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ぼっち令嬢と元竜王  作者: ゆるゆる堂


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第17話 貴方の隣に

「リーア、柄にもなく緊張しているのか?」

「ジェイク様、柄にもなく、はひどいですわ」

「ははっ。今日も可愛いな」

「……」


 この人の、甘さは慣れない。

 心と心が結ばれたといっても、慣れないものは慣れない。

 もともと異性との関わりなんて家族くらいだ。

 対人コニュニケーションが苦手、というほどでもないが、ぼっちだった期間も長いし、そもそも家族や使用人以外を大切に興味を持って関わったこともなかったのだ。

 たかだか3ヶ月で慣れるはずもないだろう。

 それについてはだいぶ後悔しているが、今更どうしようもない。

 あと1時間後に迫った婚約発表パーティ。

 顔には出ていないと自負しているが、それはもう気分が悪くなるレベルで緊張している。


(大丈夫)


 作法の復習も何度もした。メイクもドレスもきちんと仕上げてもらっているし、体調も整えた。

 となりには、ジェイク様もいてくださる。


「セットしてあるから撫でられないのが残念だが」


 ジェイク様は私の手を握る。


「大丈夫。俺もいるし、リーアなら問題無い。絶対だ」

「…、ありがとうございます」


 恋を自覚したからなのか、いや、ジェイク様と過ごすようになってからずっとかもしれない。

 彼の言葉は、ゆっくりと私の中に入ってくる。優しく、あたたかい。


「……」

「リーア?」


 しかし、やはり頭からリンの言葉は離れない。いろいろなものが、私たちの光に惹かれてやってくると、彼女は言った。

 ジェイク様と相談して、国王様にはこのことを伝えてある。国王様曰くリンの言う通り私たちの光は少しずつ大きく、美しくなっているそうだ。そして、小さな“悪いもの”(国王様には黒いモヤのように見えるらしい)は確かに減ったようだと。

 それと同時に、この国に“悪いもの”が入ってこようとする動きも確かにある、と。

 そんな大きな悪を呼び寄せてしまうのであれば、私がジェイク様と結ばれるのは、よくないことなんじゃ無いかと思ったが、国王様は首を横に振った。

 君たちは、君たちだ。立場はあれど、想いは自由だ、と。

 『小さな悪意が減るだけでも正直助かるし、ジェイクは恐ろしく強いから、今入ってこようとしている悪いものなど、彼がいれば虫を払うのと変わらないさ』とウィンクまでしてくださった。

 それでも。


「リーア。君が考えていることをあてて見せよう」

「え?」

「自分が俺と結ばれることへのデメリットを不安に思っている」

「…、お見通しですか」

「日は浅くとも、俺はリーア研究の第一人者だからな」

「なんですか、それ」


 ジェイク様の言い方に思わす吹き出す。


「大丈夫。この先何があるかは俺にも分からないけれど。貴方のことも、この国も、どちらも守れる選択を俺はしてみせる。どちらかを天秤にかけて、貴方が悲しむような選択はしない。守るよ」


 ジェイク様の言葉に、ちくっと苦いものを感じて、まっすぐと彼を見上げる。

 前世の私もそうだったけれど。


「私も、守りたいです。守られるばかりでなく」

「!」


 貴方のことも、国のことも。

 守られるばかりなんて、そんな情けないことは嫌だ。

 私だって王族の婚約者、いずれは王族の一員となる覚悟は決めている。

 だからこそ、自分が国の影になるかもしれない不安、認めてもらえるかどうかの不安がつきまとうのだ。後者に関しては、出来る限りの努力はしてきたけれど。

 前者については何をどうすればいいのか…。


「っ、そんなリーアだからこそ俺h」

「あっ!!そうですわ!!」

「!?」


 あら、ジェイク様が苦笑いをしていらっしゃる。


「あの、わたくし、もしかしてジェイク様のお言葉を遮ってしまいました…?」

「あ、いや、…で、なにが『そう』なんだ?」

「ああ、ええとリンに会いたいと思いまして」

「リンに?」

「ええ」


 光、悪いもの、前世。

 それを教えてくれたのはリンだ。

 ならば、悪いものに対して私ができる何かがあれば、彼女ならなにかヒントをくれるかもしれない。

 そう。悪いものに対して私が、対処できることがあるなら、それは学ばないと。

 ありがたいことに、魔術の素養は普通にある。(ジェイク様ほどの才能はないけれど)


「…、貴方はどこまでも俺の隣に立とうとしてくれるんだな」

「?」

「守られる、ではなく。…ありがとう。パーティが終わったら、正式にリンに依頼を出してみよう。忙しい占い師だからいつ捕まるかは確約できないが」

「ありがとうございます。ああ、そろそろ時間ですね」


 話し込んでいて、いつのまにか緊張が溶けていることに気づく。

 ジェイク様が先に立ち上がって、私に手を差し伸べた。


「さあ、リーア。やっと貴方をみんなにお披露目できるのが、俺は楽しみで仕方がない」

「プレッシャーかけないでくださいませ、やっと緊張が溶けてきたのに…」

「大丈夫。さあ、行こう」


 ジェイク様の手を取って、立ち上がる。

 いつのまにか来ていたガイアスとエレナが、扉を開けて待っていた。


「「いってらっしゃいませ」」


 嬉しそうな二人の声を背に、私たちは部屋を後にした。

更新遅くなり申し訳ありません。

読んでくださってありがとうございます!

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