第19話 翌朝の話
読んでくださってありがとうございます。
今回は少し短めです。
<修正>2020年1月28日。ギルベルトではなくギルバートだったので、名前間違えてましたすみません…。
目が覚めると、いつもの私の部屋の天井が目に入る。
夢じゃないらしいそれは、夢じゃないくても寝ている間に見ていたものだったらしい。
エレナに用意してもらって身支度をして食堂に向かうと、その途中でジェイク様に会った。
「あ、ジェイク様、おはようございます」
「ああ、リーア、おはよう」
ジェイク様の反応を見ていると、昨日の夢がやはり夢というわけではなかったという実感が得られる。
竜王は言った。
私の魔力が変化する、と。
それっていったいどういう事なんだろう。
「ジェイク様、おはようございますー。リーア、今日もいい朝だねー」
「お兄様、おはようございます」
「ラディアス、おはよう」
我が家は基本、全員きちんと身なりを整えてから、そろって朝食をとっている。
ジェイク様がいることもあって、いつもより少し早い時間だったけれど、今日もみんな食堂に揃っていた。
座席はジェイク様が最上座、ついでお父様、お兄様、お母様、私という順番だ。
私たちより少し先に来ていたらしいお父様やお母様がまずジェイク様に挨拶をして、そのあとお兄様が、ジェイク様にぺこりと頭を下げた。私にも声をかけてくれる。
お兄様は、眼鏡をかけたそばかすがチャームポイント(自称)の少し小柄な青年だ。
小柄ではあるものの、私と同じ師を仰いだ剣術は師範代だし、日々王立図書館で雑務もこなしているから筋肉もあるし、阿呆みたいに頭もいい。
改めて思う。我が兄ながら、なんだこの規格外。
「リーア?どうしたのー?」
「いいえ、お兄様って規格外だな、と思って」
「えー?僕が規格外だっていうなら、ジェイク様の魔力もたいがいじゃないー?」
のんびりとした口調は兄の癖のようなものだけど、ジェイク様にもそのまま喋るのはいかがなものなのだろう。
「にしても、急にジェイク様が我が家に泊まるとは思わなかったなあー。王族ってそういうのありなんですねぇ。ギルも…あ、ええと、ギルバート様もアリス様のところに泊まることあるんですか?」
「ギルでいいぞ、ラディアス。兄と貴方が仲が良いのは知っているし、ここは公式な場ではないからな。アリスさんのところへ泊まるというのは聞いたことがないな。清い付き合いをしていると宣言していたし」
基本的に呼び捨てにするジェイク様がアリスさんに敬称をつけたのは多分、義姉になる相手だからかな。そんなふうに思って聞いていると、兄がほけほけとした口調で爆弾を落とす。
「ということは、ジェイク様とリーアは清くないお付き合いをー?」
「ぶっは!?」
お茶を吹いたのはお父様。
お母様は爆笑を堪えきれない様子で下を向いて肩を震わせている。
私自身は「何をいっているんだこの愚兄は」という感想を持って冷ややかな目で兄を見つめてみたが、ジェイク様は。
「な、ななな、何をいっているんだラディアス!?昨日だって別室を準備してもらったし、客間で夜の挨拶をしてからは会ってすらいないぞ!?あ、いや、夢の中ではあったか?!いやでも」
「夢で逢うだなんてなんてロマンティックなんでしょうー。リーア、愛されてるねぇ」
「お兄様、そろそろ黙ってくださる?ジェイク様も落ち着いてくださいませ」
私は夢の中の話をする。とあるという言葉を出した瞬間に、お兄様は固まった。
「邂逅の場?」
「ええ。竜王はそう仰ってました」
「へえ、本当にあるんだ」
「お兄様、何かご存知なのですか?」
「いや、ううん。昔文献で読んだことがあって。民承系の文献だったから、ただのおとぎ話かと思ってたんだよね。だからちょっとびっくりしただけ。で、もう少ししたらリーアの魔力が変化するって言っていたんだよね、その竜王は」
「ええ。変化、というのが何を指すのかはわからないのだけど…。まさか属性自体が変わってしまうとは考えにくいし…」
私たちの話を聞きながら、お兄様はうーん、と唸ったあと、「ギルに相談してみようか」と言った。
「兄上に、か?でも何故」
「ギルの大学部の卒論の最初に選んだテーマ覚えてらっしゃいますか?」
「え?ああ、そういえば途中でテーマ変えていたか…。最初のは、ええと、確か『他人の干渉による魔力の属性の変化』…あ」
「アリス様の魔力の質が変化したことをきっかけに研究テーマに選んだはずなので、もしかしたら王族と恋仲になると、そういうことが起きるのかもしれませんねー」
恋仲になると、あたりで顔に熱がこもる。
ふと見るとお父様が妙にぷるぷるしているが、いったいどうしたんだろうか。
読んでくださってありがとうございます!
ラディアスは第一王子ととても仲良しですが、側近になることはありません。




