第4話「街に潜む不思議な光!? 新しい出会いの予感!」
○天宮家・璃音の部屋/朝
朝の光が差し込む部屋。
鏡の前で髪を整えている璃音はお気に入りのヘアブラシを手に、前髪の具合を何度も確かめていた。
「うん!今日も完璧!」
鏡に映る自分の姿を見て、満足そうに頷く。
「何故なら、ボクは世界で一番かわいいから!」
身支度を終えた璃音は、部屋を出て階段を下りていく。
○天宮家・ダイニング/朝
テーブルには朝食が並んでいる。
天宮家の料理は当番制になっており、今日は瑠音の母が料理を作ったのだった。
トーストにスクランブルエッグ、ソーセージ、サラダ、模範的な朝食だった。
璃音の母親は食卓につき、璃音も向かいの席に座った。
「璃音、今日は帰りが遅くなるの?」
「うん。由衣とちょっと用事があるんだ!」
「そう。由依ちゃんによろしくね?それと、あまり遅くならないように。ね」
「はーい!」
朝食を終えた璃音は、鞄を持って玄関へ向かう。
「いってきまーす!」
「いってらっしゃい」
玄関の扉を開けると、ちょうど由衣が待っていた。
「おはよう、璃音」
「おはよう、由衣! 今日もよろしくね!」
二人は並んで学校へ向かっていった。
○佐藤家・リビング/放課後
放課後。
璃音は由衣と一緒に、佐藤家を訪れていた。
「お待たせー!」
「来たな、璃音」
テーブルの上で、ルクスが二人を迎える。
「今日も特訓するの?」
「いや、今日は少し違う。先日から感知している魔力反応について、もう一度調べておきたい」
「この前の不思議な光?」
「そうだ。まだ正体が分からぬ以上、警戒は必要なのだ」
「そっかあ……。今日は街の方を調べてみようよ!」
「調べるのはよいが、むやみに動き回るのは感心しないぞ」
「分かってるってば!」
由衣は二人のやり取りを見て、くすりと笑った。
「じゃあ、必要なものを買いに行くついでに、街を見て回ろうか」
「いいね! 賛成!」
「……仕方ない。私も同行しよう」
○街・雑貨店/放課後
街の雑貨店。
店内には色とりどりのアクセサリーや小物が並んでいる。
「わあ……! 見て見て、由衣!この髪飾り、すっごくかわいい!」
「本当だ。お花の形をしてるね」
「こっちのリボンもいいなあ……。うーん、どっちにしようかな!」
璃音は棚の前で真剣に悩み始める。
由衣はそんな璃音を微笑ましそうに見つめていた。
「璃音は本当にかわいいものが好きだね」
「当たり前でしょ!かわいいものは、見ているだけで幸せになれるんだから!」
「ふふっ。そうだね」
璃音はしばらく悩んだ後、ひとつの髪飾りを手に取った。
淡いピンク色の花をあしらった、小さな髪飾りだった。
「ねえ、由衣。これ、由衣にも似合うと思うんだけど」
「えっ、私?」
「うん! ちょっとつけてみてよ!」
「で、でも……私には少しかわいすぎないかな?」
「そんなことないよ! ほら、じっとしてて!」
璃音は由衣の髪に髪飾りをそっとつける。
「うん! やっぱり似合う!」
「そ、そうかな……?」
由衣は少し照れながら、店内の鏡を覗き込んだ。
「かわいい……」
「えへへ!でしょ!」
そのとき、璃音の鞄の中から小さな声が聞こえた。
「そろそろ買い物を終えてはどうだ? あまり長居すると日が暮れるぞ」
「もう、ルクスはせっかちだなあ!」
「私は狭い鞄の中で待たされているのだぞ。少しは気を遣ってほしいものだ」
「ルクスはかわいいから、鞄の中でも大丈夫だよ!」
「私は荷物ではない!」
由衣は思わず笑ってしまった。
○街・路地裏付近/夕方
買い物を終えた二人は、夕暮れの街を歩いていた。
そのとき、鞄の中からルクスの声が響く。
「……む?」
「どうしたの、ルクス?」
「少し待て。何かを感じる」
ルクスの角が、かすかに光を帯びた。
「これだ。以前感知した魔力反応と同じものだ、近くに反応がある」
「どこどこ? ボクにも見せて!」
「落ち着け。あちらの路地裏から感じる」
ルクスが示した先には、建物と建物の間に細い路地が続いていた。
その奥から、淡い光が漏れている。
「何だろう……?」
由衣が不安そうに呟く。
「行ってみようよ!」
「待て、璃音。正体が分からぬ以上、むやみに近づくべきではない」
「でも、気になるじゃん!」
「だからこそ慎重に行動するのだ」
「分かったよ……」
璃音は少し不満そうにしながらも、ルクスの言葉に従った。
三人は周囲に注意しながら、ゆっくりと路地裏へ入っていく。
○街・路地裏/夕方
路地裏の奥。
そこには、淡い光を放つ何かが浮かんでいた。
光は小さな球体のようにも見えるが、その輪郭は定まらず、ゆらゆらと揺れている。
「……あれが、魔力反応の正体?」
由衣が小さく呟く。
「分からぬ。魔力を感じるものの、これまでに見たことのない反応だ」
「禍獣じゃないの?」
「禍獣とは明らかに異なる。だが、聖獣とも断定できぬ」
「じゃあ、いったい何なの?」
「それを調べるために、慎重に観察する必要があるのだ」
璃音は興味津々で光を見つめていた。
「ねえ、ちょっとだけ近づいてみてもいい?」
「待てと言っているであろう!」
しかし、璃音が一歩踏み出した瞬間。
光が突然強く輝いた。
「わっ!?」
周囲の空気が揺らぎ、路地裏の景色が歪む。
壁の輪郭がぼやけ、足元の地面が水面のように波打った。
「これは……!」
ルクスが驚いた声を上げる。
「二人とも、下がるのだ!」
由衣はとっさに璃音の腕をつかみ、後ろへ引き戻した。
次の瞬間、光は弾けるように消えた。
「消えちゃった……」
「いったい何だったんだろう?」
「まだ分からぬ。だが、今の反応は尋常ではない」
ルクスがそう告げた、その直後。
路地裏の奥から、低いうなり声が響いた。
○街・路地裏/夕方・戦闘
「グルルル……!」
暗がりから姿を現したのは、一体の禍獣だった。
鋭い爪を持つ四足歩行の異形。
その身体には、黒い魔力がまとわりついている。
「禍獣!?いきなり!?」
「璃音、戦闘態勢を取るのだ!」
「うん!」
禍獣は三人に気づくと、勢いよく飛びかかってきた。
「由衣、下がって!」
璃音は由衣をかばうように前へ出る。
しかし、ここは人通りのある街だ。
「私が周囲を確認する。璃音は人目につかぬ場所へ禍獣を誘導するのだ!」
「分かった!」
由衣は路地の入口へ向かい、周囲に人がいないか確認する。
璃音は建物の陰へ駆け込んだ。
「いくよ、ルクス!」
「うむ!」
「世界一のかわいさに、きらめく勇気を!
星の輝きよ、ボクの剣に宿れ!
みんなの笑顔を守るため、奇跡の光よ、今ここに!」
璃音の身体が光に包まれる。
淡い光が広がり、衣装が変化していく。
長いピンク色のツインテールが揺れ、白とピンクを基調としたフリルのドレスが姿を現す。
その手には、きらめく魔法の剣。
「魔法少女ルミナ・セレスティア、ここに参上!」
「何故なら、ボクは世界で一番かわいいから!」
変身を終えた璃音は、魔法の剣を構える。
禍獣が再び襲いかかってきた。
「そんな攻撃、当たらないよ!」
璃音は身をひるがえし、禍獣の爪をかわす。
続けて剣を振るうが、禍獣は素早く身を引いて距離を取った。
「むむっ、なかなか素早いね!」
「璃音、相手の動きをよく見るのだ。力任せに攻めるな!」
「分かってるよ!」
璃音は剣を構え直す。
禍獣が飛びかかる瞬間を見極め、身体を横へずらす。
攻撃をかわした直後、剣の切っ先を禍獣へ向けた。
「今度はこっちの番!」
剣に魔力を集中させる。
以前なら勢いに任せて放出していた魔力が、今は剣先へと集まっていく。
「おお……!」
ルクスが感心したように声を漏らす。
「特訓の成果が出ているな!」
「えへへ!これくらい、とーぜん!」
禍獣が再び突進してくる。
璃音は剣を頭上へ掲げ、身体を大きくひねった。
「いくよ!ルミナス・クレセント!」
剣を振り抜いた瞬間、三日月型の光刃が飛び出す。
光刃は弧を描きながら禍獣へ迫り、その身体を包み込むように回り込んだ。
そして、光の輪が一気に収束する。
「グオオオオッ!」
禍獣は光に包まれ、そのまま消滅した。
静けさが戻る路地裏。
璃音は剣を下ろし、満足そうに笑う。
「ふふん!どう?新しい必殺技!」
「見事だったぞ。魔力を無駄なく集中させられていた」
「でしょ! これも特訓の成果だね!」
由衣が駆け寄ってくる。
「璃音! 大丈夫?」
「もちろん!ボクは無敵なんだから!」
「うん!すごくかっこよかったよ!」
「えへへ!かわいくて、かっこいい。まさに完璧な魔法少女だね!」
「……自分で言うのか?」
○街・路地裏/夕方・戦闘後
戦闘を終えた三人は、再び路地裏の奥を調べていた。
しかし、先ほどまで光が浮かんでいた場所には、何も残っていない。
「やっぱり、何もないね……」
「魔力の痕跡もほとんど残っていない。先ほどの反応が何だったのか、これだけでは判断できぬ」
「禍獣が出てきたのも、あの光と関係あるのかな?」
「可能性はある。だが、偶然同じ場所に現れただけということも考えられる」
「うーん……。謎だらけだね」
璃音は腕を組んで考え込む。
「でも、また見つけたら今度こそ正体を突き止めようよ!」
「むやみに近づくのは危険だと言っているであろう」
「分かってるってば!」
由衣は、先ほど光が浮かんでいた場所を見つめていた。
「ねえ、ルクス。あの光なんだけど……」
「何か気づいたことがあるのか?」
「うまく言えないんだけど、あの光を見たとき、何だか誰かに呼ばれているような気がしたの」
「呼ばれている、か……」
「うん。でも、気のせいかもしれない」
ルクスはしばらく考え込んだ。
「今の段階では何とも言えぬ。だが、今後も同じ反応が現れるようなら、注意して調べる必要があるだろう」
「そっか……」
○街・帰り道/夕暮れ
帰り道。
璃音と由衣は並んで歩いていた。
「今日はびっくりしたね」
「うん。でも、あの光が何だったのか気になるなあ」
「また見つけたら、一緒に調べようね」
「もちろん!ボクがいれば何とかなるよ!」
「ふふっ。頼りにしてるよ。」
「じゃあ、また明日ね!」
「うん!また明日!」
璃音は手を振り、自宅へと歩き出した。
由衣も自分の家へ戻っていく。
その頃、誰もいなくなった路地裏で、消えたはずの光が、ほんの一瞬だけ再び瞬いた。
まるで、誰かを探しているかのように。
そして、その光は静かに消えていった。
次回予告
「ねえ、ルクス!この前の不思議な光、また現れたらどうする?」
「当然、正体を調べる。だが、危険がある以上、慎重に行動するのだ」
「えーっ! せっかくの新しい発見なのに!」
「璃音、先走っちゃ駄目だよ」
「分かってるってば!」
「……本当に分かっているのか?」
第5話「もう一つの魔力!? 近づく謎の影!」
「次回も、ボクのかわいさに注目してね!」




