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佳織の場合②
スティックパン、ヨーグルト、バナナ。
マナの好きなものを並べても、食べそうにない気配。
「これ、イヤ、イヤなの」
いつもなら両手に持って、口いっぱいに頬張るスティックパンを指差し、イヤイヤと首を横に振る。
「なんで?マナ、これ好きでしょ」
「イヤー」
金切り声を上げ、皿に乗った全てを床に叩きつける。
あー、見たくもない現実。
床に飛び散ったヨーグルトが芸術的な模様を描く。
「なんでこんなことするのよ」
朝から怒りたくないのに、泣き叫ぶマナに怒りが収まらない。
「イヤなの、これ、イヤ」
「こっちが嫌だし」
泣き叫ぶ娘に背を向けて、ぞうきんで床を拭き始める。
何もかも、嫌になる。
そもそも、子供なんて好きじゃないし、産むかどうかも迷っていたし、私は仕事している自分が好きだった。
床をザッと拭き終えた後、朝食代わりにマナが大好きなチョコスナックを新しい皿に乗せた。
「あ、あ、おいちい」
満面の笑みでお菓子を頬張る娘。
もうどうだっていい。
栄養とか、健康とか、虫歯とか。
だって、一生懸命用意したって食べないなら意味ないから。
もう辞めたい、何もかも。
だって、これはわたしが望んだ現実じゃない。
泥棒が入ったのかと疑うくらい荒れ果てたリビングを見渡し、深くて長いため息が漏れた。




