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英雄  作者: まれ
過去と進歩
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13/14

事故

猫かぁ…いやだなこの依頼。そんなことを思いながら俺は学生たちが帰ったこのAUでくつろいでいた。花ちゃんは女の子二人が飲んだコーヒーの後片付けをしている。あぁ、そういえば…すっかり忘れてた

「ねぇ花ちゃん、ちょっときて」

「はい?今行きます」

花ちゃんが俺の目の前に来る。近くで見ると本当に可愛らしい子だ。

「これ…姉さんが渡してくれだってさ」

「えぇ!わ、私にですか?」

「うん。なんでも、私の子がご迷惑かけてます。今後も面倒見てやって下さいとのことだと。」

「なるほど…。でも受け取れないですよ」

「いーのいーの。貰っといて俺が怒られんだから」

俺は茶封筒を花ちゃんに渡した。

「よし、明日から行動開始。がんばろーね」

気の抜けた、自分でも情けない声だった。

翌日、子猫を預かってくれる人を探すためのポスターを張って周っていた。

「とーまさん…本当にこれが最善策なんですか?」

花ちゃんが聞く。声は心なしか寂しそうに聞こえた。

「うん。これが最善」

「全然…そんな感じがしないですよ…。前のとーまさんはもっとスマートに行動力抜群だったじゃないですか!」

「前は前、今は今。依頼のジャンルが全然違うでしょ」

「でも…でも」

「うるさいなぁ、文句があんなら案の一つでも出してみなよ」

「…分かりました。一人になって考えますよ!」

花ちゃんはポスターを俺に投げつけ走り去っていった。女の子にあんな乱暴な言葉を放ってしまった…。最悪だな…。俺は足元に散らばったポスターを拾いながら、色々と考えを巡らせていた。決して最善ではないこの方法を他所に。


ポスターを張ってから数日経った。夕日がいい感じに自分の机を照らしている。依然として連絡はない。花ちゃんもしばらくAUには顔を出していない。早く謝っときたいのだが…。その時だった。ベルの音よりも大きく、ドアが強く開いた音がした。花ちゃんが入り口に息を切らせてたっていた。

「ど、どうしたの」

「いいから…はやく…来てください…」

花ちゃんについていく。行き先は猫を置いておいた公園だった。学生組全員がダンボールを囲っている。その中心にいた猫はひどく衰弱していた。

「な、なんでこんな弱ってるの…?」

「た、多分自分より大きな動物と喧嘩したんだよ…。」

倉盛さんが泣きながら口を開いた。

「倉盛さんは…なんでそんなこの猫に必死なの?」

あの涙の訳を俺は知りたかった。

「私が子供の頃ね…。神社近くの公園で遊んでたときに子猫を見つけたの。友達とお世話しようって言ってたんだけど、結局私達の世話が下手で…そのこ死んじゃったの…。もう助けられないのは嫌なんだ…」

涙混じりのそのこえで語られた過去は、俺と同じジャンル。猫へのトラウマだった…。俺とは180度違う、守ろうというトラウマ…。

「はぁ…」

気づいたら俺はため息をついていた。なんのため息だ?答えは考えるまでもなかった。

「俺が預かるよ…。その代わり成功報酬はきっちり貰うからね」

女子二人が歓声を上げた。悪い気分はしなかった。

「ありがとう!ほんとにありがとうとーま!で、また拡散すればいいの?」

「いいや」

まったく俺はお人好しにも程があるな。

「この子に名前…つけてやって」

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