただけると嬉しいです。
「精霊の祝福?」
リンの言葉に、その場にいる全員が首を傾げた。
精霊の祝福なんて言葉、聞いたことがない。
博識な兄ですら、眉を寄せてリンを見ている。
「そう。精霊の悪戯って呼ぶ人もいるけれど、とりあえず、魔力と魔力を繋ぐことをそう呼ぶの」
「繋ぐっていうのは?」
私がそう聞き返すと、リンは少し考えてから、魚フライを作るとするの、と言い出した。
「フライをつくるとき、小麦粉とパン粉の繋ぎに、卵を使うの。その卵が、精霊の祝福なの」
わかるような。わからないような。
「精霊の祝福はあくまでつなぎ。小麦粉の量とパン粉の量がちょうど良くないと、フライは失敗するの。おんなじ。繋いだ魔力の量に差がありすぎると、いま見たみたいにうまく制御できないものになるの。第一王子は、魔法の才能がないのね」
「そんなことありませんっ!」
リンの失礼な言い方に怒ったような声を上げたのはアリスさんだった。
ギルバート様は苦笑いをしてアリスさんの頭をぽんぽんと撫でる。
「アリス、君に比べたら大抵の人間は才能ないことになるのだから気にしなくていいぞ」
「そうなの。あなたの魔力量に相対できるのは、あなたの近くだと第二王子くらいなの。でも、貴方と第二王子の間では、祝福は得られないの」
リンはのんびりとお茶を飲む。
聞き返したのはこんどはジェイク様。
「それは何故だ?」
「祝福を受けるには3つ条件がいるの。女性側が精霊に好かれていること。その女性と想いを重ねた魔力を持った相手がいること、あと、双方が転生者であること」
「は?」
「え?」
「ほう」
「あら」
最後の条件に、部屋にいたお兄様以外が同時に声をあげた。
ちなみに、「え?」が私である。「は?」はジェイク様。
「リン、貴方私が転生者だと教えてくれたとき、稀有な存在だとか言ってなかった?」
「そうなの」
「この空間に4人もいるの、おかしくないかしら?」
「おかしいの」
「おかしいのって!?」
「リーア、落ち着いて。らしくない口調になっているよー?」
リンに食ってかかるような口調になった私を、お兄様が止める。
あまりの衝撃に我を忘れかけたけれど、そんな私をジェイク様はじめ、みんなが少しぽかんとした様子で見ていた。かぁ、と顔が熱くなる。
あまりの恥ずかしさにちょっと泣きそうな気持ちになったのを和ませて?くれたのはジェイク様だ。
「そんなリーアも可愛いな」
「え、は、あ、…あの…」
違う意味で恥ずかしくはなったが。
「それにしても、リーアちゃんも転生者だったのね。以前夢の噂がでたときにそうかなぁとは思っていたけれど」
「私は、ギルバート様やアリスさんが転生者だったことが、とても衝撃です」
「うふふ、また転生者同士、またゆっくりお茶でもしましょうね」
アリスさんがゆったりと微笑んだところで、ギルバート様がリンに聞いた。
「その、精霊の祝福というのが我々に起きていることだというのは分かったが、リンはなぜそれを知っているんだ?」
リンは小首を傾げて、「私が、精霊の王だからなの」と言った。
「「「「「は?」」」」」」
今度は、その場にいる全員の声が揃う。
「私は、精霊の頂点。精霊のことで知らないことはないの。精霊は世界を跨いで情報や感情が共有されるから、竜王と、ユキコのそばにいた精霊たちのことも知っているの」
「ウィンと、ディンを、知っているの…ですか?」
王だと聞いて、思わず口調を改めると、リンがふ、と微笑んだ。
「私は精霊王だけど、この世界の占い師のリンなの。そんな丁寧な言葉はいらないの。…、ウィンとディン、貴方と竜王を思ってたくさん泣いていた。とっても辛くて引き裂かれそうなほど胸が痛かったの」
「…っ」
「さっきも言ったけれど、精霊王はいろんな精霊たちの感情を共有するから、もうあんな悲しい思いは懲り懲り。でも、貴方がたくさん笑ってといったから、あれから彼女たちは毎日を大切に、幸せに生きた。あんなに悲しい思いをしたけれど、あの2人は不幸にはならずにすんだの。貴方のおかげ。ユキコの生まれ変わりにあったら、いつか、お礼を言いたかったの。ありがとう、リーア」
ユキコさんの感情は、私のものではないけれど、魂が、震えた気がした。
ぽろぽろと涙が溢れる。
そんな私を、ジェイク様がぐっと抱きしめてくれた。
「さて。貴方たちが知りたいもう一つのことも、教えるの」
リンは、そう言って残っていたお茶をくっと飲み干した。
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